白昼の宴
「永瀬、てめぇはサムライだよな?」
座った視線を向ける北條。
「当たり前だろ。俺は日本男子、ガキの頃からサムライよ」
同じく永瀬も堂々たる態度。
二人共、午後の陽射す狭い空間で、胡座をかいて向き合っていた。
「じゃったら、ハラキリだ。久々のシャバだとか、言い訳ぬかすなよ」
「俺がハラキリも出来ないマヌケだと?」
上目遣いで睨みを利かす北條。対するは永瀬、憮然とした表情だ。
「いいだろう。受けて立つわ」
永瀬の口元に笑みが浮かんだ。
こくこくと水流の音が響いた。すかさず響く小気味いい喉の音。
男という生き物は真っ直ぐで、ガキのように純粋な生き物だ。売り言葉に買い言葉、その気がなくとも真に受ける。その代償は必ず来ると、理解していてもだ。
こうして一時間程の時が過ぎる__
「がははははははは!」
「勘弁してくれ、笑いすぎて腹が痛いわ」
「じゃろ? アホなルーキー共は自爆しおった。奴らを飲み込み、学園制覇じゃ!」
「がははは。相変わらず腹黒いな北條は」
「まぁ、いいだろうよ。せっかくの俺の退院祝いだ。俺達三年もひとつにまとまった。この勢いで一年坊を飲み込み、憎き二年坊をこらしめてやるのよ!」
「そうよ、永瀬の言う通りだ。ワシらが結束すれば無敵よ! 夏樹がナンボのもんじゃい! 沖田がナンボのもんじゃい! 黒瀬のヘタれなんぞ死にさらせ!」
「さぁ、俺の日本酒、呑め」
「応よ。男だったら飲み方は、一気だ!」
放課後を迎えた理科室。数人の生徒が酒を酌み交わしていた。メンバーは、永瀬、北条、相沢、的場、その他ルーキーズに敗北した連中だった。彼らは永瀬の退院祝いの為、ここに結束していた。誰も彼もが酒に酔って、意気揚々と喚いている。……言葉も性格もグダグダだ。
「ついでに鳴神のアホたれも潰してやれや!」
興奮気味に言い放つ北條。しかしその一言で他の面々が青ざめた。
「……そんな話するなよ。酒が不味くなる」
「お、おう。そうだな、すまなかった」
「まぁ、そんな話は置いといて、じゃんじゃんやるぜ! 俺らのかための盃なんだから」
「馬鹿、そいつは標本用のメタノールだべよ。サムライは全部空か?」
「いいじゃんよ、アルコールには違いない。……この標本はコブラか? マムシ以上にパワーアップすんべ」
「流石は科学に強い永瀬だな。理にかなってるぞ」
「100点満点で40点など、なかなかとれないからな」
「馬鹿だな、そんなに誉めないでくれや」
「そうじゃの。学園制覇の前祝いじゃ! とことん行くぜ!」




