トラックにて
俺たち3人はさっさとトラックの荷台に乗り込んだ。
守衛の人間がここに載せるわけにはいかないと喚いていたがうるさいだけだ。
いくら尊敬の念を抱かせることができる能力だろうとこういうところは不便だ。
しかも荷台に乗り込まことによって誰にも見られないことでリスクを減らせるのにそんな理由すらわからないバカどもには反吐が出る。
「おい、マリー。
お前はロバートとの連絡手段を持っているのか?」
一瞬名前を呼ばれたからか舞い上がりやがったが流石にすぐに元の状態に戻る。
まあまあ優秀なやつだ。
「持っております。」
「それは絶対に第三者にバレない方法なのか?」
「もちろんです。」
スラム出身のこいつらがなぜこんな方法を持って嫌がったのかはさっぱりわからないがまあいいか。
「じゃあ連絡してくれ。
とりあえず食糧問題は解決したと。」
「了解しました。」
そう言ってマリーは携帯のようなものを取り出し、連絡を取り始めた。
ありったけのトラックを使って輸送している。
ちなみに台数は5台だ。
そのすべてにパンパンに食糧が詰め込まれている。
道中に、防犯カメラがあるかと言われたらあるかもしれないがそれは問題ではない。
なぜなら、俺たちの輸送先がスラムだからだ。
いくら政府だとしてもスラムにはあまり手をつけてこない。
スラムを敵に回すと楽なことにならないからだ。
スラムにある連中は死に物狂いで向かってくるのでいくら警官でも何にもしてこない。
むしろ、何か仕掛ける方がお金と労力がかかる。
それならば、諦めた方が正解だからだ。
まあ今回はかなりの額が被害に遭ってるが証拠は全く残ってないし、誰が主導してやったのかは全くわからないから問題はない。
工場内の防犯システムはすべて初期状態になっているからそこで起こったことは全くわからない。
俺の能力がどんなものか想定できるような奴がいるとも思えないしな。
さっきはマリーに質問したから今度はカリーナに質問する。
美人で金髪ロン毛の子だ。
「スラムはロバートの支配下に入ってるだけの人数はどのくらいだ?」
「1000人ほどです。」
こいつも質問されたのが嬉しかったのか照れ始めた。
なんともめんどくさい奴らだ。
確かに親密度は上がってるかもしれないが俺はこんな奴らに心を開かない。
開いたとて、それは俺の能力によって繋がっているだけなのだから。