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魔女、バグを起こす。


白百合の騎士と呼ばれて、切れてデスクを真っ二つにしたなんてスーリさんは言ってたけれど、真面目で優しい人なんだろう。


馬を連れて私と一緒に歩いてくれたけど、同じスピードとは気遣いの塊〜!


まさに白騎士だなぁって思うけれど、横を見れば美女。銀髪の前髪を耳に流す仕草さえ様になってしまう。ほおっと見惚れていると、



「村が見えてきましたね」

「は、はい!!」



スーリさんが私を見て、にっこりと微笑んだ。

美女の微笑みの破壊力よ‥。確かにこれは白百合の騎士って言っちゃうわなぁと思った。絶対言わなんけんども!


村の入り口‥と、いってもちょっとした木の柵しかなくて防御力に乏しい我が村。


まぁ、この辺は魔物もそんなに出ないし、出たとしても小さなタイプの魔物だ。それよりは野犬とか狼の方がよっぽど怖い。そういうのはちゃんと入って来ないように魔道具が設置されてるけど。


早速、村の木の柵を開けようとすると、



「エララさん、村に入る前にすみませんが肩に触れて頂いても?」

「あ、は、はい!」



そうだった!

手を上げてスーリさんの肩に触れようとすると、



「お!エララか?さっきアルが世話になったなぁ〜〜!」



パッと小さな家から顔を出したアルのお父さんが、手を振りながらこちらへやって来た。


「お、おじさん。どうも‥」

「それよりそっちの人は誰だい?エララの所へ行きたいっていうものすげぇ〜〜格好いい男に馬を貸したんだけど‥」


そう言いつつスーリさんをまじまじと見つめるアルのお父さん。

え、えーと、なんて説明しよう??私が口ごもっていると、スーリさんはにっこりと微笑み、



「先ほどは兄がお世話になりました。兄は一足先に街へ戻ったので、妹の私が馬を返しに参りました。兄からはくれぐれもよろしくと‥。お陰でエララさんに会えたと感謝していました」



なるほど!!その手があったか!!

心の中で膝を激しく打った私は、横でウンウンと態とらしく頷くと、おじさんは「妹さんかぁ!確かにそっくりな上に綺麗だなぁ」としみじみと言ってから、私をちらっと見て、


「大丈夫、エララも可愛いぞ!」

「‥‥おじさんの腰痛の薬、うんと苦くしておきますね」

「あ、ごめん!可愛い!すごく可愛い!!」


まったくこのおじさんときたら‥。

前世だったら顰蹙ものだぞ!じとっと睨んでいると、スーリさんは私をじっと見つめ、



「エララさんは、確かにとても可愛らしいですね」

「っへ?」

「ですよね!あ、馬、役に立って良かったです!それじゃあなぁ〜〜!!」

「あ、こら!!」



おじさんは馬の手綱を半ば引ったくるように受け取ると、そそくさと逃げてしまった。‥絶対、腰痛の薬を苦くしてやろう。


すると、横にいたスーリさん大変真面目な顔で私を見て、


「エララさん、本当ですからね?」

「い、いや、それはもういいんで!!!」


そんな綺麗な顔の女性に言われても!!あ、違った男性だった!

とはいえ、嬉しいとか思っちゃうけど!


「と、とりあえず、馬は返したし、薬草を卸しに行きます」

「はい!」


ちょっとワクワクした顔で村を見渡すスーリさんに、村の人達がじっと見ている。‥わかるよ、綺麗な人って見ちゃうよね。でも、あからさま過ぎるんで、もう少し控えめに見てやってくれ‥。



「スーリさん、こっちですよ」



綺麗な手を握って店の方を指差せば、スーリさんが驚いたように私を見つめた。ん?何かあったのかな?私は周囲を見回すと、少しスーリさんは照れ臭そうに、


「あの、手を‥」

「あ、はい?」


いや、こっちだよ〜って思って手を引いただけなんだけど、何か不味かった?そのまま手を引いて、お店の方へ歩いてから、ハッとした。



スーリさん、男性やんけ!!!



つい女性だから、何も考えずに手を握っちゃったけど、無礼にもほどがあるな!?慌ててパッと手を離し、


「‥‥すみません、つい、村の女の子にするようにしてしまって」

「‥‥村の」


うう、白百合の騎士って言われて怒ってたのに私ときたら!

ペコペコと頭を下げると、スーリさんは小さく笑った。



「確かに今は女の子ですからね」

「うう、す、すみません!!!」

「ふふ、でもこうして手を引かれる事がなかったので、少し新鮮です」

「そう言って頂けると‥?」



クスクスと可笑しそうに笑うスーリさんの姿に思わず力が抜けてしまう。よ、良かった優しい人で‥。ほっと胸を撫で下ろし、ドライハーブがそこかしこに吊られた店へ入ろうとすると、サッとスーリさんがドアを開けてくれた。ジェントルメンか!


「あ、ありがとうございます!」

「いいえ、お先にどうぞ」


にこりと微笑むスーリさんの美しさよ。

周囲の村人が、じっと見ているのも気にせず一緒にお店に入ると、スーリさんが私の方へ顔を寄せてくるのでドキッとした。な、なんだべ!??



「‥あの、ところで私の顔に何か付いてますか?なんだかずっと見られていたようですが‥」

「うーーーん???」



‥綺麗な顔は付いてますね!

とは言えねぇべなぁ‥。




今日も読んで頂いてありがとうございまぁあああっす!!

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