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銛、 広大無辺の大地より  作者: あま
鯉の門昇り
34/42

安眠

「さっさと寝たい」

【迷宮内だと時間感覚が狂うから仕方ないけど丸一日歩き続けてたから、眠くなるのもしょうがないわね。】

 そんなに歩き続けてたのか。足を投げ出すように座り込む。広めな安全階層に俺一人と神一柱。寂しいな。


 今ここで寝てしまうのも一手だが。先に持ち物を整理しておこう。


 携帯食料として干し肉と樹の実。これが持ち物の大半だ。魔導大全。これがなかなか重たくて邪魔だが、魔導を学ぶには必要だ。続いて塩。ちょっとした小袋に入れられたそれは環境階層(あそこ)を出る日の前日まで、霊素を絞って造った塩だ。霊素は1日に使える量が決まっている。そのため余りがあると勿体ないので、毎夜毎夜霊素を絞り作ったのがこの塩だ。最後に銛。話を聞いていると自分がここまで早く神法を使えるようになったのも銛があるかららしい。


 持ち物は種類こそ少ないものの、持てるだけ持って出発したため相当量だ。食料は約5日分。水はその場で生成できるから楽だ。


 空腹だけれど疲れのほうがきつい。もう寝よう。───思えば今まではっきりと安全だというところで寝たことはないと思う。目覚めて始めての頃は気絶が多かった。環境階層(ワイルドフロア)の暮らしでは神から完全に安全な所はないと聞いていたから心のどこかで張り詰めた心があったのは間違いない。目を閉じて呼吸を深くする。環境階層の生活で地べたで寝るのに慣れた。しかしここは石で敷物は何もない。こんなことなら狩った魔物の革でも持ってきたらよかった。頭や腰に凹凸が当たって寝心地は最悪だ。比較的平らな所を選んだつもりだったのに。


 この世界で経験して学んだことがある。目を閉じて決して動かず、何も考えないようにすることが最も眠りに近づく方法だということだ。もともと疲れきっていたので寝心地の最悪さに比べて素早く意識が落ちていく。


───────────────────────


 寝てすぐに眩しさから目を開ける。前、気絶した時にきた場所だ。前回よりも空間がはっきりと認識出来る。また、自分の体から6歩ほど離れた所にドアがあり、いまそれは開かれた。

「やっと入れたわ」

 聞いたことがある声。しかし見たこともない女。真珠のような肌に深海のような紺の長い髪と彫りの深い顔に清流のような藍白の瞳、長身で肉付きのいい肉体に白、黄色、青で彩られた衣装と銀色の装飾品が飾られている。

「どう?前の使徒がしていた格好を参考にしてみたんだけど?」

「…誰かと思った。」

 姿をみたのは初めてではないが、人間態は初見だ。前は海に住む化け物だったのだし気付かなくても仕方ないと俺は思う。

「似合ってると思うぞ」

と一応伝えるがその容貌だと似合う似合わないの問題は超越していると感じてしまう。ダサい『Tシャツ』きてても美しさのせいでそちらに目が向かず、「あの人綺麗だなぁ」で終わってしまうだろう。

「ふふ、他人に褒められるのはなかなかないから新鮮でいいわね」

 単純に返事をそのまま受け取ったのか、それとも俺の心を読んだのか定かではないが機嫌がいつになく良さそうだ。

「ここはどこだ?」

「ここは貴方の心象世界、簡単に言えば貴方の心の中よ。」

「空間なんて作れるのか?」

「心象はどんな人間にもあるわ。でも多くの人間がそれを空間として認識することはできない。」

「つまり、そっちから干渉したってことだよな?」

「Yes」

 勝手に色々いじられているのはそこまでいい気分ではないがな。

「それでどうしてここにきたんだ。俺疲れてるんだけど。」

「ここは肉体の疲れは反映されないけど、精神的な疲れは強く反映される。ここを出てからのことを話そうと思ってたけどまた今度ね。」

「そうさせてくれ。」

「それじゃ」

 体と意識が溶けていく。そうして体も心も眠りに就いた。


 

 この話と同時に新しく「水溶液」という作品の投稿を始めます。そちらもよろしくお願いします。

 追記 この話で二章を終了し、間幕に突入します。

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