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弟
今日も僕は来てしまった。
「ねぇ、調子はどう?」
と、呼びかけてみる。
「あぁ、悪くないぞ。」
と返してくれるような気がするから。
決まり文句のようになってしまったこの独り言に意味など存在しない。
「見て。今日のお花、豪華でしょ?」
兄さんの好きな花ばかりだよ。
「僕、就職したんだ。」
きっと、体調には気をつけろ。とか言うんだろうな。
「初任給で買ってきたんだよ。」
僕は、できたばかりの汚れ一つない墓に語りかける。
「それじゃ、帰るね。」
そういう時、枯れきったはずの涙がこみあげてくる。
きっと優しい兄さんなら、気が付かないフリして送り出してくれるだろう。
あぁ、可哀想な僕の相棒。
せめて諦めることができたなら。