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花占いの魔女と白百合の騎士、仲直り。


私が逃げたあの後、お祭り会場はパニック状態だったそうな。

けれど、そこへヴィオラさんが魔術で残っていた黒い影を撃退し、駆けつけたフィリスさん達が騎士団総出で皆を街の外へ誘導。



一方でベルナルさんやヴィオラさん、スーリさんが私を探し回ってくれたそうだ。



それで現在白い花弁が降って来た事で、祭りどころじゃなかったのに、皆で「魔女様の奇跡だ!」と、大盛り上がりで、またお祭りが始まったのか遠くから音楽が聞こえてきた。



私はといえば、スーリさんに抱きしめられてすごく幸せだったけど‥、向こうでニヤニヤ笑うベルナルさんと目が合って、顔が一気に真っ赤になった。



「わ、わぁあああ!!スーリさん!一旦!一旦離れましょう!!」

「‥何故ですか?」

「あ、私は気にしなくていいよ?」

「気にしますって〜〜〜!」



あまりの恥ずかしさにスーリさんに「今だけお願いします‥」と、涙目でお願いをすると、スーリさんもちょっと赤い顔になってそっと腕の力を緩めてくれた。ただ、手はかっちり握ってるけど。


ベルナルさんはそんな私とスーリさんを見て可笑しそうに笑った。


「なんだ、エララとお祭りでいい男を探しに行こうとしたのになぁ」

「‥それだけは」


瞬間、スーリさんが私の手をぎゅっと握るので、ベルナルさんが吹き出した。



「ま、仲直りできたなら何よりだ。さて、じゃあどっかで飲んでくるかな」

「え!?の、飲んでくるんですか?」

「だってあちこち走って喉も乾いたしさ〜」

「いや、そういう事では‥、」



そもそも街を駆け巡ったんでしょ?

私なんてクタクタなのにベルナルさんの体力どないなってはるの?

ポカーンとしていると、リトさんとアルがこちらへ走ってくるのが見えた。


「丁度いいのが来たわ!じゃ、私は飲んでから帰るけどスーリオンさん、エララをよろしくね。ちゃんと家まで連れて帰ってあげて」

「え、え?」


い、行っちゃうの?

驚く私にベルナルさんは大きなウィンクをすると、走って来たリトさんとアルを宣言通り連れて、さっさと飲みに行ってしまった‥。



「行っちゃった‥」

「‥そう、ですね」

「あ、でもスーリさん仕事大丈夫ですか?色々忙しいんでしょう?」

「‥たとえ忙しくても、恋人を放置するなんて出来ません」

「こ、恋人‥」



ぎゃああぁあ!!言葉の破壊力よ!!

一気に赤くなった顔をスーリさんが愛おしそうに見つめるから、ますます照れるし恥ずかしくなる!よ、良かった女性で!!これで男性だったら動機息切れ目眩がセットできっと私を襲っていた。


「ひとまず怪我の手当てをしましょう。一度騎士団に来て頂いていいですか?」

「は、はい」


スーリさんは周辺にいる騎士さんにいくつか指示をすると、私の手を握ったまま騎士団に進んでいく。周囲はあんな騒ぎがあったというのに、未だに空から降ってくる花びらを嬉しそうに見ては歌ったり踊ったりしていて、白い髪の魔女様すごいな‥って感心してしまう。



「魔女様、すごいですね」

「はい‥」



ん?

何か元気ない?

ちょっと静かなスーリさんを見上げると、赤い顔をしている‥?


「スーリさん?」

「‥‥すみません、エララさんがあまりに綺麗で、ちょっと緊張してます」

「っへ?」


綺麗?

目を丸くして、横を向いて顔が少し赤いスーリさんをまじまじと見つめた。



「会った時、何故こんなにも綺麗なのかと思っていたら、ベルナルさんがこの祭りでお相手を見つけるつもりで来たと言うから‥。とても、焦りました」

「焦る?」

「‥‥エララさんを、誰にも渡したくなくて、」



渡したく‥、

一瞬遅れてから、言葉の破壊力に顔が真っ赤になる。

だ、誰にも渡したくない?!


「‥エララさんに忘れられてしまう事を想像したらすごくショックで、やはりちゃんと騎士団に戻る際に一言だけでも声を掛けていたらと後悔して、」


それは私も同じですが、スーリさんが私の手を握って真っ直ぐに見つめてくるので、あまりの照れ臭さに言葉が出てこねぇ!!



「貴方の顔が曇ったら、離れられなくなってしまうと思った私を許してくれますか?」

「ゆ、許します!許しますから!!一旦!一旦ちょっと甘い空気が止めて貰ってええじゃろか!」



息が!ちょっと息が出来ないくらいの甘い空気に目を回す私を、スーリさんは優しく背中をさすってくれた。すまないねぇ、なにせ恋愛耐性ないんだわ。


それでも視線だけ動かして横を見ればスーリさんがいる。

その事がすごく嬉しくて、私はスーリさんの空いている手をそっと握った。



「エララさん?」

「えへへ、スーリさんがいるって思ったら嬉しくて‥」



今はそばに居てくれる事をしっかり満喫してもいいよね?

ふふっと笑うと、スーリさんの顔が赤くなった。


「‥‥早く、呪いを解かなければ」

「そ、そうですよね!そこはその、頑張りますので!」

「ありがとうございます。でも、今の言葉は決して急かす訳ではなく、自分の口から自然発生的に出たものなので気にしなくて結構です」

「い、いやぁ、そういう訳には‥」


そうだよ。

ちゃんと呪いを解かないと!

そう決意を新たにして、ハッとした。



「し、栞!!」

「え?」



小さなカバンから栞を取り出すと、やっぱりクローバーがもう2枚もない!

う、うわぁあああ!!東の魔女様から頂いたクローバーを私如きが2枚も使ってしまった!!青ざめる私に、スーリさんは嬉しそうに顔を輝かせ、


「持っていてくださったんですね」

「え、それは、もちろん!で、でも、2枚も使っちゃって‥、」

「大事な人が守られたんです。本当に良かったです!」


だ、大事な人!!?

またもすごいパワーワードに私は目を丸くすると、女性のスーリさんが柔らかく微笑み、



「誰より大切ですよ?」



なんて言うから、倒れそうになった‥。

だ、誰か〜〜〜!!騎士様さ甘い事さ言うんだけど、どうしたらええのん?これ、耐えられる気がしないんだども〜〜〜!!




糖分、糖分や‥(*´艸`*)♡

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