霊剣操
霊は精神なり。霊剣とは陰陽未分の剣にして渾渾沌沌たる所の一気なり。
易曰闇と淵の水の面を無極動じて陽を生じ静みて陰を生じ一気発動し陰陽分れて万物を生ず。剣を直に立るは渾沌未分の形陰陽有て万象を生ず。故に是を陰陽剣生れと云う。
先ず己が情欲に同て敵を屠て敗退を思はず。心中の陰剣と陽剣と一致になりて千変万化の業をなす。再び剣を直に執るは万物一源に帰する形に表す。
此気を墨家に明鬼神と号し帝鴻氏是を太一と名づく。我朝魔醯首羅と称す。始もなく終もなく火に入て焼けず水に入て溺れずと死て滅びざるとを以て当流未来までの執行とする者なり。
然りと虚ろに得て言べからず。耳に得て聴べからず。心に得て会し自得して知べきなり。
長安
元始一年第五月日