間違い探し
「しおり、肩濡れるからもっとこっちにおいで」
ざあざあと雨が降る。
九月の午後六時。新宿。
彼と一つの傘を分け合う。
周りの人には私たちは恋人みたいに見えるのかな。
そこらへんを通るタクシーを捕まえて、後部座席に並んで座った。
「飯田橋のマンションまでお願いします」
彼がそう言うと運転手さんは小さく返事をして車を走らせた。
微妙な空気が流れて、なんとなく生まれた不安を誤魔化すように私は彼の手を握る。
「どうしたの」
優しく握り返してくれた。
この優しさに、甘えてしまう。
ほんとうはいけないことなのに。
「じゃあこの辺で止めてください」
720円を彼が出して、タクシーから降りた。
大きな背中を追いかけて、わたしも続ける。
「お邪魔します」
玄関で靴を脱ぐやいなや、温もりに包まれる。
突然のことに驚きながらも腕を回す。
「どうしたんですか」
「ごめんね、しおり。ほんとうにごめん」
なんのことだか、わからない。
「俺、実は」
彼がスーツのポケットから何かを出した。
小さくシルバーに輝くのは。
「結婚してるんだ」
指輪だった。
あなたはずるい。
わるいひと。
こんなに優しい温もりに包まれて、私があなたを拒めるわけがない。
「待っていて欲しい」
今までに聞いたことのない声。
「わかってます。私、まってる」
ただ、あなたが好きなの。
好きなだけなの。
「ごめん、ごめんな……」
だから、そんなに謝らないで?
その震えた唇に。
私は口付ける。
彼もそれに答えてくれる。
小さな幸せ。
私たちは狂っている。
間違い探しをするのなら。
あなたを愛したこと
愛し合ったこと
ひとりじゃなかったこと
ずっと隠してたこと
これが、いけなかったのかな。
たぶん、違う。
一番の間違えは、
"出逢ってしまったこと"
文章がまとまってない!!!!




