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だめ貴族だもの。~だめダメ貴族の尻敷かれハーレム~  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第七章 他国を平和にすると侯爵が付いてくるとかなんとか編
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第252話 嫌な予感的中

 しばらくしてムスタはどうやら制圧できたらしい、

 何をどうやってどうしたら制圧って事になるのかは知らない。

 安全が確認できて、悠々と我がアルドライド国王陛下がやってきた!


「ふむ、ここがムスタか、ソフィーよ、女帝には会えるか」

「はい、首から上と首から下、どちらと面会なされますでしょうか」

「両方だな」


 まずはアイテム袋から生首を。


「これまた気が強そうな女帝であったな」


 はい、まったくの同感で。


「残りはどこだ」

「ははっ、こちらです」


 リア先生が例のパーティー広間まで先導した、

 もうこのくらい時間が経つと死体も片付けられているようだ、

 女帝の首から下以外は。


「何やら女帝は和平案、国の分割統治に九項目の条件を出していたと聞くが」

「それが、わかる者が生き残っていないようでして、いや、ひとりひょっとしたら」


 リア先生の声にベルルちゃんが頷いて、

 特製アイテム袋から人を出そうとしているようだ、

 おそらく中は……あ!


「待ってベルルちゃん!」

「なんですのミスト様」

「凄く、すっごい、嫌な予感がする!!」


 うん、予感の原因は、これだ。


「では、どういたしますの?」

「そろそろ旦那さんは」

「息は落ち着いているようですわ、意識は……知りませんわ」


 まずそっちが優先だ。


「ベルルちゃん、僕が戻ってくるまで空けないで、出さないでね」

「それはかまいませんわ」

「ミストくん、私も行くわ」


 あれだけ色々と念入りに仕込む女帝ミラーたちだ、

 その娘四人に何か仕込んであってもおかしくは無い!


「ソフィーさん、どこかわかる?」

「あっちですね」


 救護所に使っている部屋の一番奥に、

 居た! 女帝の娘の旦那さんであろうと予想される人だ。


「意識が戻られたんですね、その、お名前は」

「エクトルと申す、その、私が生きているという事は、妻は逃げたのか?」

「いえ、今は生きたままアイテム袋に仕舞ってあります、人を入れられる特製の」

「という事は、他の姫も」

「それが、他の三人の姫も、女帝ミラーも、全て……倒しました」


 目をぱちくりさせるエクトルさん。


「倒したというのは?」

「はい、その、こ、殺しました」

「では生きているのは妻の、ミレイアだけか?!」

「そういうことになるんですよね、確か」

「おかしいな、呪いが解けているのか……??」


 いったいどういう事なんだろうか。


「あのエクトルさん、どういう事か詳しく教えていただけますか」

「ああ、妻たちは、ミレイアたち四姉妹は、互いに殺し合わないように、

 三人が死ぬと残り一人が死ぬ呪いを、母ミラーによってかけられているんだ」

「じゃあ、たったひとり生き残っているのはおかしいですね」

「だから、ミレイアの姉か妹が、ひとりは生きているはずなのだが」

「ミストくん、これはおそらくアイテム袋のおかげです」


 ソフィーさんの推測が始まった。


「えっと、他の三人は確実に」

「間違いありません、特に長女は念入りに、確実に仕留めました」


 うん、腰から上が蒸発してた。


「じゃあ残りひとりが袋の中で生きているのは、時を止めているようなもの?」

「というよりも、別の次元、別の世界で隔離しているため、呪いの発動がしないのかと」

「でもそれじゃあ死んだと同じ判定をされても」

「その判定がされるのが袋を出した瞬間かと、袋に入れた時はまだ他の姉妹は生きていましたし」

「そっか、でもそれだと、袋から出したとたんいその、中のミレイアさんが死んで、と同時に」


 エクトルさんが頷いている。

 なるほど、嫌な予感の正体はやはりこれだったのか、

 よく気付いたな僕! いや単なる勘みたいなものだけれども!!


「じゃ、じゃあもう出せないですね」

「エクトルさんの呪いを解けば、首輪はもう外しましたが」

「それが無理なんだ、私の背中には……」


 あ、ミレイアさんの名前が彫ってあるのか、呪いのやつ。


「奥さんが死ぬと自分も死ぬ呪いって、酷いですよね」

「ああ、しかも無理矢理だ、魂に刻印する呪術だから一生消えない」

「だとすると、もう奥さんは一生、袋の中に」


 あ、エクトルさんがほくそ笑んだ!


「私としては、一向に構わんっ!」

「な、なら良かったです、はい」

「それより全体の状況を教えてくれないか、何がどうなっているんだ」


 僕はこの城に来てから現在までの成り行きを話した。


「……という訳で、いま、ムスタを無事、制圧した所です」

「そうか、ミラーだけではなく、ミゲラも、ミランダも、ミリアムも……感謝する」

「で、でも他の旦那さん達が」「それは仕方ない、元々、生きたまま死んでいたような状況だ」


 案外ドライというか、お婿さん同士の繋がりはあまりなかったのかも。

 そこへソフィーさんがエクトルさんに話し掛ける。


「どうでしょう、例えば、この城の新しい主、ナナスータの国王になるというのは」

「……いや、もういっそこの国は滅びた方が良い」

「だとしてもです、名前を変えて新しい土地になったとして、そこのリーダーとして」


 考え込んでいる。


「……急に結論は出せない」

「そうですね、とりあえず今は気持ちを整理して下さい」


 こうして僕らはエクトルさんから離れた。


「ソフィーさん、この国、どうなるんでしょうね」

「どうするかはアルドライド国王とメラン国王、そしてナスタ国王のオプラスさん次第でしょう」

「あ、僕は」「入りたいですか? ややこしいですよ」「いえ、いいです」


 もう面倒くさいことはこりごり

  だめ貴族だもの。 ミスト


(早くフォレチトンへ帰りたい……)


「さあミストくん、残る敵はあとひとつですね」

「あ、そっか、忘れてた!」


 まだもうひと勢力あったんだっけ。


「それと、我が国王陛下も放りっぱなしです」

「やばあああああい!」

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