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鎧装真姫ゴッドグレイツ  作者: 靖乃椎子
《第十話 女神戦線》
58/78

#58 夜明けの開戦

 レディムーンの挑発行為は統連軍を動かしてしまった。

 彼らの中に隠れて存在する上位階級のイミテイターたちは同類をこれ以上、失わせまいと秘密りに建造していたgSVグランド・サーヴァントまでも出撃させようとする行為に及んだ。

 これには大きな波紋を呼び、疑心暗鬼となった統連軍は内乱騒ぎに発展。大きく二つに分断される事態になるまで発展しかけた。

 しかし、それよりも問題となるイデアルフロートの行動は世界に混乱を招くと重く見た統連軍は結託しgSVの使用を許可してしまった。

挿絵(By みてみん)

 そして、戦場の場となったのはリターナーの基地である。


 ◇◆◇◆◇


「非戦闘員は地下通路から逃げるっス! 早く早くっ!」

 早朝五時。目覚ましよりも悲鳴と轟音が鳴り響く中で、ミナモは隊員たちの批難誘導をしていた。


「なんでスかぁアリス……オレたち友達じゃなかったんスかぁっ!」

 空を飛び交う火線、その中で七色の光を放つ白き巨神。アリス・アリア・マリアこと本名、黒須亜里亜クロス・アリアの《Gアルター》が統連軍のSV部隊にたった一機で立ち向かっていく。


 戦いの発端はイデアルフォートレス側の砲撃から始まった。


 最初の攻撃を皮切りに《Gアルター》率いるSV軍が次々とイデアルフォートレスより出撃。それを待っていたかのように統連軍の部隊も姿を表した。

 だが、統連軍は決してリターナーの救援に駆けつけたわけではない。

 彼らの切り札であるgSV、旧大戦時に作られた試作型の発展機である《テンザンゴウ》でイデアルフォートレスを迎え撃とうとしていた。

 この地で戦闘になるのはレディムーンをよく思わない統連軍の一部にとって好都合であり、どれだけ被害が出てもお構いなしに《テンザンゴウ》の力を発揮できるというわけである。


「ミナモちゃん、ここの避難は完了したわ。私たちも行きましょう」

 医療用道具の入った鞄を抱えて軍医のミツキ・レモンがやって来る。

 その後ろ部屋が何処からか流れてきたミサイルで吹き飛んだ。爆風で宙を舞うレモンをミナモは受け止める。


「あ、ありがとう」

「レモン先生軽いっスね! このまま走るっスよ!」

 どちらの軍勢の攻撃かわらないほどの激しい攻防の中、まるで海外映画のようにミナモたちが通った道が攻撃によって崩れ去っていく。

 走るミナモの目線の端に映る逃げ遅れて倒れた瓦礫の下敷きになっている仲間がちらりと見えたが、歩みを止めれば自分達も巻き添えを食らってしまうだろう。


「見ちゃダメ。可哀想だけど諦めましょう」 

「うぅぅぅ……ああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁーっ!!」

 助けたいのに助けられない自分の無力さに涙を流して絶叫するミナモ。その叫びすら外の爆音は無慈悲にも掻き消した。

 避難シェルターへ逃げる二人に追い討ちをかけるように、建物の天井が崩れるとイデアルフォートレスのSVが空から舞い降りる。


「……天使っスか」

「綺麗なものが味方とは限らないわ」

 それはFREESが使っていた《ゴラム》の改良された機体で、背中には天使のような白き羽根型のブースターを装着したSVである。名は《アンジェロス》という。


「先に行ってちょうだいミナモちゃん。パイロットを失わせるわけにはいかない」

 レモンが《ゴラム・アンジェロス》を見上げて睨みながら前に立つ。


「いけないっスよそりゃあ! お医者さんこそ皆にとって必要っス!」

 レモンを押し退け今度はミナモが前に出る。

 そんな押し問答を相手が待ってくれるはずもなく《アンジェロス》は手に持った大槍を構える。二人に目掛け突き刺そうと振りかぶった瞬間に《アンジェロス》は激しく横転し飛んでいった。


「大丈夫ですか二人とも!」

「その声は、金髪のお兄さんっスか!?」

 蒼き騎士SV、ゼナスの《オンディーナ》が繰り出す電撃を帯びた掌底は《ゴラム・アンジェロス》の立ち上がろうとする動きを鈍らせる。その隙に《オンディーナ》は鞘から長剣を抜き、瞬く間に《アンジェロス》の手足と翼をボディから切り離した。


「シェルターはもうすぐそこだ! 急いで!」

「ありがとうっスー!」

 場所を剣の先で示す。ミナモたちは会釈をして目的地まで急いで駆け出した。


「……ゼナスちゃん、あれ見て!?」

 機体に同乗するウサミが下方を指差す。

 身動きを封じされた《アンジェロス》のコクピットから人が降りてきた。

 そのパイロットは見たところ十代の少女だった。少女はミナモたちの後ろ姿を目撃すると、体の怪我など気にすせず一目散に走り出した。


「おい君! 何をするつもりだ、待ちなさい!」

 ゼナスは《オンディーナ》の長剣で少女の行く手を塞ぐ。

 行く道を断たれた少女は剣に身体を密着させると、突然、目映い閃光を放った。思いがけない衝撃が《オンディーナ》を襲い、尻餅をつくように倒れた。


「…………な……何が起こった? 自爆した、のか?!」

 黒煙を《オンディーナ》は手で振り払う。少女が居た場所には床に大きな穴が開けられ、驚き手離して地面に落ちた長剣の刃は欠けてヒビも入っていた。

挿絵(By みてみん)

 ゼナスは口を開けたまま絶句する。敵機と接触したまま機体の反応が止まったからか、他の《アンジェロス》たちがこちらに集まってきていた。


「他も……女の子」

「少なくともイデアルフロート側はそうかも。統連の人たちは敵ではないけど、味方というわけでもなさそう。三つ巴になるかぁ」

 ゼナスとは対照的にウサミは冷静に状況を判断しようとレーダーや辺りの様子を見渡す。


「冷静なんですね、ウサミさん」

「そりゃココロはロボだから」

「…………」

「それで、ゼナスちゃんはやれるの? 手加減したら、また同じことになるかもしれないんだけど」

「いや、しかしだな……」

 イデアルフロートの白薔薇の騎士と呼ばれたエースパイロットのゼナス。

 これまで数々の相手と戦い、命を狙われることもあったがゼナス自身は相手を死に貶めるようなことはしてこなかった。

 しかし、今は町のチンピラや暴徒の相手をするレベルの戦闘などではない。

 これは戦争なのだ。


「ねぇゼナスちゃん、目でもつぶってコントロールを渡して。ココロがやる」

「……すまない。ユー・ハブ・コントロール」

 対する相手は四機。ココロは《オンディーナ》の膝と肩の装甲から遠隔機動兵器ドールフェアリーを射出して《アンジェロス》に負けて立ち向かった。


 ◇◆◇◆◇


「何処だ、クロス・トウコ……」

 上空の《Gアルター》は《テンザンゴウ》と対峙していた。

 小型ミサイルの雨が頭上より落下するがアリアの《Gアルター》を包むバリアフィールドが傘になり爆撃を防ぐ。


「図体のデカいマトが小賢しいっ!」

 通常のSVと比べ数倍以上の大きさを誇る《テンザンゴウ》の胸分装甲が開放すると、正面に展開してあいた統連軍のSVが左右に移動。開かれた胸の発射口からビームが発射された。


「そんな、わかりやすい攻撃が当たるわけないでしょ」

 放射状に拡散される粒子がイデアルフォートレスのSV部隊に降りかかる。

 アリアは《Gアルター》を緊急上昇して難を逃れたが、防御か遅れコクピットに直撃を受けてしまった《アンジェロス》は地面のリターナー基地の建物に墜落する。

 取り巻きの機体が減った《Gアルター》を統連軍のSV部隊が囲んだ。


「この……熱源っ?!」

 周りに気を取られてアリアは真下より炎の翼を羽ばたかせながら飛んできた真紅のSVに気付かず、突き出された真っ赤な拳で《Gアルター》の顔面に強烈なアッパーカットが炸裂してしまう。

挿絵(By みてみん)

「私を殴ったな……サナナギ・マコトォォーッ!!」

「あんたたち、この空を戦いで汚すな!」


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