迷子と資料室
取り敢えず進むことにしたが部屋を出てすぐに分岐路にあたった。どうしたもんか。取り敢えず俺の目標はこの施設から出る事。現在地が分からない以上動き回るしかない。
「にしても、無駄に広いな」
口から漏れた、施設に対しての愚痴は虚しく廊下を反響してゆく。誰だよこれ設計した奴………
ここまで大きな施設をただ一人。中々ない体験だろう。自分の年齢が『小学生』程度だったらへたり込んで泣いてるぞ。
寂しさを紛らわしながら手当たり次第に動く。迷子なんていつぶりだろうか。『親父』に幼少の頃連れられて行った『夏祭り』以来だろうか。
動き回り初めてから、それなりにして部屋を見つけた。「資料室」と謎言語で書いてある。興味を唆られたので入ってみよう。
入って見ると中は『図書館』の様に本があったのだが、本を読み漁った後に片付けない派だったのか、ところどころに本が散乱している。記憶の断片が蘇る。そう言えばの部屋もこんな感じだったな。…俺が居なくなったらあの部屋は誰に片付けられるのだろうか。そんな不安が浮上する。考えないでおこう。
本の背表紙を見ていると、気になるものを見つけた。「魔導大全」。『ラノベ』好きだった俺はそれをすぐさま手に取った。