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転生道中~転生先の真の敵は自分自身!?~  作者: 水内 寂
転生してしまってその先は…(所謂プロローグ)
7/33

出産、その時家族は

今回で第一章であるプロローグはおしまいです

アリアちゃんとクレイちゃんと寝る日々が続いたある日

「ママのお腹の中に赤ちゃんが居るみたいなの~」

朝食の席での母さんからの報告、多分毎晩頑張った結果なんだろう。それにしても俺が兄ちゃんになるのか。

「「そうなの?」」

アリアちゃんとクレイちゃんが同時に声を出して同じ方向に首を傾げる、双子のシンクロを見ながら母さんは話を続ける

「トキ君は来年にはお兄ちゃんになるのよ~」

弟か妹か分からないが家族が増えるのは嬉しいものである。

「息子か娘かわからないが楽しみだな」

父さんも驚いたようにも見えるが喜んでいた…仕込んだのは貴方なんですよ?

母さんの懐妊報告が行われて数ヶ月、お腹が徐々に大きくなっていく母親に勉強を教えてもらった。

      ☆ ☆ ☆

俺の年齢が2歳と半年になった夏の暑い日の夕方、母さんが産気づいた。

俺たちは出来ることなんか無く急いで来てもらった産婆さんと母さんがベッドのある部屋に篭っている。

俺達は普段ご飯を食べるテーブルに集まっていた。俺は父さんの膝の上に座りながら母さんの出産が無事に終わるまで待っていた、出産に立ち会ったことは無いが心配という感情が心を支配していく。

不安に駆られて父さんを見上げるが父さんも緊張な面持ちをしていた、俺の視線に気がついたのか微笑みながら頭を撫でてきた。

アリアちゃんとクレイちゃんも互の手を握って不安な面持ちをしていた。

どれだけ時間が経ったのだろう、時計なんて物は無いから時間がわからないが外は暗くなっているから相当時間がかかったのだろう、アリアちゃんとクレイちゃんが少し眠そうな目をしていた。

それからまた少し時間が経ってからベッドのある部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。

父さんに抱きかかえられたまま皆でベッドのある部屋に入ると、母さんの横で眠っている赤ちゃんの姿があった。

「時間がかかったけど、元気な女の子だよ」

産婆さんは汗だくになっているが赤ちゃんの性別を教えくれた。…妹か。

「よかった、本当によかった」

父さんは涙を流しながら母さんが無事に出産したこと、そして赤ちゃんが生まれてきてくれたことを喜んでいるようだ。

「あなた、この子に名前をつけてあげて」

顔中が汗だくの母さんが泣いている父さんに話しかける。

俺をアリアちゃんに預けて赤ちゃんを抱っこする父さんは抱っこし俺たちに赤ちゃんの顔を見せてくれた。

赤ちゃんの髪の色は俺と母さんと同じ銀色だった、輪郭は赤ちゃん特有の丸みを帯びているが父さんに似ている。目元は母さんに似て優しい印象を受ける。

「レイシアだ」

父さんが赤ちゃんの名前を決める。レイシアという名前にするらしい。

「レイシア…。貴女の名前はレイシア・ヒュペリオ・ディノール」

母さんが父さんの名前を引き継いで赤ちゃん…レイシアのフルネームを呼ぶ。

「レイシアちゃん…」

「レイシア…」

双子ちゃんも名前を呼ぶ。赤ちゃんは眠っているようで泣くことはなかった。

「赤ちゃんを見たのなら一旦出て行ってもらうよ、まだやらないといけない事があるんだから」

産婆さんの促され、父さんはレイシアを母さんの横に寝っ転がせて俺たちを連れて部屋を出た。

「アリアもクレイも夜遅いからトキと一緒に寝なさい」

部屋を出てから父さんに言われて俺達は寝巻きに着替えてアリアちゃん達の部屋に連れて行かれた。

「レイシア可愛いね、クレイ」

「そうね、アリア、トキもそう思うでしょ?」

クレイちゃんに聞かれて俺は頷いていおく、可愛いのは事実である。前世では周りの友達で妹が居る奴は「生意気」だとか「すぐ泣く」とか結構言いたい放題だったが実際に妹が生まれてみると可愛い、アリアちゃんとクレイちゃんも可愛い…こんな可愛い姉と妹が居ると前世の友人が知ったら「滅びろ」とか「もげろ」って言われるだろう。

「眠たいし、もう寝ましょう?」

アリアちゃんにそう言われてクレイちゃんは照明の魔道具を電源を切った。

「おやすみなさい、クレイ、トキ」

「おやすみなさい、アリア、トキ」

「おやすみ、アーねぇ、クーねぇ」

お休みの挨拶をして俺たちは眠った。

     ☆ ☆ ☆

翌日、昨日の疲れからか俺たちは結構遅くまで眠っていた。

アリアちゃんとクレイちゃんが先に起きたようで、起こされた。

1階からいい匂いがしてきたのでアリアちゃん達と降りてみると父さんが料理を作っていた。

茶色の前掛けと黒のエプロンが父さんの赤い髪と相まってものすごく似合う。

「おう、おはよう。朝ご飯…には少し遅いがご飯ができているぞ」

「おはよう~、パパ」

「おはよう~」

「おはよ~、父さん」

朝…には少し遅いが挨拶をして席に座る。

「母さんは今レイと眠っている。後で会いに行ってみろ」

そう言いながら父さんは干し肉が入った野菜炒めを盛った皿とパンが置いてある皿をテーブルに置いた。

「よしそれじゃ、食べるか」

父さんは前掛けを外して席に座った。

父さんの掛け声によって俺たちは一斉にご飯を食べ始める、この世界では「いただきます」と「ごちそうさまでした」という習慣は無く家長の掛け声が食べる合図である。食べ終わるのは各自の判断で終わった際は作った人にお礼を言う程度である。

父さんの作った野菜炒めを干し肉と一緒に食べるが野菜自体に塩っけな味付けをせずに干し肉の塩っけで補っているようだ。野菜は前世の野菜と似たものが多いから野菜炒め、野菜スープ、サラダなんでも合うが農薬なんてものはないので水でちゃんと洗わないと虫の卵は落とせない、母さんもご飯の下越しらをする際は結構な時間をかけて行っている。

父さん特製の野菜炒めとパンを食べてから母さんのいる部屋に行った。

アリアちゃんに扉を開けてもらい部屋に入ると母さんはレイシアに母乳を与えていた。

「ママ~」

「レイシアはどう~?」

アリアちゃんとクレイちゃんは母さんのもとに駆け寄る。

「レイちゃんは今ママのおっぱいを飲んでいるのよ~」

見た目は2歳半、頭の中と精神は19歳の俺は脳内で「この人は母親、母親のおっぱいは見慣れたはずだろ」と言い聞かせながら母さんのいるベッドに近づく。

アリアちゃんに抱っこしてもらってレイシアを見るが目の色は父さんと同じ深紅が似合う赤だった。アリアちゃんとクレイちゃんも父さんと同じ深紅と言う言葉が似合うほどの赤い目である。

「トキ君もこれでお兄ちゃんね。レイちゃんの頭を撫でてみる?」

そう言って母さんは俺の近くにレイシアを持ってきた。

俺は恐る恐る撫でてみる、赤ちゃん特有の柔らかさを感じつつ俺の顔が少しにやけているのを感じた。

「トキ良いな~」

「私も撫でたい」

アリアちゃんとクレイちゃんも撫でたいようだ。俺は撫でるのを止めてアリアちゃんから降りた。

「柔らか~い」

「柔らかいね」

アリアちゃんとクレイちゃんもレイシアの赤ちゃん特有の柔らかさに夢中になっていた。

お昼ご飯の後片付けをしていた父さんも部屋に入ってきて、父さんもレイシアの頭を愛おしそうに撫でていた。

     ☆ ☆ ☆

第一章~プロローグ終わり~

次回は人物紹介を挟んで数年後の世界である第2章を開始します。

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