学校生活は円滑に進んでいます
2高校生活は順調です。
それから時はたち、僕は高校に入学した。
前から志望校であった私立涼制高校。
お姉ちゃんと一緒の高校だ。
今日は入学式。
「なあ、校長の話ながくないか?」
「あ、あぁそうだな。えっと……君は誰?」
「あぁ俺か?すまない、名前を言うのを忘れていたよ。俺の名前は牧田 利春だよ。君はなんていう名前だ?」
「僕は宮崎 海斗だ。その、よろしく」
「あぁよろしく。これからな」
牧田と言う奴は僕に手を伸ばし、握手をしようとして来たので、僕も愛想よく手を繋いだ。
そいつの手は分厚くて、握りがいがある手だった。多分だけど何かスポーツでもやっていたのだろう。
校長の話が終わり次は姉ちゃんの話す番だ。
なんだかんだで姉ちゃんは生徒会長。
この学校で三番目に偉い人らしい。
僕にはよく分からないけど……。
兎にも角にも姉ちゃんのスピーチは少し省略してしまうが概ねこんな感じだった。
「桜雨が終わりを迎え、緑の葉が萌え出ずる季節となってまいりました。
新入生の皆さまご入学おめでとうございます。
在校生を代表して歓喜の意を表したいと思います。
これからの三年間は辛いことも悲しいこともあるかもしれません。
ですが、力強い根を張り地面をしっかりと踏み締めていればきっと美しい花が咲くことでしょう。
我が校は県内随一の進学高であります。
勉学も大切ですが部活動で流す汗は皆様の努力と変わり卒業する頃にはきっと良きものを残せると思っております。
石の上にも三年と言いますが、高校での三年間を楽しみ、そして努力を惜しまないでください。
皆様のご活躍を期待しております。
以上を持って、歓迎の言葉とさせていただきます」
多分こんな感じだったと思う。
姉ちゃんのスピーチはありきたりで、誰もが話しそうな内容であったが、何故だか心に響くものがあったのは否めなかった。
「あれ、生徒会長なのか〜綺麗な人だな」
「そうかな?あれ、僕のお姉ちゃんなんだよね。見慣れてるからあんまりそう言うのに疎くて……」
「……そうなんだ……良かったらラ◯ンでも教えてくれると助かるんだけどな〜」
彼は俺の肩に腕を回しそう言って来たので、「それはずるいと思うよ。男なら自分で言わなきゃね。それに」と言うと彼は回していた手を引き、やれやれと肩を振った。
「はぁ、仕方なしか。ま、期待とかしてなかったしな!当たって砕けろ!!精神でなんとかしてみせるぜ!!」
「はいはい、そう言って何人もの犠牲者を僕は見て来たよ」
「ウグッ、嫌なこと言うなよ……気が滅入っちまうよ。たく、まぁいいや」
「ふふ、そうだね。陰ながら応援してるよ僕は」
そんな会話をしているうちに入学式が終わりを迎え、各々教室へと向かうのであった。
一クラス約三十五人、合計で四クラスあり、全校生徒総数四百三十五人そこまで人は居ないけど全国クラスの強者共がひしめき合う進学高。
「はいはい、席に着きなさい。今日から皆さんの担任を務めさせていただく戸塚 ユナと言います。そして」
「はい、そして副担を務めます飯倉 昌克と言います。これから一年間よろしくな」
担任が女の先生でフワフワしたイメージを持った。
そして、副担の飯倉先生と言ったかな。物凄く強面なイメージだ。顔にシワが寄っておりカナリ黒い。日サロでも行っているのだろうか?
考えても仕方ないのだけど……。
「そ、それじゃあ自己紹介をして貰おうかな?それじゃあ今日の日付は四月八日、だから宮崎 海斗くん。よろしくね」
いや、日付関係ないし……四でも八でも無いし。はぁ、ま、深くは言いませんけど。
「出席番号二十七番、宮崎と言います。趣味は読書です」
「うん、ありがとうね。先生もあなたのことを知れて良かった」
満面の笑みを浮かべニコニコしている先生はなんか、可愛かったです。ごちそうさま。
その後も順々に自己紹介が進み、無事その日を終えることが出来た。
「なあ、今日暇か?何処か行かないか?」
「え?あ、う、うん。いいよ。でも、お母さんが早く帰っておいでって言っていたからまた明日でもいい?」
「むぅ、はぁ、家の用事なら仕方ないよな……それじゃあ明日な!絶対だからな」
「はいはい、お前は小学生か!なんてね……」
小声でそう言いうと、牧田は「何か言ったか?」と振り向きざまにそう言い帰って行った。
牧田が帰り、ポツリポツリと人が減り、そろそろ帰ろうかと席を立った。
「さて、帰るとするか……」
教科書で重くなった鞄を持ちゆっくりと歩くのであった。
あたりはまだ日が高く、お昼を少し過ぎた辺りだろ。
廊下には生徒が溜まりその光景にはフラストレーションが溜まる一方だったが、見向きもせずそそくさと玄関を目指すのであった。
「ねえ、あんた!」
後ろから声が聞こえたが俺じゃ無いなと、気にする事もなくそのまま歩き続けた。
「ちょ、無視すんなし!」
その女の子はそう言うと俺の左肩を掴み、帰宅行動を阻害してきた。
「え、えっと……何かな?」
「あんた、今、そのやっぱいい。またね」
「え?な、ん〜まぁ、いいや。またね」
彼女は頬を赤く染め目を地面に向けていた。その後、しゃがみこみ動かなくなってしまったが周りにいた友達に慰められながその場を去って行った。
健気に舌を出しながら。
「ん〜さっきのは一体…………帰ろ」
俺たちの教室は玄関から一番遠くそこそこ歩かなくてはならない。と言っても五分程度なのだが。
先輩たちの教室を越え、職員室を超えて行く。
「あら、宮崎さんでしたよね」
「あ、はい。えっと……」
「あ、自己紹介がまだでしたね。私の名前は神崎 奏よ。担当は理科の先生をやってます。明日の三時間目に入っているからまたその時にね!これから頑張るのよ」
「は、はい……」
そう無難に返事を返しその場を離れた。
よし、玄関が見えてきた。
色気のないスリッパ見たいな上履きを脱ぎ棚に入れる。
まだ新しいのかヒノキの木の香りが鼻をくすぐる。
深く深呼吸をし、靴に履き替える。
まだ履き慣れていないせいか靴擦れが起きてしまい、かかとの上?かな、そこが赤く腫れていた。
「いって、あ〜ぁ、赤くなってるな……絆創膏有ったかな?」
「えーと、これ良かった使って下さい」
後ろを振り向くとツインテールのよく似合う女の子が僕に絆創膏を手渡していた。
「えっと、あ、ありがとう」
「い、いえ。当たり前のことをしただけですし。気にしないで下さい」
もじもじしながら彼女はそう言うと小走りで何処かへ行ってしまった。
「あ、名前聞いておけば良かった……まぁ、いいかな」
また会えるだろうし、まだ高校生活は始まったばかりだ!!僕の青春はこれからだよね。




