スラムの道中にて
もう着いたようだな。
早速降りるか。
今まで少しトラックで移動しただけなのにもうトラックに乗りたくないと俺に思わせるのに十分だった。
こんなに揺れるとは思っていなかった。
まぁ今回はならなければ素性がバレるところだったからいいか。
降りたさきには沢山のスラムの人間たちがいた。
流石に老人はいなかったが子供から40代ぐらいの人間までたくさんいた。
なぜ老人がいないのか考えたが年取れば病気にかかりやすくなり、死ぬのかと考えたが。
「おい、ちゃんと食糧を持ってきたぞ。
これでお前たち組織はどのくらいの期間持つ?」
「これほどあれば保存も効くので1年ほどは持つかと。」
「1年か。
そんなにいらないな。
この地域に他にお前のような組織があるんだよな?」
「はい、あります。
もちろん仲がいい組織もありますが、大抵は仲が悪いです。
しかも我々のところに大量のトラックが来たことを知っているのでなんらかのアクションがあるかと思われます。
それが対話であればいいんですが、もしかすると力ずくで奪いに来るかもしれません。」
「なるほど。
確かに奪いに来たら面倒だな。
よし、早速俺を他の組織に連れて行け。
仲間に引き入れる。」
「さすがに貴方様でも危険かと思われます。
なので腕っ節の強い人間をたくさん連れて行ってもよろしいでしょうか。」
「その必要はない。
邪魔なだけだ。
お前と俺たちだけで十分だ。
さっさといくぞ。」
本当にこんな組織はめんどくさい。
俺にはこんな能力があるから必要がないというのに。
でも確かにこんな能力があると知らなかったらそう思うのか。
そういうことは参考になるな。
すぐに俺たちは移動を開始する。
あくまでスラムの中なので薄暗くて古ぼけたビルがたくさんあるから視界が悪い。
こんなところを歩くのが嫌なのは水溜りとかがあるからなんだなー。
これのせいで靴に水が入ったりする。
本当に嫌だ。
「ところで、今から向かう組織は仲が悪いところなのか?
それとも仲がいいところなのか?」
「仲がかなり良いところです。
大量の食糧を手に入れたとしても、すぐに奪いにこないところを案内しています。
ここを引き込めれば、我らの勢力が大きくなりうかつに仕掛けられないかと。」
確かにこいつは頭も回るが、少々温厚に済まそうとするところが厄介だ。
面白くないからな。