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銛、 広大無辺の大地より  作者: あま
大海知らず
19/42

人生初の夜

 落石に注意しながら岩山付近を散策する。光は傾き、夜が迫るように周りに影がたち上がり、少しずつ焦りを感じる。

 上から見渡して良いところがない。移動しよう。銛が長くて良かった。登る時に引っ掛けたり、降りる時に体重を預けたりできる。


 いい加減歩き疲れてきて足が上がらなくなってきた頃に登った岩山から、丁度良さそうな岩の隙間を見つけた。しかし

 蠢く何かがいる

 蟻、拠点候補地への進行方向を塞いだのは蟻だった。過度に大きな。しかし大きいには大きいが全身が傷だらけで一部凹んでいる。

【おそらく肉食で敵性ね、幸いにも気付いてないけど。どうする?】

「蟻が一匹だけかどうか分かる?」

 一匹ならステルスキルできるかもしれない。

【うーんそうね、ちょっと言いにくいけど。貴方信仰変える覚悟ある?】 


「信仰変えるだけで分かるなら空っぽの俺には儲けもんだよ」


【そう、じゃあ言われた通りにして。】



「これだけでできるのか?」

銛を地面に突き立てた。

【神を変える改宗ならもっと準備と人がいるけど。空っぽってことは明確に信じてるものがないんでしょ?じゃあ神器の銛突き立てて祈るだけで変えれるわ。】

「わかった。じゃあ祈るとするか。」

自然と正座になって岩肌に座り。手を合わせてしまう。

【手を合わせたりするのは基本的な崇め方、祈り方だけど、その座り方、足キツくないの?】

「え、なんか形式とかあった?」

【いいえ、うちは祈り方とかは自由よ。例えば手を合わせるものだったり、舞を踊ったり。なんだったら神を歌った歌や詩も祈りに入るわ。】

 「じゃ、気を取り直して。」


 崇める。または祈る。

 正直にいえばこの2つの言葉を記憶を通して真面目にやったことはなかった。あっちの世界では周りに流されてやっていることが多かったし。自分は無神論者に近かった。この自称神も圧倒的な力を持って、壁を破壊するまで7:3くらいで疑ってた。今だと2:8くらいだろうか。…まぁ今はあっちに集中するか。 


 十数秒後、体に何かが入ってきた。魔素と違って重たい。また魔素は透き通った色をしているように捉えられたが、これは金属の色をしている。


【認識できた。改宗成功ね。】

「なんかまた入り込んできた…」

【それは霊素、研究者は信仰値とも呼んでるものよ。】

「で、この感じこの霊素を使ってあの周辺を探るのか?」

【御名答。その力を使って『神法』を発動させるわ。】

 

 なんかまた出てきた…。魔導もちょっと前に初めて使った上理解しきれてないのに新しい力がポンポン出てきてキツイ。


 知恵熱が出そうな頭を掻きながら聞く。

「神法ってのはどう発動させるんだ?」

【発動したい神法を口に出して、霊素を捧げれば発動するわ。捧げ方は貴方の場合は銛にでも流してくれたらいいわ。】

 意外に簡単な発動方法に安心して一息。

【今回やるのは『神法 水面覗き』よ。さ、頑張って頂戴。】


「分かった。」


『神法 水面覗き』

 銛に力を流しこむ。俺の霊素はスルスルと流れていき、満たされる。


 頭の中に突然水面のようなものが浮かび、

あの蟻がいるところに、水面に石ころが落ちたような波紋ができていた。

 そうしてその後ろ、丁度岩に隠れているところにもまた波紋ができていた。


 「なんか岩の後ろにいるな?この神法ってのはどのくらい持続する?」

【そうね、貴方は神器を介したとしても所詮素人だから5分持てばいいほうね。】

「じゃあ5分待ったらあそこは諦めるか。」

 惜しいがしょうがない。2体相手取って生きて居場所を確保できる気がしないのだから。


 待つこと2分ほど。岩影にいたものが動き出した。それはまたしても蟻だった。しかも前の蟻と種類も同じらしく、傷がなかったらどちらがどちらか分からない。


 傷だらけの蟻は左後ろと右前の脚の欠損によりよたよたしながら無傷の蟻に近づく。


 無傷の蟻は歩みより。頭についた小指の太さほどの触角を傷のついた蟻の触角に合わせる。そうして数十秒した後、無傷の蟻は岩陰に引き返し『水面覗き』でも探知できないほど離れて行った。


 【どうやら、あの弱った蟻は情報を届けるのが役目だったようね。】

 「弱ってる奴だけならなんとかなりそうだ。やってみるか。」

【細心の注意をしなさい。貴方が死んだら私を誰が地上へ連れ出すのよ。】

「最善は尽くす所存だが…」


 さっそく、奴に一番近い岩陰で作戦を練る。


 蟻で大きいことから、自分の腕力というか。筋力であの甲殻を貫けるかという問題が出てきた。正直ぶっつけ本番で銛を突き出して弾かれたら、先手を取れるという有利を失ってしまう。だったら関節部を狙うべきとなるが今度はそんな正確に突き刺せるかとなる。力がなくて、両手で持っていないと銛の切っ先が定まらない。


そうだ魔導を使おう。

「なぁ、そっちから見てあと何回俺は魔導ができる?」

【おそらく初歩的なので3回、よくて4回よ】

「分かった。」

【何するの?】



 奴の死角から魔導を導き始める。今回は水を作り、凍らせ、射出する。おそらく『氷』と『球』に指向性を与えれば行えるがそれだと多分氷の球をただぶつけるだけになるだろう。威力を出そうとすると氷を尖らせてから射出したほうがいい。と言われた。


「『汲水』」 

 前に水が現れた。後のことを考えて小指ほどの大きさの水をだした。できるだけ先が尖るようにする。

「『冷凍』」

 水が凍って、氷柱をさらに鋭く硬くしたようなものができた。 

「『発射』」

 できたものに指向性を与えるとすごい速度で飛んでいき、蟻に命中した。

 残念ながら、蟻の体を胴体から頭に斜めに貫通する弾道は少しぶれて、蟻の腹の外殻を貫き蟻の体内で勢いを失って止まった。 


 蟻はこちらに気付いたもののダメージが大きかったのか、こちらに向き直って攻撃しようとするもの痙攣し始めその場に倒れた。着弾したところからは薄い黄色がかった体液が漏れ出している。


 蟻はこちらを見ているように見える。まだ意識があるのか体のところどころは意志のある動きが見える。

「とどめ…刺すか」

 銛を頭のところに当てて、体重を乗せるように刺すと、あっさりとはいかずとも体重でねじ込むようにさせれた。蟻は刺されて、瞬間全ての脚をワチャワチャと動かしたが、おとなしくなった。


【何を呆けているの、もう夜が来るわよ】

「ああ………そうだな」


 岩の隙間に入る。人一人がギリの横幅で中腰でないと入れない入り口と狭いが小石をどけるなり、壁になる石を削るなりすれば拡張可能な中だ。


「ここにしよう。」

【懸命ね。もう夜が来るわ。】

 中からひょこっと首を出し外をみる。夕焼けから夜に移り変わっている空の色が美しい。思えばまともに睡眠を取るのは初めてだ。この世界に来てからろくな休息を取れていないのもまた事実。そう考えていると眠気が襲ってくる。


 出した首を引っ込めて砂利混じりの土に体をおろしこの辺にあった良さげな高さの石を枕にする。

 「そうだ、一応塞いでおくか」

「えーと『石柱』」

 今までのよりも導きかたが甘かったが石柱が入り口周辺に格子状に生成されたのを見て、私は眠りに落ちた。



 

ありがとうございます

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