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大暴れ!白百合の騎士。


スーリさんと手を繋いでお肉屋さんへ行けば、お肉屋さんのおばさんは驚いた様子で私を見て、


「随分と綺麗な子だねぇ!エララの友達かい?」

「えーと、はい!」


‥まさか私の花占いを頼ってやってきたお客さんとは言えない。

なにせ魔女だって事も秘密にしてるし。


一方のスーリさんは、興味津々で並んでいるお肉を見ている。

うーん、お肉屋にいた周りの人達は綺麗なスーリさんに驚いてチラチラと見ているというのに、騎士さんってメンタル強いな。



「エララさん、お肉のお金を出しますからお勧めを教えて下さい!」

「え、いやいや、それは私が‥」

「お世話になるんですから、それくらいさせて下さい」

「ええ‥」

「それに明日もお願いしますし」

「‥うーん、じゃあ、今日だけ?」



私の占いがそこまで信頼されているのも、なかなかプレッシャーを感じるけれど、スーリさんにとっても死活問題だもんね。そう思い直して、私はお肉とちゃっかりチーズまで買って貰った。


「さ、じゃあ帰りましょっか」

「はい!」


ワクワクとした顔で返事をしたスーリさんにほっこりする。

可愛いなぁ〜〜と、微笑ましい気持ちで一杯になった私の手をさっと握って、一緒に歩くスーリさん。



と、二人で家に戻ろうとすると、途中であまり村では見ないガラの悪い男性達がこちらをジロジロと不躾に見てくるので、怖くなってスーリさんの手をギュッと握った。



「エララさん?」

「あの、あっちの通りを行きましょっか」

「え、はい?」

「え〜〜、ちょっと待ってよ。銀髪の子とお話したいんだけど?」



私が避けようとしたのを察知したのか、ガラの悪い男性の一人がニタニタしながらこちらへ寄ってきた。


う、うわ〜〜〜!!面倒臭いのが来たぞ。

でもここで何かあってはスーリさんが危険だ。


「スーリさん逃げましょう!」


走って逃げようとすると、男性の一人が私の前に立ち塞がって「ダメ〜」なんて言うから、ビクッと体が跳ねると、スーリさんはサッと逆に私を庇うように立ち塞がった。


「す、スーリさん!?」

「スーリって言うの?綺麗な名前だねぇ」

「お褒めの言葉、どうも。けれど、先を急いでいるのでそこを退いて頂けますか?」

「じゃあ、一緒にちょっと遊ぼうよ」


ニヤニヤと笑うその顔に、サッと青ざめて思わず周囲を見回した。


誰か呼んでこないと!

ギルドまで走れば間に合う?

迷っている私を横に、男性がスーリさんに手を伸ばした瞬間、



男性が宙を舞った。



「「「え?」」」



私と、飛ばされた男性、そして後ろでそれを笑って見ていた男性達も目を見開いた。



ドン!!と、鈍い音を立てて地面に落ちた男性は目をパチパチと瞬きしたかと思うと、怒りの形相でガバッと起き上がった。



「この女‥、よくもっ」

「痴れ者!!恥を知れ!!!」



一喝したスーリさんが、男性が振り上げた拳を受け止めたかと思うと、そのまま腕を掴んで、見ていた男性達に向けて投げ飛ばした。


「え、ええええええ???!」


男性達は団子のようにもつれて倒れたかと思うと、そこへ突っ込んで行ったスーリさんが、すかさず男性達の頭に豪快に蹴りをかまして、私はもう目を丸くしてそれを見るしかできなかった‥。



そうして、騒ぎを聞きつけて駆けつけてくれたベルナルさんやギルドのおじさん達が到着した時には、コテンパンにやられて伸びた男性達の山‥。ベルナルさんはポカーンとしている私を見て、



「え、あれ?あたしはあんたとスーリオンさんが絡まれてるって聞いたけど‥」

「一応確かに絡まれていたんですけど、スーリさんが瞬殺しまして?」

「え!すごいね!綺麗なだけじゃなくて強いなんて、最高じゃないか!」



豪快に笑ってスーリさんの背中をバシバシと叩くベルナルさんに、全くブレずに微笑むスーリさん。‥そういや白騎士団の副隊長だった。可憐な姿から想像出来なかったけど、すんごい強いって有名だもんね。女性になったくらいじゃ負けないのか‥。


「ところでこの方達は、どこからいらしたんでしょう?」


スーリさんの言葉に、ベルナルさんが顔を顰めた。



「隣の街の傭兵崩れだね。さっき最近恐喝して金を巻き上げている連中がいるって、ギルドに報告が来たんだ。こんな辺鄙な村まで来て、悪さしようなんてどうしようもない連中ね」

「隣の街‥」

「街の近くで珍しい魔物が出るからって、傭兵崩れが金目当てに集まっててね。魔物退治は助かるけど、流石にこういうのは本当に困るわ」



そう言いつつベルナルさんが伸びている男性達を手慣れた様子で、あっという間に縄で縛るとギルドのおじさん達が、伸びたままの男性達をズルズル引っ張っていった。い、いいのか、その方法で‥。


その光景を見ていると、スーリさんが私に手を差し出した。


「え‥っと?」

「怖い思いをさせてしまって、すみません」

「いやぁ?それはスーリさんでは‥」

「私はああいう手合いには慣れています。でも、貴方は違うでしょう?」

「え、っと、まぁ、はい」

「落ち着くまでは側にいさせて下さい」


にっこり微笑んだスーリさん‥。



騎士の鑑かよ!!!!



心の中で叫んだけど、まさに鑑だ。

私は差し出された手に、そっと手を重ねると、ゴツゴツした綺麗な手が優しく握り返してくれて、それだけでホッとした。うん、私は確かに怖かった。だけど、スーリさんは怖くない。



「ありがとうございます‥」

「とんでもありません。それに、ちょっと思い切り体を動かせてスッキリしました!」



晴々とした顔で微笑んだスーリさんに目を丸くすると、隣で話を聞いていたベルナルさんが爆笑して、


「いいねぇ!スーリオンさん豪快で!エララをこれからも頼むね!」

「いや、頼まれても‥ねぇ?」


スーリさんに思わず同意を求めると、スーリさんはにっこり笑って、



「もちろんです!」



と、宣言してくれたけど、いやぁそりゃ無理だっぺ‥。




全開で倒す騎士っていいよね!!!!(癖です

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