花占いの魔女、花畑の真相!?
スーリさんからのプレゼントはワンピースであった。
そうだよね〜。
ベルナルさんから借りた白いワンピース、茨にやられて私の血が付いてるし、茂みに突っ込むわ、倒れそうになるわ、葉っぱの汁やら土埃でもう現状復帰は無理だもんね‥。自分の着ている騎士団の服をちらっと見て、
「この服も騎士団のだしね‥。とはいえ、いいのだろうか。こげな素敵なワンピース貰ってしまって‥」
プレゼントされたワンピースをもう一度よく見れば、白がベースで黄緑の葉っぱや花が刺繍してあって、それはもうすごく可愛い!そっとワンピースに腕を通して、くるっと回ってみると、ふんわりと裾が広がった。
「ううっ、めんげっ!!!」
いくつになっても女子だもん!
おらぁ、スカートがふんわりしちゃうのにときめいちゃうんだぁ!
普段はね質実剛健!!簡素!汚れが見えにくいカラーが必須!だもんねぇ。嬉しくて、ついつい部屋の中で回っていると、ドアがノックされてビクッと跳ねた。
「エララさん、どうですか?」
「は、はい!」
いけない!
外で待っていてくれたのにも関わらず、クルクル回ってた!
昨晩、額におでこにキスをされたことを思い出すと、顔は赤くなるし、動機もすごい。あああ、せめて!せめて女性だったらこんなにドキドキしないのに!
平常心!平常心だぞ私‥。
そっとドアを開いて、ドアの前で立っている男性のスーリさんを見上げると、ぱちっと目が合うなり嬉しそうに顔を輝かせた。
「ワンピース、とてもお似合いです!」
「あ、ありがとうございます‥」
「ふふっ、着て頂けて嬉しいです」
「ま、眩しい‥!!」
スーリさんが不思議そうに後ろにある窓を見たけれど、お日様よりもスーリさんが眩しかったんです‥。紛らわしくてすまね!と、思っているとスーリさんがバスケットを取り出した。
「‥朝食、良ければ一緒に食べませんか?」
「は、はい!」
「では、折角ですし騎士団の屋上で食べませんか?中庭でも良いかと思ったんですが、多分皆さんがエララさんに会いたいやも‥」
「屋上で食べましょう!!!!」
花占いしかできない私に、あげなプレゼントどっさりくだすった皆さんに合わせる顔など私はない。ないったらないのだ。スーリさんは小さく笑って、
「それではこちらへ」
「は、はい!」
さっと手を伸ばしてハッとした。
手を繋ぐ前提だったな!?スーリさんは仕事中だってのに!
慌てて後ろへ引っ込めると、スーリさんが私の様子を見てふふっと笑うと、
「‥久しぶりでも、そうやって手を伸ばしてくれて嬉しいです」
「あ、ええと、つい、すみません‥」
うわぁああ!私ときたら‥。
赤い顔で思わず俯くと、スーリさんの大きな手が私の前に差し出された。
「え?」
「‥朝食を食べている間に戻りますから、今だけ」
「い、いいんですか?」
「はい」
本当に?
そろっと手を伸ばして、大きなスーリさんの手を握ると、ポン!と軽快な音を立てて一瞬でスーリさんが女性に戻った。
女性に戻ったスーリさんを見つめると、思わずホッと息を吐いた。
だ、だっておでこにチューはされたけども、女性だし?
男性だと刺激が強いし?とはいえ、お仕事中だろうに女性になって貰って申し訳なくて‥、
「色々ご迷惑お掛けして、すみません」
「ふふっ、いえ、大丈夫ですよ」
「なんでそんな面白そうなんですか‥」
「男性の私だと、とても緊張してたので」
バレてた。
「あ、いや、格好いいから緊張しちゃうんです!でも、女性のスーリさんだってものすごく素敵だからドキドキしちゃいますよ?!ただ、若干同性だから安心するというか?」
慌ててそう説明するとスーリさんは頬を赤く染めた。
「‥ありがとうございます。そのように言って頂けて光栄です」
「あの、本当ですからね?」
「はい、あの、もう、大丈夫ですから‥」
二人で思わず沈黙して、それからそろっとお互い顔を上げると、私もスーリさんも顔が赤くて‥、つい、ぶっと吹き出してしまった。
「ふふっ、お互い真っ赤ですね」
「はい、お揃いですね」
「‥確かに。でも、こんなお揃いなら嬉しいです」
スーリさんは優しく微笑んで、私の手を大事にそうに引いてくれて‥、なんだかそれだけで、昨日の事はやっぱり夢じゃなかったんだな‥と、思っていると、
「‥あの、エララさんは、花畑の夢など見ましたか?」
「え?」
花畑の夢って、ええとスーリさんとイチャコラしちゃってたあの夢の事を言ってる?私が小さく頷くと、階段を登っていたスーリさんの足が止まった。
「あの、もしかして、白いお花がいっぱいある場所ですか?」
「‥やはり!そうです。私も、白い花畑にいて、そこでエララさんに会う夢を見ていました。連続で見たのが気になって、以前それをお話しようと思ってたんです」
「そうだったんですか?」
まさかスーリさんも同時場所の夢を見ていたなんて‥!
でも、なんで‥?首を傾げると、スーリさんが私の手を引いて、また階段を登り始めたので、私も一緒に登っていく。
「‥ヴィオラに昨晩、そのことについて話したんです。もしかして古代の花が側にあったから祭りで言われている恋人達の夢を見たのではないかと言われまして、」
「あ!言われてみれば‥、」
「長い白い髪の魔女様のお力を借りられたのも、そのお陰かもしれないと仰ってました」
「確かに!古代の花を身につけていたから‥」
え、でも、それってすごいな!?
古代の花ってすっごいパワーを持ってるって事?!
「花、すごいですね‥!」
「いえ!??エララさんが素晴らしいと言いたかったのですが!」
「ええ?でも、花があったからですよ〜〜」
「けれど、その花を咲かせたのはエララさんですし、その力を、奇跡を起こせたのもエララさんですよ」
スーリさんは私の手をぎゅっと握って力説してくれた。
そ、そうかな?でも、おら普段は花占いしかできねぇよ?
それでもスーリさんがじっとこちらを見て、「本当です!」なんて言ってくれるから‥。口元が緩んで、緩みまくってしまったのであった。




