たった一本の帰り道と飯
一ヶ月半ぶりです
斜陽を背にして歩く。岩山から降りてきたため今度は岩山を登らなくちゃ行けない。
「そう言えば、銛はいろいろな形に変形できるのか?さっき剥ぎ取りのときに変形自体はできるって言ってたような気がするけど。」
【変形自体はできるわ。ただし銛である前提だけどね。】
「どんなのになれるんだ?」
【例えばね。】
少し体から霊素が持ってかれる。と同時に自分の背丈以上あった銛が自分の首くらいの長さになった。そのかわり太めの持ち手になり刺さるところは光沢のある銀色になり、返しは片側にあるだけになった。持ち手側の最後は縄になっている。
【これは体表が柔らかい奴に刺して使う奴よ。投げれもするしそのまま近接で貫いてもいい。】
「でもこれじゃ傷口は大きくないしダメージとしては小さいのでは?」
【それに霊素流し込んでみなさい。】
少しずつ流し込むと。先のほうの金属が赤みを帯びていた。
「なるほど、霊素を送り込めば抉ったところに火傷を負わせれるのか。」
【銛を何かに刺したまま霊素を一気に送り込んでみて。】
木に刺してみて縄を持ち霊素を一気に送り込む。
…ジュジジジ
木が焦げているが、火のように燃え上がっている訳ではない。
「電気か…」
【中から放電するから必殺に近いわね。他にも硬い殻をもつものを砕くためのものもあるわ。】
また霊素を少し持っていかれて形が変形する。
それは手に装着するタイプのものだった。円筒状の装着部に手を入れて奥まで行くと握り込める作りになっている。手の先に銛の刃先があるような感覚で、刃の鋭さよりも返しの凶悪さに目が行くような設計だ。
【これは元々浜辺に生息する甲殻類系の魔物の殻をかち割るためのものよ。手を強く握りなさい】
握り込むと銛が震える。激しい前後運動をして振動しているようなため銛を殴るような感覚で刺したまま振動させれば硬い表皮や外殻も無すべなく破壊できるだろう。
「俺が頑丈な体だったら使えたのにな」
俺が使うと体幹が弱いのかそれとも筋力の少ないせいか、硬いものに刺したまま動かそうとすると制御が利かなくなる。
そうやって話して試して考えて、を繰り返すうちに昨日寝たところについた。
中に入って柵を魔導で作って中に引っ込む。
肉を煮込むために魔導で器を作る。そして魔導で火をつける。森を歩くついでに燃料として乾いた木を集めた。
器に水を入れて加熱し、沸騰するのを待つ。
「こうして考えると魔導様々だな。」
待つ間に一人おもう。この食事には魔導が不可欠で、食材も魔導で狩ったものだ。それがなかったら俺は飯どころか水を手に入れられず、干からびて乾物になっていただろう。
魔導の火が思ったよりも強かったのか、気密性が高くないにも関わらず速く煮立った。
適当に肉と背嚢の中の塩を突っ込む。
銛の中の神様はどうも反応がない。
「頂きます」
手を合わせてスープを飲む。味は塩辛さと生臭さで良くはなかった。
ありがとうございます




