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兄
今日も彼は来てくれた。
「ねぇ、調子はどう?」
と彼が言い、
「あぁ、悪くないぞ。」
と俺が返す。
決まり文句のようになってしまったこの会話に意味など存在しない。
「見て。今日のお花、豪華でしょ?」
「それに、俺の好きな花ばかりじゃないか。」
彼は双子の弟。心優しい俺の相棒。
「僕、就職したんだ。」
「そうか。体調には気をつけるんだぞ。」
「初任給で買ってきたんだよ。」
初めはこんな世間話から始まる、彼との会話は俺の毎日を鮮やかにした。
「それじゃ、帰るね。」
そういう時、彼は泣きそうになる。
「あぁ、またな。」
俺は気が付かないフリをして送り出す。
あぁ、可哀想な俺の相棒。
せめて諦めさせることができたなら。