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DRIVEN - 感情は、長く抑えてはいけない。  作者: 黒金カズナ


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第九章 回復の箱

リサは目を覚ました。空はまだ同じだった。左肩が重い。左を見ると、ザヒラがベッドに腕を組んで乗せたまま熟睡していた。ザヒラの瞼の下で、眼球が素早く動いているのが見えた。リサはしばらく周りを見渡してから、手をザヒラの頭に伸ばすか伸ばすまいか迷った。

シュッ――

その音にリサはびくっとして手を引っ込めた。アセプが入ってきて、後ろからコイがついてきた。

「あれ、ザヒラもういるの?」アセプが聞いた。

「うん、私が寝てる間に来たみたい」

コイがベッドの右側に走り寄った。「リサ姉、大丈夫? 腕こんなに包帯巻いてる」コイの手が右腕の包帯の上を漂い、一本の指がおそるおそる触れた。近づくほどコイの尻尾が速く揺れた。

「大丈夫だよコイ、ちょっと捻っただけ」リサは左手を持ち上げてコイの頭をなでた。コイの耳がなでる手に合わせてぺたんと垂れ、尻尾もゆっくりと揺れ始めた。

アセプが隣の椅子を叩いた。コイはすぐにリサの腕を持ち上げてくるっとベッドの前の方へ回り、アセプの隣に腰を下ろした。

ザヒラがゆっくりと目を開けた。寄り目で真っ赤だった。少しずつ焦点が戻ってくると、すぐにリサの左腕に抱きついた。

「リサ、大丈夫? どこか痛い? 足は? 手は?」

分厚い本がザヒラの頭を叩いた。「大丈夫だって言っただろ、まだ聞くか」アセプが静かに言った。

ザヒラは頭をさすって後ろを振り返った。「だって直接確認したいじゃないですか。ボスが嘘ついてるかもしれないし」

リサは小さく笑って続けた。「大丈夫だよ先輩、ちょっと捻っただけ。ボスが言うには数日で治るって」

「俺そんなこと言った?」アセプが首を傾げた。

「え、言ってませんでしたっけ?」リサが聞き返した。

ザヒラの視線がリサとアセプの間を行き来した。リサがぎこちなく笑った。さっきまで腕時計を確認していたコイが急に立ち上がり、部屋を出ていった。

「ほら、入って」

どうやら誰かを引っ張っているらしい。

「いい、外にいるから」

「もう、早くして。人に見られるじゃん」コイが力の限り引っ張りながら文句を言った。フーディーが見え始めた。デニスが引きずられてきたが、入口の枠を両手で押さえて抵抗していた。

「わかった、わかったよ。一人で歩けるからそんなに引っ張るな、コイ」デニスは歩いて入ってきてザヒラの近くに立った。拳を握って小さく咳払いをした。顔が少し赤くなっていた。リサをまっすぐ見なかった。

「状態はどうだ?」

「大丈夫だよデニス。安全な場所に連れてきてくれてありがとう」リサが微笑んだ。するとデニスはさらに顔を背けた。部屋がしんと静まり返り、気まずい空気が流れた。

アセプがデニスの肩を叩いた。「デニス、今渡さないの?」

「あとでいいだろ、まだ治ってないんだし」

リサは二人の会話の流れを読もうと首を傾けた。部屋の中をざっと見回してから、デニスは細長い箱を取り出した。ザヒラがそれを受け取り、リサの胸の上に置いた。

「本当は退院祝いのつもりだったけど、来たついでにあげちゃう」

リサが箱を開けると、オレンジ色の鞘に紫のラインが走る一対のダガーナイフが入っていた。

「お前の武器だ。元はボスが外に頼んで作ってもらったやつ。お前のドジで無鉄砲な戦い方に合わせてちょっとアップグレードした」

リサは一本を手に取り、鞘を顎で挟んで引き抜いた。刃がきらりと光った。刃の本体の手前に小さな穴が開いていた。

「あ、そうだ。横の下のボタンを押して、『起動』って言ってみて」

リサはデニスを見てから、言われた通りにボタンを押した。

「音声識別が必要です」

リサはまたデニスを見た。デニスが頷いた。

「起動」リサが言った。

「音声を録音しています。保存中」少し間があってから「武器、起動しました」

電流が刃を瞬時に走り、十分明るい輝きと共に散った。

「今はまだレベル1だけど。鞘に戻してみて」

ザヒラが鞘を空中で持ち、リサが起動したままの上に向けて。ザヒラが鞘を放すと、するりとナイフを完全に包んだ。鞘の紫のラインが電流で光り始めた。

「鞘にも電流を流せる。威力は落ちるけど、ドラウンドと戦う時か、まあ普通の人相手でも一番使うのはこっちだと思う」デニスが説明した。

「でも喉を切られたら起動できないじゃないか」アセプが口を挟み、部屋中がどきっとした。

リサは思わず自分の喉をさすった。「そ、そんな怖いこと言わないでください、ボス」

「現実的な話だろ」

「現実的には喉切られたら死んだよ」デニスがぼやいた。「ボタンを二回素早く押しても起動と停止ができる。音声起動は両方同時に使いたい時に便利なだけで」デニスが説明を続けた。

「なんで二本なんですか?」リサが聞いた。

「金があったから、お前が俺に借――」アセプが続きを言う前にザヒラが腹を叩いた。

アセプはお腹をさすった。「近距離で一本落としても替えがある。両方使えば攻撃範囲も広くなる」アセプはベッドの下に隠していたものを取り出した。二キロのダンベルをザヒラの隣に置いた。「右手が治るまで時間がかかるから、左手を遊ばせるな」

デニスとザヒラがため息をつきながら首を振った。一方コイはさっき置かれたばかりのダンベルで腕の曲げ伸ばしを始めていた。

「あ……」リサはゆっくり頷いた。「はい、練習します」

「落ち着いて。来週はザヒラがそばにいてくれるから」

「ザヒラ先輩が?」リサはザヒラを見た。ザヒラは小さく笑って頷いた。

「そう、ははは。昨日のことで一週間の謹慎処分になって。本当は今週と昨日が休みのはずだったんだけどね」ザヒラはぎこちなく笑ったが、アセプが頭を掴んで止めた。

「『今はちょっと疲れてます、無理です』って言えるようにならないと。HQは常にお前の状態を把握してるわけじゃない。一番わかってるのはお前自身だ」アセプはザヒラの頭を軽く揺すりながら、目をリサに向けた。リサは包帯をさすりながらゆっくりと頷いた。

横から振り回す音がした。コイがダンベルを片手から片手へと投げて遊んでいた。

「はい、私も気をつけ――」

ガランッ!!

コイがジャグリングしていたダンベルが吹っ飛び、届いたばかりの新鮮な果物と花束が乗ったテーブルに直撃した。果物が全部転がり落ち、いくつかが床で割れた。コイは口を押さえた。尻尾がぴんと固まる。

「ご、ごめんなさい……わざとじゃない」コイがぶるぶる震えた。

「リサ、お前は果物と縁がないみたいだな」

リサは大きくため息をついて、ベッドに体を沈めた。

これも、毎日のことになるのかな……

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