表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/145

秘密の白騎士。


歩いて15分くらいの距離になる村の山‥。

傾斜は緩やかでハイキングには適しているし、そこまで木々も背が高くないから犬を見つけやすいといえば‥見つけやすい?


山道を登りながら周囲を見回してみるけど、どこにも気配は感じられない。


「うーん、どこかなぁ‥」

「エララ、もう一回占えればいいのになぁ」

「ちょっとそこ黙ってなさい」


1日1回!お一人様限定なのは仕方ないでしょ!

私だって何度もなんで1回だけなんだ!!と、思ったわい!

と、スーリオンさんがアルを見て、


「犬は人懐っこい子ですか?」

「え?あ、ああ、そうですね。姉ちゃんと遊ぶのも大好きで‥、」

「どんな風に遊んでいますか?」

「ボールを投げたり、口笛を吹いて呼んだりとか」

「なるほど‥」


スーリオンさんが、早速とばかりに口笛を吹くと、結構大きな音で私とアルが驚いた。音、でっか!?肺活量の違いか?



と、ワンワン‥と、遠くで犬の鳴き声が聞こえた。



「あいつだ!!」

「流石、何度も逃げられてるからよくわかるね」

「鳴き声がした方へ行ってみましょうか」

「は、はい!」



3人で鳴き声がした方へ歩いていくと、少し急斜面になった崖の上に出て慌てて足を止めた。


「いた!!あいつ、崖に落ちてたのか‥」

「え?どこどこ?」


アルの横から顔を出して下の方を見てみると、急斜面の崖の一部に木が生えていてその枝と枝の間に、ベルナルさんの愛犬ベロが困ったように鳴いていた。


「あ、あんな所に‥」

「縄を持って来れば良かったな」

「いやいや、どうやって助けるの‥」


崖の下を見れば、3mくらいはある‥。

下に木々は生えているからうまく着地できればいいけど、わんこを抱えて降りるにはリスクが大きい。



「私が行きましょう」

「「え!!??」」



スーリオンさんがマントを外すと、「持っていて頂いてもいいですか?」と聞くので頷きつつ受け取ったけれど、ここから木に飛び乗るのも結構危険だと思う。


「やっぱり誰かを呼んできますよ!」

「いえ、丁度この体に戻ったので今なら問題ないです」

「‥体???」


アルが不思議そうに首を傾げたその瞬間、スーリオンさんはパッと地面から崖に生えている木の方へ滑るように落ちて行ったかと思うと、驚いて動けないベロを掴んだ。



その途端、パッとスーリオンさんの体が縮んだ!



「え!!?」



も、もしかして女性化したの?

ザザッと勢いよく下の木々の間に滑り込んでいったスーリオンさんの方へ急いで走っていくと、驚いたアルも遅れて走り出した。


「い、今の人、なんか一瞬小さくなってないか?」

「ええと、詳しくは言えないけどちょっと訳ありで‥、それより早く崖下に行かないと!」


急いで崖下の林の方へ走っていくと、ワンワン!と元気な犬の鳴き声がした。



「ベロ!」

「スーリオンさん!」

「‥‥この子、女の子だったんですね」



ベロを抱えて眉を下げて笑ったスーリオンさんは、一番最初に出会った美女に姿を変えていた。なるほど‥、つまり女性という生き物全般に触れると女性になっちゃうってこと?


アルはアルでさっきまで男性だった人が女性になってしまった事で、完全に混乱した顔になっていたが、私は腕を小突いてベロを指差した。


「ほら、早くベロを受け取ってあげて!」

「あ、あの、ありがとうございました!!」

「いえ、犬の方は怪我もないようで何よりです」

「は、はい!!」


‥若干、頬を赤らめてベロを受け取ったアル。

おい、その人本当は男性だからね?とはいえ、なんてアルに説明しようかと思っていると、スーリオンさんは困ったように微笑み、



「今回、呪いを受けてこのような姿になってしまって‥。ただ、出来れば口外しないようにして頂けると助かります」

「も、もちろんです!!」

「ほら、アル!すぐにベロを連れて帰らないと、そろそろベルナルさん帰ってくるよ!」

「そ、そうだった!それじゃ、あの、す、スーリオンさん、ありがとうございました!」



頬が赤いままベロを抱えてダッシュで村の方へ走って行ったけど‥、スーリオンさん、男性か女性かちゃんと説明しないままだったけど、いいのかな?チラッとスーリオンさんを見ると、にっこり微笑み、


「‥男性相手にこの姿の時は、適当にはぐらかしておく方が良いと最近気付きまして」

「なるほど。それは良いアイデアです。まぁ、アルは私の事も黙ってくれている子なので大丈夫だと思いますけどね」


ベロを逃してはよく私に泣きついてくるけど、それ以外は割と世話焼きでなんだかんだで優しい子なのだ。‥ただ、今回はスーリオンさんに惚れてないか?って感じがしたけど。うん、まぁ頑張れアル。



「それよりスーリオンさん、第二騎士団は大分この村から離れてますよね?今日はどこかで泊まるんですか?」

「あ、はい。この村で宿を取ろうと‥」

「えっと、この村に宿はなくて‥」

「では野宿を、」

「いんやダメだべ!!女性一人で野宿なんて危険だっ!!」



思わず方言出ちまった!

元は男性で、騎士だってことをすっかり忘れた私の言葉に、スーリオンさんは驚いたような顔をして、


「‥女性とは、本当に不便な生活を強いられているのですね」

「いや、男性もそれなりに大変だとは思いますけど‥。まぁ、今日のところはうちの薬草の保管部屋にでも泊まって下さい。さっき変化したのを見て思ったんですが、女性全般に触れると女性化してしまうんでしょ?」


そう言うと、スーリオンさんは目を丸くしたかと思うと小さく頷いた。



「‥‥よく、わかりましたね」

「まあ、一応魔女ですから?」



なんて笑ったけど、たった一つしか魔法は使えないけどね〜〜。




小さい頃、魔女になりたかった私は箒を跨いで

崖から飛んで、落ちた事がありまして‥。

そんな私に「いいね」お願いします!!♪( ´θ`)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ