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第8話 町長登場

これまでにこんなに疲労を覚えたことがあっただろうか?もうかれこれ18時間程歩いている。なのに、歩いても歩いても見えるのは一面に広がる草原ばかり。いつになったらあの機械ばかりの街が見えてくるのだろう。

「シルフィー?いったいいつになったら次の街につくの?」

「あと2時間くらいじゃない?だいぶ近づいてきたし。」

ヘルゼーはもうくたくたで足がぼうになっていたのに、シルフィーはといえば少し汗をかいているぐらいだ。これも魔力の差か?と、急にシルフィーがくるりとこちらをむいた。

「ほら、みてみて。」

「ん?」

シルフィーは地面を指差して言った。

「草原の土質が変わってきたでしょ?さっきまでは砂地だったんだけど……。」

「本当だ。なんか石みたいのがごろついてきた。」

「こういった石がでてくるようになったのは他でもない機械故ね。」


「どういうこと?」

「機械に必要なエネルギーを放出する石があるのよ。見た目は普通の石なんだけどね、日の光にあてておくだけで1度使った石でもまたよみがえって何回でも使えるって話よ。」

「ふ〜ん。」

すると遥か遠くに街らしきものと前にいた村ほどではないが薄く暗い雲のようなものがたれさがっていた。

「シルフィー、あの薄暗い街?」

「街はあってるけど薄暗くなんて無いわよ?疲れが相当でてきたんじゃない?幻覚をみるなんて。」

まただ。ヘルゼーには見えてシルフィーには見えないあの大きくたれ込めた雲。何度も目をこするけれどしっかり見える。シルフィーの言うとおりの幻覚とも思えない。

「さぁてと、街に入る前に野宿するわよ。」

「え?なんで?」

「馬鹿ね。仮眠をとるのよ。言ったでしょう?いつ戦いが起きても大丈夫なように準備しておきなさいって。体力勝負になるところもあるかもしれないじゃない?」

「なるほどね〜。」

「実感はわかないでしょうけど、あんたも少しは修業のおかげで体力もついてきたことだし。」

確かにそうだ。今までは10回玉の変形をするだけでバテバテだったのに今や25回は軽がるできる。

「まぁあとは、剣術とかいろいろ使いこなせるようにしなきゃだけど。今は十分だから。」

「誉めてもらうなんて初めてかもね……。」

そう言ったとたんヘルゼーは崩れおちるように倒れ、そのまま意識を捨てた。



気付いたのはそれから7時間後。シルフィーに起こされた。もう朝になっている。

「仮眠のはずが、おもいっきり眠ってたわね〜。でもそろそろ出発しないとね。」

眠い体をむりやり叩き起こして歩き始めた。近づけば近づくほどわかる。この街が国境付近だということが。何気ない普通の1日の始まりなのに休む事無く警備員が検問を行なっている。ご苦労さまだ。

「で。この検問を正面から無理矢理突破するの?」

「えぇ。最初は交渉するけれどきっと通してくれないと思うから。駆け抜けるしかないわ。もとから、通過するだけの街だもの。」

「無理があるよね……?」

「だからいってんじゃない。戦う準備はしておきなさいって。」

平然と話せるシルフィーはすごいと思った。

そうこうしてる間にだいぶ近づいたようだ。もう機械の音が間近に聞こえ、検問のレバーが上がったり下がったりする音や、笛を吹き交通整理をしている音まで聞こえる距離になっていた。

すると、予想通り一人の警備員が走ってこちらにやってきた。

「君達ィ。この街の人間かい?」

「違います。」

「困るなぁ。この街は今町民以外立入禁止なんでね、お引き取りください。」

口調は丁寧だが、明らかに嫌そうな顔をしている。

「通り抜けるだけなんです、隣の国に行きたいので。」

「どんな理由でも駄目なものは駄目なんだ。そういうことだから。」


それでもシルフィーは食い下がる。

「何故駄目なんですか?これじゃあ隣国に観光にもいけやしない。」

とうとう警備員がキレたらしい。

「あのなぁ!!文句なら俺に言わずに町長にでも言えよ!とにかく駄目なんだ!さっさと帰れよ!こっちも暇じゃないんだ!」

するとシルフィーは待ってましたといわんばかりに、宣言した。

「わかりました。じゃあ、私たちは街に入って町長に話をつけてきます!では!」

そう言い放つと検問を無理矢理ブチ破り強行突破して警備員の制止を振り切り走りだした。

「オィ待てェェ!?」

「シルフィー!やっぱり無茶だよ。いつか捕まっちゃうよ!」

「それが目的よ!」

「はぁぁぁぁ?!」

ヘルゼーは意味がわからず叫んだ。

「街の中心に向かうわ!そこに町長がいるばずだから、そこで帝国に宣戦布告するわ!あなた達を滅ぼす使者が現われたって事をしらせてやるのよ!」

「何でこの街なの?!」

「闇に堕ちた人がたくさんいるこの街から逃げたらたいしたもんでしょ?!それを実践して、闇に、帝国に思い知らせるためよ!」

と、そうこうしている間に街の中心街を走っているようだ。機械の街の機械が急に増えた。

そして、一際大きな工場の前に出た。どうやらここが町の中心らしい。

と、思い立ち止まった瞬間、上から声が聞こえた。

「あなた達が犯人のようね。」

女性の声だ。あまりに突然だったので2人とも歩を止めてしまった。上を見ると巨大なビルのテラスからヘルゼー達を見下ろす人がいた。

髪は白。シルフィーより少し長いらしく腰の辺りまで伸びている。目は灰色。もしかしてこの人が……

「町長?!」

「正解。」

すごく美しい人だと思う。だけどすごく冷たい瞳をしているように感じられた。

「許可もなく私の町に堂々と入ってくるなんて良い度胸してるわね。」

明らかに高圧的な態度。あ〜あ。こりゃシルフィーとは相容れないタイプだな。

「私たちはこの街を通過したいだけ。特に戦うつもりもあなた達とも争うつもりはないわ。」

そんなシルフィーの言葉を聞いた瞬間、いきなり笑いだした。

「フっ。あはははは!ははは!何を言いだすの?あなた達も知ってるんでしょ?この街は帝国を受け入れてるって事。見るからにあなたたち、魔力にあふれているみたいじゃない?とくにあなた。そんなつややかな黒髪なんてみたことないわ。でも、ここは闇の街。あなた達は明らかに神の使いみたいじゃない?その容姿からしてね。まるで伝説に出てくる少女のよう。ということは私たちの敵。つまり……」

すると、突然町長が手をたたいた。途端に、四方八方を武器を持った町民達にかこまれた。

「ここで殺しておくべき存在よね。いつか牙をむかれたら困るし。だからあなた達にはこの街を通る資格がないのよ。」


意見・感想・批評などいただけたら嬉しいです。作者成長のためよろしくお願いいたします!            大橋 結菜

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