CASE 2-1
ショート×2【第二弾】サブタイトル2-1が示すとおり続き物です
「彼女?」
横で話し終えた男が携帯の電源をOFFにする。
多分、彼女・・・今は私と付き合ってるから元カノになるんだけど。ヒステリックな声がここまで聞こえた。
「いいの、切っちゃって?」
彼はただの友達だからっ、て肩をすくめた。言って、私の顔見て笑ってる。携帯をポケットにつっこむと馴れ馴れしく肩に手を回してくる。
付き合ってるんだからナレナレシイって表現は変かな?
十二月。
私の生まれた月。
目をひくショーウィンドウを覗き込む。
緑・赤・白・金・銀etc,etc……
モチーフはクリスマス。
彼が、急に足を止めた私の顔を覗き込んでくる。
「なに?」
「クリスマス・イブ。あけといてくれた」
耳許で囁く声。甘く、優しい声。
まったく、この声で何人の女をおとしてきたんだか。
「どうして?」
「どうしてって」
首をまわし視線を合わせる。
彼の目にすねた色を見つけ、視線を再び硝子の向こう側へと戻す。
「ちゃんとあけてるよ」
「よかった」
腰にまわした腕がきつくしまる。
「苦しいよ」
「則子さん、オレのことどう思ってる。キライ、じゃないよね。キライなヤツと付き合ったりしないよね」
ガラス越しに不安げな顔で「ご主人様ボクのこと嫌いにならないで」と切実に訴えてくる子犬のような瞳をしている。本人無意識なのか意識的なのか。
「バカね。キライなわけないでしょ」
困ったように笑う私にまだ不安そうに言い募る。
「ホントに?」
「ホントよ」
笑顔は穏やかに、作りすぎないよう、くだけすぎないようにあくまでふんわり優しく包み込むように。
ポイントは目ね。力を入れる過ぎると悪戯っぽくなったり、冗談っぽくなるから注意が必要よ。
「いきましょう」
いつまでも引っ付いている男を促し街の雑踏の中へ溶け込む。
期限はクリスマス。
本当ならアノヒトと一緒にいる予定だったんだけど。
私は笑顔の下で深い溜め息をついた。
季節感も考えず載せてしまいました(汗