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第9話 闇に堕ちた街、光を愛するもの。〜1〜

書きためることがなかなかできないので不定期になってしまって申し訳ありません。なるだけ早く書いて投稿いたしますのでこれからもよろしくお願いいたします!

シルフィーは突然1歩前に踏み出して町長に言い放った。

「私たちにこの街を通る資格が無いですって?ふざけんじゃないわよ。私たちは私たちで勝手に通らせてもらうわ。」

「だから私たちはそれを許可しないって言ってるのよ!魔力が強いとか聖なる力を操れるとか関係なくね!」

「なによ。そんな事言って。止めたいなら止めれば良いじゃない。」

「シルフィー、争わないほうが……」

「ヘルゼー、少し黙ってて。」

「はい……。」

女と女の戦いだ。まぁいわゆる世間一般で言われている“修羅場”というやつだ。両者の背中から鬼がでてる。

「えぇ。もちろんそうさせていただくわ!」

すると、シルフィーが小声でヘルゼーに伝えた。

「(私の服の袖をつかんでて!)」

「え?」

「(いいから!)」

ヘルゼーがシルフィーの服の袖をつかむと同時にシルフィーは何か唱えた。その瞬間2人は薄い光のベールにつつまれた。

「かかれ!」

町長が命令したとたん周りにいた町民が一気に襲い掛かってくる。

「シルフィーくるよ!」

サッと玉を取り出したヘルゼーをシルフィーは止めた。

「シルフィー?」

「ちょっとこのままでいて。大丈夫だから。」

ヘルゼーにはまったく意味がわからなかったが、とりあえず意を決してその場に立った。シルフィーが大丈夫だと言っているのだから信じようと思った。けれどそんな2人を殺すべく武器を持ち、武装した人の群れが容赦なく襲ってくる。

斬られる!そう思い目をつぶった瞬間だった。

バチィン!!激しい衝突音の後激しい痛みとともに温かい液体がヘルゼーから流れ出てくると思った。

が、しかしいつまでたっても衝撃も痛みもなかった。そっと目をあけると襲い掛かってきたはずの町民の手が焼けていた。

「あ……れ?」

町長の顔が強ばると同時にシルフィーが笑った。

「あ〜れ〜?痛くも何とも無いなぁ〜?」

シルフィーがおどけてみせると、

「なっ!どういうこと?!」

と町長が叫んだ。

「私は神からの使いよ〜??闇に汚されたあんたらなんかがこのあたしに触れるわけ無いじゃない!」


そんな裏技ありかよ!と突っ込みたくなるのを我慢して、事の成り行きを見守ることにした。

町長の顔が一段と強ばる。

「卑怯な!」

「卑怯〜?別に生れ付きだから仕方ないし〜。ということで勝手に通りま〜す!」


高らかに宣言をし、また更に走りだす。

「ヘルゼー、できるだけゆっくり走って!」

「なんで?!」

町民がどんどんせまってきた。

「言ったでしょう?!一度捕まったほうが良いの。大丈夫、あたしの考えだと牢獄には闇に染まりきれてない人が幽閉されてるはずだわ。きっと男女でわけられて。だから、その人たちを解放するのよ。」

「でも、ぼくらも捕まったら身動きできないんじゃない?」

「あなたにも光の守護魔法をかけてあるから平気!鎖くらい簡単に外せるはずよ!」

「ここまできたら仕方ないか!」

町民が棒を振り上げる。

「あれ?でもさっき攻撃あたらなかったよね?」

「あれはね、実は1回限りなんだ〜。魔法なら何回でも弾くことはできるんだけどね、物理攻撃は1回だけなのよ。」

「なるほど。じゃあこの棒は当たるわけね。」

「やけに冷静ね。痛いわよ?一応。本気で殴ってくるから。」

「もう慣れっこだから大丈夫だよ。」

「え?どーゆーこ………」

その瞬間二人同時に殴られ意識がとんだ。










冷たい感覚で目が覚める。

「あれ?ここって……?」

そうだ。殴られて気を失っていたんだ。って言うことはここは……

「牢獄……か……。」

まだ頭がガンガンするがヘルゼーはシルフィーに言われたとおりの行動をすることにした。

鎖は本当に簡単に外れた。

「こんな簡単にはずれていいのかよ……。」


とりあえずヘルゼーは檻から兵隊がいるか覗き込んでみた。角に一人。通路に巡回兵らしき兵が一人。なるほど、街の検問に回っているせいかここの警備は手薄だ。

「こ〜ゆ〜ときはチャンスだな?」

ニヤリと笑ったその表情は悪人そのものだった。

ヘルゼーは持ち物の殆どを没収されていたが、口腔内に隠しておいた小さな玉はばれていなかったようだ。小さな飴玉のような玉を口の中から取り出し念じる。小さめで、働きは普通の玉と少し違い、生物に擬態し主人の命令したとおりに働く。

「よし。蝶に擬態!」

すると玉はひらひらとまるで小さな宝石のような輝きを持った蝶に変身した。そして……

「兵隊の前をひらひら舞うんだぞ。きっと欲の深い奴らしか居ないからめずらしいものほしさにつられるから。そしたら僕のいる場所からはなれて兵隊を遠ざけるんだ。いいね?」蝶はこくりと頷いてひらひらと舞去った。

そしてヘルゼーの予想通り兵隊は引っ掛かった。

「お?なんだこの蝶は!?こんな大きくて綺麗な蝶が居たのか。これは高く売れそうだ!」

まさかこんなに簡単に引っ掛かるとは……。

「おわぁ?!お〜い!そいつ捕まえてくれ〜!金は山分けにしてやるからよぉ〜!」

「いい金になるんだろうな!」

「当たり前だろ?そんなの見たこともねぇ!きっとレアさ!」

「なるほどな。それ!お?以外と早いな……。」

兵士が蝶と格闘している間にヘルゼーはそっと檻から抜け出し、探索してみることにした。牢獄のなかは薄暗く、唯一の光は火属性の玉が放つ炎の怪しげに揺らめく光だけだ。さらに地下室のようなので壁は冷たく、湿気でじめじめしていて触ると水滴が付く始末だ。

「こんなところに閉じ込められているなんて……。あんまりだ。」

と、一つの檻の前に立った。中に誰かいる。が、暗くて見づらい。ヘルゼーはそっと声をかける。

「あの………」

「誰?!兵隊じゃないのか?!」

「あまり大きな声をださないで。僕はヘルゼー。先程捕まったけど逃げてきたんだ。きみは何か罪を犯した人かい?」

「とんでもない!僕はただ普通に暮らしていただけさ!明るく楽しく。でも、正しいことを正しいっていったらここに連れてこられたんだ。反省しろって。」

声から聞くに少年だ。年は10歳ぐらいだろう。と、やっと顔を出した。

「お兄ちゃんも悪いことしてないんでしょ?ここに捕らえられた人はみんなそうだもん。」

予想どおり10歳前後の少年だ。髪も瞳も鮮やかな緑色をしている。

が、そんな鮮やかな色に不釣り合いな粗末なぼろぎを着せられている。

「さっき大きな黒い蝶がとんでったよ。黒色なのに模様がカラフルだったね。紫とか黄色とか。お兄ちゃんが兵隊をまくために作ったんでしょ?頭良いねお兄ちゃん。」


「そんなことないさ。」

「お兄ちゃんは僕らを助けてくれるの?」

「当たり前さ!そのためにきたんだから。」

「そうなの?」

「そうとも!」

「じゃあ、僕らはどうしたらいい?」

以外と冷静で頭のいいやつだと思った。ふつうなら早く助けてとかいうはずなのに……

「そうだな、一回この監獄の地形と兵の配置を探ってくるからここにいてくれ。分かりしだいここに戻ってくるから、安心して待っていて。」

「信じるよ、お兄ちゃんのこと。なるべく早くしないと監獄守って言う強いのがでてくるから気を付けた方がいいよ。それから、僕少しなら魔法も使えるんだ。だからお兄ちゃんがいないことがばれないように幻覚を作っておくよ。」

「そんなものまで作れるのか?」

「うん。僕の魔法は玉は必要ないんだ。遠隔操作の幻魔法だからね。」

ヘルゼーは話の8割り方わかってはいなかったが恥ずかしいのでわかったふりをして、うなずいた。

「わかった。じゃあ後でな。」


「あ!ちょっと待って!この監獄に1人お爺さんがいるはずなんだ。もしここから逃げ出すときはそのお爺さんを出してあげて!先代の町長さんなんだ!いまはこの監獄のどこかに閉じ込められてるはずだから!」

「わかった!」


ヘルゼーは再び走りだした。

監獄内を歩いてみるとなかなか広いが造りは簡単だということがわかってきた。

四角い箱のような形で造られてて階段が3ヶ所。

一つの通路に罪人と称される人が入る檻が10スペース。

1フロアで40人収容可能だ。

だが、これだけでは少ないはずだからきっと地下5階ぐらいまでに及んでいるだろう。

体感温度からしてここは地下3階ぐらいか?まぁあれだけ騒いだんだから奥深くに入れられて当然だろう。と、シルフィーはきっと地下5階に入れられているだろう。シルフィーのことだからさほど心配は必要ないと思われるが、拷問などを受けていないかだけが心配だった。あんな白い肌に傷が付いたら目立ってしょうがないだろうし。

さて、さっきの少年が言っていた老人だがこのフロアにはいなさそうだった。きっと最深部に入れられていることだろう。お年寄りは大切にしなきゃならんのに……。

一応、フロアごとに逃がしに行くことにした。この人数でぞろぞろ逃げたらさすがの兵も気付くだろう。また少年に声をかける。

「おい。戻ってきたぞ!」

「お爺さんは!?」

「このフロアには居ないみたいだ。フロアごとに逃がすからまずはおまえらだ。今鍵を開けるから待ってろよ。」

「鍵?監獄守にあったの?マスターキーは監獄守が持ってるんだよ?」

「鍵なんていらないさ!いまの僕なら……」

ヘルゼーは鍵のかかっている錠に手をかけた。すると、ガチャリ。思ったとおり。シルフィーからは直接聞いてないがこの町は聖属性の力に果てしなく弱い。だから鍵がなくても簡単に開く。

「光の守護魔法か何か?」

「詳しいね。その通りだよ。」

「一応、魔法学校に通ってたから。」

「なるほどな!そらあいたぞ。まずは僕についてきてね。」

「他の人も逃がすんでしょ?僕も手伝うよ。できるだけ多くの幻影を作ってばれないようにするから、僕もお兄ちゃんに最後までついていくよ。」

「大丈夫か?」

「うん。僕はグアニス・ハイフェ。お兄ちゃんは?」

「ヘルゼー。アドベア・ヘルゼー。よろしくな!ハイフェ。」

ハイフェとヘルゼーは共同作業でどんどん逃がし始めた。幸い、兵隊はあの蝶のおかげでこのフロアにはあまりいなくなっていた。

ヘルゼーは檻の中にいる人たちは子供ばかりだということに気付いた。なるほど純粋で素直な子供はこの町にとっては邪魔だということか。

しかし、あまりのんびりはしてられない。できるなら、シルフィーの手助けに行ったほうがよさそうな気がしてきた。

ここに兵士が少ないのは蝶の力もあるけどシルフィーのいるところに集まっているからなのかもしれない。とにかく万が一のことも予想して早めに行動することにした。


意見・感想・批評等いただけたら嬉しいです。作者成長のためよろしくお願いいたします!             大橋 結菜

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