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最強の魔法のその結末

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/09/02

 

「ついに完成したぞ」

「ええ! ついに!」


 とある辺境の村で二人の魔法使いが抱き合いながら泣いて喜ぶ。

 二人は共に禁忌の魔法を研究していたがために互いに同族を追いやられたのだ。


「長かった……」

「はい。でも、私達はやり遂げました!」


 驚くべきことに二人は敵対する人間と魔族だ。

 本来であれば殺し合う関係の二人は利害、思想、そして目的の一致のために世界中で殺し合いをしている同族たちを尻目にこうして仲良く暮らしている。


「この魔法さえあれば……」

「はい! この魔法さえあったなら……」


 世界は平和になる!


 そう確信する二人。

 その一方でこの魔法は酷く扱いが難しい。

 なにせ、戦争を止めることもできる程に強力な魔法であるが、元も子もない言い方をすれば戦争とは即ち『政治』なのだ。

 目先の平和のために考えなしに使えば必ず失敗する。


「今なら追放された理由も分かる」

「ええ。戦争って人口調整の側面もあるしね」


 二人は顔を見合わせて苦笑いをし、そしてほとんど同時に決めた。


「この魔法。封印しよう」

「ええ、そうしましょう。だって私達は……」


 この魔法なんていらないくらいに互いを愛しているから。


 そう結論付けられ、二人の作り上げた最強の魔法『誰かを強く愛する魔法』は長い間眠りにつくことになった。

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