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人猫パート2
目を覚ますと、俺は冷房の効いた第一印象が可愛い部屋の中で、毛布にくるまっていた。(なんでこんなところにいるんだろう)そう思いながら必死で今までのことを思い出そうとした。しかし何故か思い出すことが出来ない。もうちょっとで記憶の壁が壊れそうになった瞬間に、中学生くらいの女の子が現れ、驚いてしまい、思い出せなくなってしまった。落胆していると、
「私は咲。今日から黒は私の飼い猫だよ!助けるのほんと大変だったよ。びしょびしょになちゃった。」
そう言うと俺を持ち上げてハグをしてくれた。その嬉しさよりも、自分が誰なのか思い出せない悔しさの方が大きかった。
(黒?それが俺の名前なのか?たしかに体は黒いが、それよりも「助ける」ってどういうことだ?)
頭の中が疑問で埋め尽くされた。しかし猫である以上、人間には話せない。
「餌を持ってくるね」
咲はそう言って、部屋から出て行った。確かに腹はペコペコだが…。すぐに部屋に戻ってきた。餌を一瞬で平らげ、満腹になると急に眠気に襲われた。気がつけば眠ってしまっていた。