テンプレ異世界転生チートハーレム
ある日学校からの帰り道、俺が交差点を渡っていると、そこに大型トラックが猛スピードで突っ込んできた。それにはねられ俺は死んだ。
気が付くと目の前で神様が(名乗られた訳ではないが何故か神様だと認識できた)平身低頭謝っていた。
死ぬ予定になかった俺を手違いで殺してしまったらしい。
神様は、お詫びに俺を剣と魔法の異世界に転生させてくれるという。しかもチートな能力付きで。
俺が何かを言う前に、神様は勝手に決めて、有無を言わさず実行してしまった。
視界が真っ白になる。
再び気が付くと、俺は見知らぬ森の中にいた。
「きゃーーー」
女の子の悲鳴が聞こえた。
声の方向へ行ってみると、悲鳴をあげたであろう女の子が、典型的なゴブリンの魔物に襲われそうになっていた。
俺はダッシュで女の子と魔物の間に割って入った。
神様の言っていたチートな能力というものを試してみようと思った。
右手を魔物に向けて適当に力を入れてみた。
すると右手から火柱が吹き上がり、一瞬で魔物を消し炭にしてしまった。
後ろにいる女の子を見ると、頬を赤らめ熱のこもった視線を俺に向けていた。
「ありがとうございます勇者様。私あなたを探していたんです。どうか私の村を、いいえ、この世界を救ってください」
今にも抱きつかんばかりに女の子は接近してきた。
女の子はシャクティと名乗った。
年齢は多分俺より一つか二つ下。
やや浅黒い肌に、腰まで伸びたロングヘアー。
幸薄そうな顔ではあったが、造詣は整っていて、十分に美少女と言える基準は満たしていた。
シャクティにこの世界の事を聞いてみた。
突然魔王の軍団が現れ、お城の姫様をさらっていった。
それをきっかけに魔王軍との全面戦争が勃発。凶暴な魔物が人々を襲い始めた。
平和は壊され、世界は混沌としているらしい。
そしてシャクティは、世界を救う勇者を探す為に旅をしていたらしい。
シャクティが言うには、俺がその勇者ということだった。
シャクティに連れられ近くにある村へ行くと、そこは魔物の襲撃を受けていた。
門番的な外見の人間は既に殺されており、女子供も魔物たちの餌食になろうとしていた。
「あぁっ、なんてこと。勇者様! どうかあの村を救ってください」
シャクティに懇願され、俺は再びあのチートな魔法を使った。
するとどうだろう。
手から放たれた火柱は途中で幾重にも分岐し、そのそれぞれが村中に散った魔物達へと襲い掛かった。
細分化されても威力は変わらない。
数十匹はいたであろう魔物の群れは、一瞬で灰になった。
「さすがです勇者様」
シャクティが喜びの声を上げ、俺の頬にキスをしてきた。
村の生き残りに、若い女戦士がいた。
俺より少し年上だろうか、金髪ツリ目でいかにも気の強そうな顔立ちだった。
けれどもちろん美少女だった。
女戦士は俺達の旅に着いてくると言い出した。
「あんたの強さに惚れたのさ。あたしの名前はカテジナってんだ。ま、よろしくな」
なし崩し的に迎え入れたものの、シャクティとカテジナは相性が悪く、口喧嘩が絶えなかった。
その口論の中には何故か俺の名前が何度も出てきていた。
村を救った後、俺達はこの国の首都に向かった。
道中、女盗賊団に襲われたり、病気の娘を助ける為に薬草を探したり、魔物の生け贄にされそうな娘を助けたり、ひょんなことから他国の王女様と知り合ったり……。
まぁ色んな事があったが、大体俺の魔法で一発解決だった。
そしてその場にいた女の子達は、何故かことごとく俺に一目惚れをし、旅に着いてきた。
フラン、ケイト、ジュンコ、コニー……。
皆それぞれ特徴的な美少女ばかりだった。
女ばかりとなった俺達の一団は、ようやく目的地である首都に辿り着いた。
早速王様に謁見すると、シャクティを初め仲間の女の子達が俺の活躍ぶりを王様に語りだした。
そして「この人こそがこの国の危機を救ってくださる勇者様なのです」などと結んだ。
王様はあっさりとその話を信じ込み、俺に姫を取り返してくれと懇願した。
魔王の居城は魔物が並みの強さではなく、数も多い。城の兵士達では歯が立たないのだそうだ。
もしも姫を助け魔王を倒した暁には、この国の国王の座を譲るとまで言い出した。
俺は王様の頼みを承諾した。
俺達はすぐさま魔王の城へ旅立った。
確かに魔物の質は上がっているようだが、俺の仲間達の剣術、弓術、補助魔法等々のおかげで、特に苦もなく城への進入は成功した。
しかしさすがに敵の本拠地だけあって、敵は相当な数だった。
このままではいずれ物量に押し切られてしまうと思った時、
「ここは私が食い止める。あんた達は先に行きな」
とジュンコが言った。
俺達は後ろ髪を引かれながらも、言われた通り先を目指した。
けれど奥にも魔物は多数いた。
フラン、ケイト、コニー達が、同じように俺を魔王の元へと送ってくれた。
廊下を走り抜ける時、物陰から急に魔物が襲ってきた。
反応が遅れた俺を、シャクティとカテジナがかばった。
おかげで俺は無傷ですんだ。すぐさまその魔物を瞬殺する。
今際の際に二人は笑顔で言った。
「勇者様、魔王まであと少しです」
「あんたなら、きっと勝てるよ」
『世界を救って』
俺は涙を流しながらも、ようやく魔王の眼前へと辿り着いた。
「ほう、ここまで来るとは中々やるようだな。しかし、貴様の命はここで終わりだ」
魔王の苛烈な攻撃に、俺は手も足も出せない。
一瞬の隙をついて放ったチートの魔法も、魔王には効果がなかった。
魔王が吐いた炎に包まれ、俺は死を覚悟した。その時。
シャクティの、カテジナの、ジュンコの、フラン、ケイト、コニー達の声が聞こえた。
「勇者様、負けないで」
俺はその声に力を貰い、チート魔法を、大チート魔法へと進化させた。
放たれた大チート魔法によって、魔王はこの世から消滅した。
囚われていた姫を救い出す事はできたが、仲間達は全員死んでいた。
俺は彼女達の亡骸を抱きしめながら泣いた。
すると、俺の涙を受けた大チート魔法は蘇生チート魔法へと変化し、彼女達を全員生き返らせた。
首都に帰ると、王様は約束通り俺に王位を譲った。しかも姫との結婚まで認めてくれた。
当然、姫も俺に惚れていたので問題はなかったのだが、俺は1つだけ条件を出した。
それは『今まで旅をしてきた仲間達とも、同時に結婚させて欲しい』というものだ。
仲間達も、姫も、王様も、その他大勢も、反対する者は誰一人いなかった。
こうして俺はこの国の王になり、愛する仲間―いや妻達と幸せな人生を過ごす事になった。
おわり
なろうではこういうジャンルが人気だと聞いたので練習で書いてみました。