表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/145

花占いの魔女、褒められる。


占いとは関係なく3ヶ月うちに滞在することになったスーリさん。


美青年と美女との共同生活‥。

いや、そもそもスーリさんは一人だ。

そこんとこ間違えるな私。


そんな事を考えつつ、あっという間に眠って、朝である。



「なんか早過ぎない???」



お日様の動きにまで突っ込む私だけど、朝は朝である。

身支度をしてから、外の植物たちに水を上げようと外へ出ると、家を囲んでいる木の柵の向こうにスーリさんが歩いている姿が見えた。


昨日着ていた薄い空色のシャツに深い紺色のシャツ。


草原の中に空がいるみたいに綺麗で、思わず心臓が跳ねた。

くわ〜〜〜!!美青年って様になるだなぁ!!



「スーリさん、おはようございます!」



ちょっとドキドキしたけれど挨拶をすると、スーリさんはふふっと微笑み、


「おはようございます。今日も良い天気ですね」

「あ、はい。そうですね、暖かいし最高です!」


会話に困ったら気候の話にかぎるわ。

私は頷きつつ、空を見上げれば確かに良い天気で、風がふんわりと甘い花の香りを運んでくれて、春だなぁ‥と、しみじみとしてしまう。



「この辺りは冬は雪は降るんですか?」

「いえ、ここいらは暖かいので全然。スーリさんの住んでいた場所は降るんですか?」

「実家は山の方にあるのでよく降りますね。騎士団の方は、時々降っています」

「そうですか〜〜。雪はずっと見てないなぁ〜」



お母さんと住んでいた村も結構穏やかな場所だったから、雪とは無縁だった。前世の薄っすらした記憶で、雪景色の中遊んでいた記憶があるくらいだ。


「それでは、いつか騎士団にいらして下さい。といっても、雪がいつ降るかはわからないですが‥」

「それこそ花占いしますよ」

「なるほど!それは便利ですね」


スーリさんがそう言ってくれて、私もはたっと気が付いた。


そっか天気予報!

占いが当たる、当たらないって悩んでたけど、天気を占ってみれば確実にわかっていいかも‥。ちょっと天啓を得た私はスーリさんを見上げ、



「スーリさんと話していると、色々得るものがありますね‥」

「そうなんですか?」

「あ、ええと、私って占いがずっと当たらないって思い込んでいて、ずっと自分のことを占うことをしなくなって‥。けど、スーリさんが来てからやり方を変えたら違うのかも‥とか、色々発見がありまして」



美青年のスーリさんに話すのに緊張しつつ、しどろもどろで説明をすると、スーリさんは私の話を聞いて嬉しそうに微笑み、



「魔女様の新たな発見の一助ができた‥と、いう事ですね!光栄です」

「う、そんな魔女様なんて‥。花占いしかできないのに」

「花占いができるなんて素晴らしいのに?それに試行錯誤して、更に発見を重ねていく姿勢も素敵ですよ!」

「そ、そ、そうですか‥?」



ぐわ〜〜〜〜!!

顔だけでも情報過多のスーリさんに、言葉までも供給過多になると、照れ臭くなっちゃうんですって!思わず顔が赤くなる私にスーリさんが優しく微笑み、


「魔女様は本当に謙虚ですね」


なんて言うから、おらもうどうしたらいいだ??!

なんとかこの場を誤魔化すように、ギクシャク動きつつ「植物に水をあげてきます‥」と、言うとスーリさんが「お手伝いします!」と言うから‥、一瞬意識が遠くなった。


3ヶ月‥。


こんな美青年と一緒とか、心の臓が保つのだろうか‥。

いや、その前に呪いを解けるのだろうか‥と、考え事をしていると、思わず小石に蹴つまずいて転びそうになった。



「わわっ!」

「危ない!」



パシッと私の手首を掴んでくれて、うっかり転ばずに済んだけれど、顔を上げれば爽やかな風が似合いそうな美女のスーリさんになっていて‥。


「す、すみません!体が‥」

「大丈夫ですよ。どちらも私であることには変わりませんしね」

「確かに‥」

「それより怪我はありませんか?」

「は、はい。ありがとうございます」


美女になったスーリさんなら、背も少し低くなるので顔もうんと見上げなくて済むし気持ちも体も楽である。‥なんて本人には絶対言えないけどね。


「ここの花達は本当に元気に咲いていますね」

「へ?」

「先ほど周囲を散歩してきたのですが、ここの花達が一番よく咲いているなぁと‥」

「そう、ですか?」


思わぬ言葉に顔が緩んでしまうと、スーリさんが私をまじまじと見た。


「ん?どうかしましたか?」

「いえ、ふふ、魔女様がにこやかだと可愛らしいなぁと、」

「か、可愛い???」


美女のスーリさんに言われて目を丸くしてしまう。

それはスーリさんでしょ‥。


「いやいや、可愛くて綺麗ならスーリさんだと思いますけど」

「そんな事はありません。どう考えてもエララさんです」

「力強く否定された‥」


私の言葉にスーリさんは可笑しそうに吹き出すと、



「魔女様は謙虚過ぎますよ」



と、言ったけどスーリさんのが絶対綺麗で可愛いと思うんだけどなぁ。





謙虚って、生まれ落ちたら自動的に身につくものじゃないんだなぁ‥。

と、お仕事をしているとよく感じますねー‥‥(トオイメ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ