表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/26

最強ふたつ


「がははは!」

「真っ昼間からの酒は、腹の内から効くのう」

「メタノールは飲み物じゃなかったがな。アルコールランプの中身で喉を洗ったら、マジ気持ち悪い」

「俺はハラキリのし過ぎで気持ち悪い」

「お、俺は、北条を勘違いしとった。お前は、いい奴じゃ」

「相沢お前、ここまで泣き上戸だったのか」

「よーし、この勢いで二次会に繰り出すぜ! まずは“ブルセラムーン”だ!」

 一方その頃、永瀬達はボルテージも最高潮に達し、学園内を意気揚々と闊歩かっぽしていた。

 バラバラだった三年生。それらが徒党を組み、廊下を歩いているのだ。他の一般生徒は遠巻きに眺めるしか術がなかった。


 その状況を余所に、北條が横道に進んでいく。

「なんだ便所か?」

「ああ、少しばかり飲みすぎた」

「早く済ませろよ。ブルセラムーンか待ってるんだ」

 どうやらトイレに立ち寄るらしい。永瀬達は窓際に集まり、その帰りを待つことにする。

 トイレの死角から、ドカッとなにかぶつかる音が響いた。『いってーな気をつけて歩けや』そしてムカつくように響く北條の声。


 ズダーン! 激しい凶音が響き渡った。永瀬達の目の前を、北條の身体が勢いよく飛んでくる。対面の壁に背をぶつけて、ずるずると崩れ落ちた。

「どうしたんだ北條?」

「酒の飲みすぎか」

 事態が飲み込めず、慌てて駆け寄る。北條の頬は激しくひしゃげていた。完全に気絶していた。

「気を付けんのはてめぇの方だろうが」

 そこから現れたのはいかついガタイの男だった。筋骨隆々で、黒髪をリーゼントで決めている。ジメジメした暑さにもかかわらず、詰め襟を腕まくりもせず羽織っていた。

 ごくりと息を飲む永瀬達。背筋を寒気が襲う、ガクガクと震えて青ざめる。

「年寄りなら年寄りらしく、道の端っこ歩けってんだ」

低くドスの効いた声が響き渡った__




「この方、お強い!」

 神社境内、女生徒が愕然と立ち尽くしていた__


 地面には倒れ込む男達の姿がある。そしてその中央には、必死の形相で立ち尽くすリーダーの姿。

 そしてなにより、その手前に悠然と立ち尽くすシュウの姿が鮮烈だった。

「なんちゅう野郎や。俺達相手に、有り得ねー闘いっぷり……」

 リーダーが口元に滲む血を腕で拭った。

「有り得ねーなんて、この世に存在しねーんだよ」

 すかさず拳を振り放つシュウ。それがリーダーの顎を捉えた。そのまま吹き飛ばされて、松の幹に背を預けた。

「き……貴様……名前は?」

「まったく、昔は有名人だったのにな。シュウ、黒瀬修司。覚えておきな」

「シュウ、魔王か? ……参ったわ、先にそいつを聞いとくべきやったわ」

 耳の穴をかっぽじるシュウ。同時にリーダーが崩れ落ちた。

「黒瀬修司? この御方が……」

 女生徒の胸中、今まで感じたことのない衝撃が去来していた__




「が……はっ」

 ズルズルと崩れ落ちる永瀬。多くの生徒が見つめる最中、周りには北条達が血まみれで寝転がっていた。

「一年のヒョッコ共に負けてながら、デカい面してんじゃねーよ」

 そしてその様子を、先程の巨漢が冷めたように見下ろしている。

「くそっ、ハラキリなんかしてなきゃ……」

 必死に立ち上がろうとする永瀬。

「あんたはただの御輿だったのさ。それを勘違いしたのが運の尽きだ」

 だがその顔面を巨漢の足の裏が襲った。瞬時に意識が吹き飛び口から泡を吹いた。

「戦場に於いて二度目はねーだろ。先輩だと思って見逃しておいたが、所詮あんたには学園を仕切る器量はなかったのさ。これは俺なりのせめてもの情けだ、このまま引退しな」

 巨漢が静かに通達した。


「騒がしいって思ってたら、ヤッパここっすか葛城かつらぎ先輩」

「逃げろってまこと。ジャイアンが騒ぎを聞きつけたぞ」

 人混みを掻き分け、仲間と覚しき生徒が駆け寄ってくる。

「あららぁ。永瀬達、お寝んねさせちまったのかよ?」

「しゃーないっす。葛城先輩にかかれば、こんなモンっす」

 そして当然の如くあっさり吐き捨てた。

「そうさな、逃げるとするか。明日の予定もあるしな」

 ヘラヘラと笑う巨漢。その名は“葛城誠かつらぎ まこと”。オーク学園二年生。古から続く任侠団体“葛城組”の組長実子だ。


 キングダムオーク学園の“四天王”が動き出したのだ__


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ