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花占いの魔女と、白百合の騎士。


スーリさんの呪いが無事に解けて嬉しい!

本当に嬉しいんだけど‥、夜の月花が何故かどんどん増えているという事実。


ちょ、ちょっとこれまずくないか?私は慌てて鉢植えをひっ掴み、外へ飛び出した。


少し広い芝生になっているスペースに鉢植えを置くと、夜の月花はどんどん増え、白い花から溢れた金色の粉が地面に落ちると、今度は地面からものすごい勢いで夜の月花が咲き出した。



「こ、これ、どこまで増えるの??!」



驚く私とスーリさんを横目に夜の月花はどんどん増えている。ここれは不味くない?どんどん花が周囲に増え、あっという間に庭一帯が白い光で覆い尽くされそうだ‥。



「わーー!!増え過ぎ!ちょっと待って!ちょっと待って!?」

「こ、これ、抜くべき、でしょうか?でも貴重な花ですよね?」

「そうなんですが、うちの畑が埋め尽くされても困ってしまいまして‥、」

「そ、そうですよね」



とはいえ、私もこったら貴重な花を抜いてしまってええべか??と、迷っていると、こちらへ一羽の青い小鳥が真っ直ぐに飛んできた。


「え、小鳥‥」


こんな夜に鳥が飛んできた?

と、驚いていると、



『あらま、随分と花を増やしたわねぇ』

「この声‥、東の魔女様!?」

『覚えててくれたの?ああ、これ忘れ物よ』

「っへ?」



青い小鳥が私の目の前に、一枚の紙を差し出した。

それは、ちょっとクシャッとしているけれど、スーリさんに貰ったあの四つ葉のクローバーの栞で‥、あっと声を上げてから、スーリさんと顔を見合わせた。


「そういえば‥、ドタバタ続きで栞の存在を忘れてた‥」

「あの騒ぎでは仕方ありません。実は私も探していたのですが、魔女様が持っていて下さったんですね」

『あの無礼な輩達にその辺に捨てられたからねぇ‥』


小鳥の言葉に、ツェストの国の人達が思い浮かんだ。

私の荷物を盗んでたのか‥。改めて考えるとスーリさんの花の種も、私が集めた花の種も全部捨てられちゃったんだろうな。



『ま、少しは頑張った小さな花の魔女にご褒美をあげないとね』

「え?」



ご褒美‥?

目を丸くすると、青い小鳥は今にも畑を埋め尽くしそうな勢いで伸びている夜の月花の上を飛び、



『夜の月花よ、東の魔女が命ずるその力を栞に!』



東の魔女様がそう言うと、夜の月花がピタッと動きを止め、一瞬にして白い花達が私達の目の前で大きな白い光の塊になると、今度は私の持っていた栞が急に金色に光った。


「え?」


眩しさに目をパチパチと瞬きをすると、私の手にあった栞が一転して消え、代わりに右手の甲に五枚の薄いピンクの花びらが描かれていた。


「うええぇええ!?」

『これなら取られる心配はないわね!』

「なるほど、名案です!」

「す、スーリさんまで?!え、これ、‥すっごい魔力ですけど!?」


手の甲を見れな花びらから魔力が溢れているのがありありとわかる。

スーリさんはそれを満足そうに見て、「これで安心ですね!」って言うけど、とんでもねぇ物貰っちまって恐縮なんだども!?



『ま、何かの役に立つから!それと、白百合のように気高い騎士さん、今回も私の可愛い魔女達を助けてくれて感謝するわ』

「‥有り難きお言葉、光栄です!」

『ふふっ、貴方にも幸運があるように』



青い小鳥はスーリさんの肩に止まってチチッと鳴くと、スーリさんの手の甲にクローバーの模様が金色の光と共に浮かび上がった。


「これは‥」

『そっちは魔女の祝福よ。まぁ、あとで花の魔女にも貰っておいたら?』

「ひょえ!?」


とんでもない発言に、私とスーリさんが同時に顔を赤くすると、青い小鳥は笑うようにチチッとまた鳴くと、ふわりと空を飛び上がった。



『私の大事な花の魔女、そして騎士さん、いつまでも仲良くね』

「は、はい!」



私が返事をすると、青い小鳥はクルッと私達の前を一回転するとそのまま消えてしまって‥、私とスーリさんはぽかんと口を開けたまま、顔を見合わせた。



「‥東の魔女様から祝福を頂いてしまいましたね」

「はい。それも、騎士である私まで‥」



スーリさんはそういうと、私をギュッと抱きしめた。


「す、スーリさん?!」

「‥こんな嬉しいことが連続であっていいんでしょうか?」

「スーリさんは全然といいと思います。むしろ私もお礼をし足りないくらいで‥」

「そこは祝福のキスを頂ければ‥」

「え、ええと!今日はもう終了しました‥」

「では、明日楽しみにしています!」

「ま、前向きだぁ!」


そのポジティブさ、見習いたい!

赤い顔でスーリさんを見上げれば、嬉しそうなスーリさんが私の額にそっとキスをした。



「っへ、」

「‥騎士からのキスは、受け取って頂けますか?」



ちょっ、それ、ズルくないか?!

まじまじとスーリさんを見上げ、



「‥‥それなら、その、欲しいです」



一瞬スーリさんが目を丸くすると、私は今更ながら自分ですごい事を言ってしまったな?!と、実感して顔が真っ赤になってしまった。


「あの、でも、次回でも‥」


真っ赤な顔になった私をスーリさんは嬉しそうに笑い、

今度は額でなく、私の唇にそっとキスをした。



「何度でも受け取ってください」



スーリさんが柔らかく笑って、もう一度クローバーの模様が光る手の甲で私の頬を撫でると、一輪だけ残った夜の月花が鉢植えでゆらゆらと、照れ臭そうにキスをする私とスーリさんを揺れながら見ていたとか、そうでないとか‥。





っかーーーーーー!!!

書き切ったぞーーーー!!!

次で最終話ですぞーーーーーー!!!

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