骨と肉
今回はちょっと長めです。
もし選択した道が行き止まりだったとしてもその道程は短くない。食料の観点から時間が惜しい立場として外れは引きたくない所だ。しかし結局は二分の一。50%:50%であり外れはわからない。
自分は左を選んだ。特に理由はない。強いていうするならば此方のほうが「良い」と思ったからだ。
進む。しかし所々にある行き止まりの分かれ道が思ったよりも多くて困った。分かれ道で迷っている暇はないが、しかし心残りにもなるし不安にもなる。
探索をしているということは接敵も勿論起こる。今回最初に出会ったのはデカい幼虫だった。見た感じ芋虫というのが適切で伸びて縮んでを繰り返して通路の上を進んでいる。口と思われる所は壁に張り付いてグニョグニョ動いている。腹脚は両側合計10個ほどありそれで天井を這っているのだろう。目は無いのだろうかそれとも退化したのか、確認することは出来なかった。
敵対しているのか分からないが、此方を認識していないのだから無視でいいだろう。
2回目の接敵は最初の接敵から少し行ったところで起こった。しかも最悪な形での接敵だった。なんと通路の分かれ道のではちあわせたのだ。
敵は2体だった。その姿は──骸骨、いわゆるスケルトンだ。自分と骸骨両方が驚いて飛び退き、骸骨は俺に対して威嚇しているのか嗤っているのか分からないが口の骨をカチカチと鳴らして俺に向き直る。
得物は2体とも片手剣。防具は2体ともボロボロだが一応着ていて革製のものと鉄製のものだ。鉄製のものは大きく切り裂かれていて生きる者の防具としては不適切だろう。武器を前に構えて臨戦体制だ。
【アンデット系の奴は面倒ね。コアを壊すか『浄化』しないと倒せないし魔素量によって大きく強さが異なるせいで安定した危険度の設定ができないから。】
観察していると余り強そうに見えない。特に右のやつ。骨が一部損傷しており、武器の構えが不安定で剣先もガタガタふるえている。しかも左の個体より骨が細く、肩幅も小さい。
魔導を使うには余りにも近すぎる。神法は使い切ったし、体も心も疲労を感じはじめている。接近戦で速攻するしかないだろう。
右のやつを放置して左の骸骨に突貫する。骸骨は驚いたように剣を振り回す。ひ弱なのかそれとも骨の軽さに反して武器が重すぎるのか、大振りで大雑把だ。勿論避ける。しかもそう広くない空間で振り回したせいで壁に剣が引っかかった。
「っし!」
心臓のある場所に銛を突き刺し、相手はただの骨なのでその勢いで押し倒す。骨だけの魔物だからか身長の割に軽く、体重をかけなくても押し倒せた。右足の骨を俺の右足で、左腕の骨を俺の左足でそれぞれ踏んづけ、左肩と左腕の骨の接続部、心臓、首、目、眉間の順番に銛を穿ち込んでいく。
眉間を貫いたとき、何かを破壊する感覚を捉えた。そうして魔素が入り込んでくる。
さ、残りは右のやつだ。ヨタヨタフラフラとしており、剣すらまともに振れそうにない。しかし、ここで油断するわけにはいかないのだ、気を引き締めよう。
相手に対して半身になって銛の先端を向ける。俺の肩から腹を裂くように切りかかってくるので銛で弾き飛ばすように薙ぐ。弾くことはできて体制も崩した。攻め時だ。トドメをさすためにさらに接近しようとする。
しかしそんなとき、体中の血が急速に冷たく凍っていくように感じる。
そう、死だ。死が自分の回りにある感覚だ。目に見える凶器ではない魔導か。そうか奴は後衛か。銛を体の前に持ってきて衝撃に備えようと構える。
人間の頭ほどの大きさの岩が生成されて俺の顔面に向かって飛んでくる。幸い頭狙いだったので屈んで避ける。
当たったら肉が弾け飛んで骨がひしゃげていただろう。
骸骨は屈んで攻撃の姿勢をとれない俺に向かって剣を振り上げて襲ってくる。が、俺は骸骨に銛を向けて、屈んだ状態から一気に片足を踏み込み、突くことによって仕留めようとする。
死力を尽くして突っ込んでくる骸骨はここで最悪の不運で最高の幸運をだした。
奴はコケた。俺の銛に喉を貫かれる直前に。
転んだせいで本来貫く筈だった喉ではなく、目の部分から貫通してしまいコアが砕けた、俺に魔素が流れ込んでくる。しかし転んだせいで本来届くはずのなかった剣が手からスッポ抜けてしまい俺の頬と肩に傷がつく。
不運で幸運だ。骸骨は転んだせいでコアの部分にダメージが入り死んで、転んだせいで俺に入るはずの無かったダメージを与えていった。
頬の所から少しずつ染み出るように血が出ている。肩の方も同じだ。傷としては浅いが痛い。ただの切り傷なのでそう気にする必要はないだろうが早く休憩できる階層、部屋に行きたい。ここまで連戦で体力や魔導、神法のリソースも尽きているのだ。




