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四季  作者: 葡萄鼠
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~六花~

 見上げる空は曇天で


 どんよりと暗く曇った空には光さえ見えない


 それでも一陣の凍てつく風が吹き抜けた通り路には


 ひらひらと純白の光が地上に舞い降りる



 冷たいのに どこか温かく感じるのはどうしてだろう?


 

 白く柔らかく 人の熱ですぐに溶けて消えてしまう


 そんな儚い存在なのに


 それでもその温もりはとても優しい



 その温もりに触れて思い出すのは過ぎ去った日々


 通り過ぎて行った日々を思い返せば


 胸がつまり涙がでそうになることもある


 嬉しかったことも、辛かったことも、全てが懐かしい


 

 いつの日にか負った傷痕は今でもうずくけれど


 優しい雪は 全てを柔らかく包み込む


 まるで慈しむようにとても心地よく 私の心は癒される

 


 それでもまだ傷はなくならない


 乗り越えられないものもある


 

 だからそんな時は 勇気が欲しい


 一歩でも前に進める力を



 春は花が咲き乱れるように


 冬には六花が空から地上に降り注ぐ



 優しい冬に咲く花に勇気をもらい


 私は凍てつく風にも、重く暗い空にも惑わされず


 ただ今確かにある温もりを信じて進む



 この手と心の中には、優しい六花があるから


 この手から離れて行った君のことは忘れられない


 忘れることなんてできないのだから


 だからせめて今は、


 懐かしく思えるまで、想い出に変わるまで


 この心があり続けることを どうか許して



 弱く傷ついた私


 それでもいつか乗り越えるから



 だから、今はまだ勇気を求め

 


 空を見上げては 純白の花を探そう――――……




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