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21 乙女ちゃんって、男でしょ?

 翌日の昼休みは綾小路に話しかける隙もなく、南雲の手によっていつもの屋上へと連行されてしまった。

 綾小路と仲良くなりたくてとにかく接触回数を増やそうと思ったのに、水を差されて南雲に反感を覚える。


「おい、南雲──」

「乙女ちゃん、一人っ子だよね?」


 俺が怒る前に、南雲は斜め上の問いをぶつけてきた。

「そんなことより……」

「答えてよ。一人っ子でしょ?」

 珍しく、南雲に圧がある。


 ただならぬ気配を察知して俺は大人しく答えた。

「……だから、なんだよ」

 前世の俺には姉がいたが早乙女乙女は一人っ子だ。


「──おかしすぎるんだよ、昨日の件とか、女子への対応とか」


 何かを、疑われている。


 別に南雲に後ろめたい嘘をついたことはない、はずだ。

 伊集院や鬼塚との関係を説明しなかったからだろうか?

 いや、それは南雲だって聞いてこなかったんだから、特段気にするような事項じゃないだろう。


 なら、なぜ、俺は今南雲に問い詰められている?


「なにがおかしいんだ? 特別なことをした覚えはないぜ?」

「ほら、今思えばその喋り口調も──個性的な喋り方が好きだっていうなら、謝るけど」


 喋り口調?

 南雲が何を意図しているのか、まったく掴めないのは俺が空気を読めないからじゃないと思う。


「さっきから、お前なにが言いたいんだよ?」

「……じゃあ、聞くけど」

 南雲はキッと俺を、真っ直ぐ見据えた。


「乙女ちゃんって、男でしょ?」


「──……っ」

 言葉を失うとはまさにこのこと。


 もしかしたら、南雲は“中身が男っぽい女子”を指しているのではないか、という言い逃れもできた。

 しかし、そんな性格的な意味を指して「男でしょ?」と聞いていないのは、火を見るよりも明らかだった。


 ──中身が男だとバレている。


 隠しているつもりはなかった。

 だからこそ最初、南雲が何を知りたいのかわからなかったのだ。


 男子高校生が女子高生の体に転生したと言って、いったい誰が信じるって言うんだ?


「…………」

「…………」


 目の前に立つ南雲は、真剣な眼差しを俺から逸らさない。

 俺はその目を、信じてみたくなった。

 もしかしたら、この世界で俺の正体を知る、俺の目的を手伝ってくれる仲間ができるかも知れない。

 そんな一縷の望みをかけて。


「……絶対に笑わないで、真剣に聞くって約束するか?」

「する」


 南雲は神妙な面持ちのまま、コクリとうなずいた。

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