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弱気な花占いの魔女。


突然絡んで来た人達を撃退して、スッキリした顔で我が家へ戻るスーリさん。


ちらりと横顔を見れば綺麗な女性。

だけど本当は男性。

世の中って不思議なことが起こるな‥。あと、今更気付いたんだけど、なんで変身する度に服のサイズがぴったり適正サイズになるんだろ。不思議だ。



「どうかしましたか?」

「あ、いえ、今回スーリさんがいてくれて、本当に良かったなって思って‥」

「そうですか。騎士として役立てて何よりです」



嬉しそうに微笑むスーリさんに、まさに騎士!としみじみと感心した。前世の記憶も薄っすらしかないけれど、こんな風に紳士な人って周りにいたかな?


思い出そうとしながら山道を歩いていると、スーリさんは私を見て、


「‥明日はいつ頃治るかの期間を占って貰おうと思ってます」

「そう、ですね。目安は欲しいですよね。そういえばスーリさん、いつまでこちらにいられるんですか?お仕事もありますよね‥」

「明日、目安がわかって‥、手がかりになる場所も占って頂けたら、一度戻って準備をしてそちらへ向かおうと思っています」

「え、そうなんですか?」

「‥こんな体ですが、元は男性ですし」

「そうだった」


うっかり忘れちゃうんだよなぁ。

私の言葉に小さく笑ったスーリさん。うむ、優しい人で良かった。


まぁ、スーリさんが今日傭兵の人達を倒してくれたから、明日はギルドの人も歓待してくれそうだし、大丈夫だろう。そんなことを思いつつ家が見えてくると、スーリさんがそっと私の手を離した。



「もう、大丈夫そうですか?」

「はい!お陰で落ち着きました。ありがとうございます!」

「それは良かったです」



穏やかに微笑むスーリさんに、大変癒される。

こんなに優しい騎士さんの呪いが早く解ければいいな。しかし、期間‥。期間か、確かに長引くと大変だしなぁ。頼むぜ私の唯一の魔法!いい結果を出してくれればいいな‥と、願いつつ家の中へスーリさんと一緒に入った。


「すぐご飯作りますね!」

「はい、ありがとうございます。何かお手伝いができる事はありませんか?」

「今はお肉を焼くだけですし‥」

「そう、ですか」


心なしかしょんぼりした顔をするスーリさん。

綺麗な女性のしょんぼり顔‥それはそれで可愛いな。

私は外のテラスに干してあるハーブの存在を思い出し、小さな籠をスーリさんに差し出した。



「あの、外に干してあるハーブを持って来て頂けますか?」

「はい!!もちろんです」



パッと嬉しそうに微笑んだスーリさん。


‥可憐だ。

しかし、騎士さんって仕事に実直!真面目!な、イメージだったけど、こんな風にニコニコしているものなんだな。あ、オフだから?


スーリさんは私の手から籠を受け取ると、早速外のテラスへ向かって行ったので、私は買って貰ったお肉を早速調理を始める。スープは朝作ったのをちょっと伸ばして、パンは昨日焼いたのがあるから大丈夫だろう。



パンをフライパンで焼いて、もう片方のフライパンに塩胡椒したお肉を皮を下にしてパリパリになるように焼いていると、籠にハーブを入れたスーリさんが戻って来た。


「ハーブはこれでいいですか?」

「はい、ありがとうございます。早速いくつか使いましょう」

「これを?」


籠の中を興味津々でスーリさんが見つめるなか、私はいくつかのハーブの葉っぱを千切って、焼いているお肉の中に入れて、



「美味しくなーれ!」



と、呪文のように唱えると湯気で縮んでいた葉っぱがふわりと広がった。


「魔法ですか!?」


驚いたように目をキラキラさせたスーリさん。



「ふふ、魔法のように見えました?これ、湯気に当てるとこうやって綺麗な葉っぱに戻るんです」

「そうなんですか?まるで魔法ですね」

「わかります。私も母が毎回見せてくれる度に「魔法じゃないの?」って聞いてました」

「そういえば、リルリ様はどんな魔法を使うのですか?」

「母は薬草に魔法をかけられるんです。その薬草で風邪や痛み全般に効く薬を作れたので、村のみんなはそれは重宝してました。私もそういう魔法が使えたら良かったんですが、花占いだけで‥」



皆の「エララは違うの?」と、いう言葉を思い出すと、胸が重くなる。

私だって魔法をもっと色々できたらって思ったさ。でも、出来ないものは出来ないんだ。


するとスーリさんはフライパンの中のお肉をじっと見つめ、


「けれど、私と違って美味しそうな料理を作れる上に、ハーブが湯気で広がるのを知っています。素晴らしいです」

「そうですか?」

「それに花占いができるんです!私はできません」


スーリさんが断言して、胸を張るので笑ってしまう。


「もしかしたらスーリさんも占いなら出来るかもしれませんよ?」

「そうすると、騎士で魔女になってしまいますね」

「確かに!でも魔女になりたいですか?」

「‥‥魅力的ですね」

「魅力的なんですか??」


驚いてスーリさんをまじまじと見つめると、



「だって、魔法を使えたらやっぱり嬉しいです。だからエララさんが羨ましいです!」



と、初めてそんなことを言われて私はまたも目を丸くした。

でも花占いは誰でも出来る、かも???




花占い、奇数の花で好き、嫌いって占っては「ダメか〜」と

呟いたことがある子は手を挙げなさい。同志!!同志よ!!

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