花占いの魔女、信じてみる!
まさかのタイミングでベロを探してくれと言うアル。
‥でもこっちは大金を預かってるし、占いもしたい。
「えーと、ちょっと後でもいい?」
「ええ〜〜、ダメか?」
「ちょっと色々用があってですね‥」
「じゃあ占ってくれよ〜〜!!頼む!!」
「‥‥あんたねぇ」
とはいえ、なんだかんだとお世話になってるので私は自分の持っていた花の種を箱に戻して、アルに花の箱を手渡した。
「今日はどの辺に逃げたかわかるの?」
「うーん、山か川の方かどっちかを知りたくて‥。魔物もまだうろついているかもしれないだろ?」
「あ、そっか。レントさん‥」
「魔物寄せの石をぶら下げてこっちに来たからな〜〜」
そうだった‥。
でもそれなら私達も外に出るのは危険なのでは?
「アルはここまでよく来られたね」
「ああ、なんか騎士がその辺うろついてたから‥」
「騎士?」
さっきお茶してた時にベルナルさんの話していた騎士さんの話を思い出した。ええと、なんか嫌な感じの騎士がいたって言ってたな‥。まさかその騎士じゃないといいんだけど。
「なんか魔物避けの石の管理をしてたレントの家を調べるのと同時に、こっちに魔物が来てないかって調べに来たらしいぜ」
「仕事遅くない?すでにスーリさんがやってしまった感があるけど‥」
「まぁ、でもやっておかないとまずいだろ」
「そんな中でベロを探しに行くの?」
ちょっと怖いんだけど‥。
と、そんな話をしていると、玄関のドアをノックされて思わずアルと顔を見合わせた。まさかの騎士さん、とかかな?
嫌な騎士だったら困るなぁ‥。
私は急いでベルナルさんから受け取ったお金をベッドの下に隠してから、玄関をスーリさんに言われた通りガバッと開けず、少しだけ開けて顔だけ出してみた。
「こんにちは、隣街の警備隊の者です」
明るい茶色の髪をした人の良さそうな青年の顔にホッとして、私はもう少しだけドアを開けた。警備隊の人‥なら大丈夫かな?
「こんにちは、あの魔物の調査ですよね?」
「そうなんです!魔物とか来た気配はありました?」
「いえ、昨日‥、と、友達が魔物避けの石を持って来てくれたので、この辺りは大丈夫だと思います」
「そうなんですか。あれ?石を持って来てくれた人って、もしかしてすっごく綺麗な女性?」
すっごく綺麗な女性‥。
うん、スーリさんだね。
というか、スーリさんそっちへ行った時はまだ女性だったんだ。
「そうです」
「うわ〜〜!そうなんですね!!皆でどこの村の人かなって騒いでて‥!一緒に仕事してる騎士さんなんか絶対に会いたいって騒いでて‥」
と、アルがわざとらしく咳をして明るい茶色の髪をした男性をジトッと睨むと、男性は慌てて私とアルを交互に見てから、
「とりあえず、今日は魔物がいないか調査するんで念の為、家に待機してて下さいね。何かあれば魔法石で連絡して下さい」
「はい。ありがとうございました」
パタンとドアを閉めると、アルは未だにドアの向こうを睨んでいた。
「‥ったく、仕事中だってのに浮かれてるな」
「まぁ、スーリさん綺麗だしね」
「それはまぁ。でも魔物が出るかもしれないのに緊張感足りないんだよ」
「お、珍しくアル君が真面目だね」
「だってあのデカさの魔物だぞ?本当にやばかったんだぞ?!あいつら本当に緊張感がないよ」
「‥姉弟だねぇ」
同じことを言ってるアルに笑うと、アルはなんともいえない顔をしたけれど、君達と知り合えて私は本当に良かったよ。
「それにしても今日は家で待機かぁ‥」
「ベロどうすっかなぁ〜〜。とりあえず場所だけ占ってくれるか?そうしたら俺だけで探しに行くよ」
「ええ?大丈夫なの?」
「まぁ、スーリさんが魔物倒してくれたし大丈夫だろ。でもお前は危ないから家にいろよ」
「アル君、お兄さんになって‥」
「アホか!」
アルと軽口を叩きつつ、結局ベロがどこの方角にいるかと占って、今回は「川」と出たのでアルは私にお礼を言うと、早速川へと向かっていった。
大丈夫かなぁ‥と、思いつつもチラチラと窓の外を見てしまう。
アルの方が足早いし、強いだろうし、でも魔物が出たら困るし‥。せめて魔物が出ないって占いでわかったら‥、
「そうだ!!そんな時の為の占いじゃないか!」
探し物は一度も当たった事がないけど、魔物が出る、出ないなら当たるかも、しれ、ない?ダメだぁああ!!自分の占いをこんなに信用できないとか‥!でも、何もしないで外へ出るのは怖いし。
「やるか!花占い!!」
花の箱を取り出して、さっき摘んだ小さな種を取り出した。
『花の力よ、小さき者に力を貸して』
そう呟くと、手の中がパッと白く光り、種から芽が出て、茎が伸び、蕾をつけたかと思うと、パッとピンク色の花が咲いた。ドキドキしながら、
「ベロを見つけるまでは‥魔物が出る、出ない」
と、言いながら花弁をむしる。
ドキドキしながら出る、出ないと言いながら花弁をむしると、残り一枚‥「出ない」と教えてくれた。
「よし!!出ない!!大丈夫!!」
最後の一枚をむしってから、私はもう一度花弁をテーブルの上に置いて、再確認した。
うん!全部で合計8枚!
「出ない」でオッケー!!
「しからば行くか!!」
念の為、連絡用の魔石を入れたポーチを下げ、いつもは掛けない家の鍵までしっかり掛けて、私は家を飛び出してアルのいるはずであろう川へと向かって一目散に走った。
方言を日本全制覇したい私です。




