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心配が絶えない魔女。


あれから二人で色々話しながら昼食を食べたけど、お肉結構多かったかな?と、思ったけど綺麗にスーリさんの胃袋に収まり、これは買ってもらって正解だったと痛感した。騎士といえば体力勝負な仕事だし、そりゃ食べるよね。



「とても美味しかったです!ありがとうございます」

「お口に合って良かったです。こちらこそ美味しいお肉とチーズありがとうございます」

「では、お皿の片付けを手伝いますね」

「え?いや、お客様ですし‥」

「動いていないと体が鈍りますし、また魔法を見たいです!」

「いやいや、さっきのは魔法ではないですからね?」



フライパンに入れた葉っぱが広がる様子を言っているのはわかったけど、そんなに驚くような事ばかりじゃないぞ?しかしスーリさんはテキパキとお皿をキッチンに運んで、ワクワクした顔で私を見つめるので、お皿を洗うのでそれを拭いて欲しいとタオルを手渡した。


いつもは一人でご飯を食べる事が圧倒的に多いのに、今日はまさかの男性と一緒に食べて、一緒にお皿を片付けるとか、すんごい非日常感〜。



しかも、視線だけ動かして横を見れば、昼の日差しに当たって綺麗に光る銀髪に、緑の瞳が新緑を思わせて‥、うん、完全に別空間だな。



「お皿はそれで終わりですか?」



別空間のスーリさんに聞かれて、慌てて「はい!」と返事をすると、そっとお皿を受け取って綺麗にタオルで拭いてくれた。‥作業、丁寧だな。


「ありがとうございます。すぐ終わっちゃいましたね」

「はい。タオルはここに干しておけばいいですか?」

「は、はい!何から何までありがとうございます」


テキパキしてるなぁ〜〜。

フックにタオルを掛けてくれるスーリさんに感心していると、ドアをトントンとノックする音が聞こえた。あれ?今日は随分お客さんが来るな‥。



「エララさん、手を」

「え?あ、そっか。はい」



さっとスーリさんが差し出した手に触れると、一瞬で女性になったスーリさん。いくらスーリさんが紳士でも私が誤解を受けると心配してくれるとか‥、騎士の鑑過ぎる。いや、そんな事考えてる場合じゃない。


「ちょっと出ますね」

「はい、お気になさらず」


ニコッと微笑む可憐なスーリさん。

私もこういう風に対応できる人にならないとなぁ。


それにしても誰が来たのかな?

玄関のドアを開けると、そこにはさっき別れたばかりのベルナルさん。



「あれ?ベルナルさん?」

「ごめんね〜、お昼の時間帯に!実はさっき珍しい魔物が出るって言ってたじゃない?その魔物をこの近くでも見かけたって連絡が来たのよ」

「え?魔物が?」



4年も住んでいて、魔物なんてほとんど見かけなかったのに。

驚く私にベルナルさんもウンウンと頷いて、


「この辺、そんなに来ないんだけどね。それで魔物避けの石を村に設置してきたんだけど、エララの家は少し離れてるからね。別で持ってきたのよ」

「わざわざありがとうございます!」

「家の四隅に設置しておけばいいから、じゃあまたね!スーリさんも、また!」

「はい」


ベルナルさんは石が入った布袋を私に手渡すと、玄関の所で待っていた馬に颯爽と跨って村へと帰っていった。



「‥うーん、格好いいべなぁ」

「そうですね。乗馬が上手ですね」

「ベルナルさんとアルの家は、馬貸しですからねぇ。私も何度か乗らせて頂いたんですけど、お尻が痛くなっちゃうのが難点かな」

「乗り始めはそうなりますね」



クスクスと笑うスーリさんに、ちょっとホッとした。

女性だとやっぱりあまり緊張しなくていいかも‥。まぁ、そんな事言わないけど。


「とりあえず魔物が出るっていうし、早速石を家の四隅に置いてきます」

「私も設置しますよ。二つ貸して頂けますか?」

「いいんですか?じゃあ、私裏手に置いてくるので、玄関先にお願いします」

「はい」


布袋から拳骨サイズの青い石で出来た魔物避けの石を取り出して、スーリさんに手渡すと、スーリさんはその石をまじまじと見つめた。



「どうかしましたか?」

「‥この石は、ギルドから配られる物でしょうか?」

「そうですね。と、いっても小さい村なのでギルドはあるけど、そういった物は隣の街のギルドから支給されてるはずです」

「なるほど。では、早速設置してきます」

「はい!お願いします」



家の裏手に向かいつつ、珍しそうに魔物避けの石を見ていたけれど、あまり見た事がないのかな‥なんて思いつつ、家の端っこにそれぞれ石を設置した。


これで大丈夫!


お母さんと住んでいた村でも石を設置してあったけど、石の効力が弱まる度に埋め直していたのを思い出す。今の村はそんな石がなくても魔物が来なかったから、なんだか久々だ。



「‥お母さん、元気かな」



15歳から20歳になるまでは実家に連絡をしてはいけない。

当然家を訪ねることもできない。でも、スーリさんが来てくれてお母さんが元気そうな感じ‥なのは受け取れたから良かった。



ただね、お母さん‥。

花占いしかできない娘の元にスーリさんを送るのは、どう考えてもやっぱり違うと思うんだよねぇ。明日大丈夫かなぁって私しゃ不安でしかないよ。でもきっとお母さんは「大丈夫!なんとなるって」って言うんだろうな〜。




私の口癖も「なんとかなる!!」ですね‥。

色々あるけどなんとかなるさ〜〜。

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