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第三話:AIがサポートする社会

 世界観の解説を、先輩の視点で。

 これは、後輩の野上(のがみ)の物語である。

 語る俺のことは先輩とでも呼べばいい。


 日本は高齢化と少子化が進み、人口減少と職人的技術の継承者不足に歯止めがかからず、この国だけでなく世界全体が緩やかに衰退している。


 世界的に増えすぎた人口は、更なる開発と災害の頻発化を招き、ある時一気に減少に転じ、世界は限界に達しようとしていた。


 化石燃料に代わる燃料。

 砂漠の緑化。

 干ばつや豪雨や日照不足といった気象条件による農作物の収量の変化。

 ずっと昔から言われ続けてきた食料不足。


 容赦なく変化していく世界情勢は、決して待ってくれない。


 一時期もてはやされたスーパーコンピューターの演算能力を持ってしても、世界崩壊待ったなしと言われた。


 では、と、誰かが提言した。


 一つの特別な頭脳(スーパーコンピューター)で足りないならば、たくさんの頭脳(家庭用パソコンなど)を使えば良いと。

 単純計算、パソコンを一億台使えば、演算能力は一億倍になると。


 その単純計算には非難が殺到したが、彼は負けなかった。


「やりもせず私を批判しても、世界は衰退していくだけだ。ありもしない不確かな失敗のリスクを恐れるあまり、世界が滅んでもよいのかね?」


 不安をあおるやり方は詐欺師の手法とまで言われたが、彼はめげなかった。


 既存のスーパーコンピューターとパソコンのネットワークを利用し、世界のあらゆる事象を予測する試みが始まった。


 結果、全ては無理。しかし、各国ひとつかふたつくらいなら問題を解決する可能性を見出だした。


 そして、我が国日本の選択は、


・少子高齢化及び人材不足。

・資源エネルギー問題。


 この二点だった。


 幅広いけど大丈夫? と国民のほとんどが思ったという。

 そこは、すでに導入が検討されていたAIがカバーするという風に方向性が決められていた。


 今まさに、世界が変わる、その変換点だった。




 そんなタイミングで、後輩の野上が事件に巻き込まれ、(羨ましいと思った時もあるが、確かにアレはノーセンキューだ)女性恐怖症気味になり、仕事にも影響が出るようになったわけで。

 その時の飲み会で幹事だった俺は、責任を感じてしまった。

 だから薦めたのが、性別指定型サポートAI、通称「AI嫁/AI婿」。

 これは、大昔の会話ロボットから派生したもので、犯罪の被害に遭うなどして、男性恐怖症や女性恐怖症といった症状がある患者のリハビリに使われていたものを、一般家庭用に構築し直したものだ。

 古臭いロボット三原則をベースに、相手に寄り添い、相手のことを思い、相手の望みを叶えるべく活動する。


 所詮はモニター越しの存在。

 しかし、確かに心を通わせ、恋人同士のように振る舞うケースが圧倒的に多いらしく、一般販売前のサンプルからは、よいデータが集まっているらしい。



 ……で、予想以上にのめり込むもの達が多いそうで、後輩の野上もそんなのめり込んだものの内の一人のようだった。


 で、言わなきゃならんことがあるから、仕事終わりに「大事な話がある」と野上を会議室に連れ込んだわけだ。


 女子社員共から黄色い悲鳴が上がった気がしたが……?




 ……あ、やべーかも。

 責任の取り方は、色々あると思いますが、先輩は、春雪がもっと幸せになるためにたくさん頑張りました。

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