夜、両親とのベッドにて
赤ん坊になってしまったので寝るのは母親であるニアさんと父親であるグレンさんと同じベッドである。
ニアさんとグレンさんに挟まれている状態である。
「最近、お店に出れなくてごめんなさいね」
表情は見えないがニアさんの声に申し訳なさが滲んでいる。
「別に大丈夫さ、トキが生まれてまだ半年しか経っていない。店の方は働く人を増やしているしな」
グレンさんが枕に肘を立ててそれに受け答える。
「それならいいのだけど、それでね。今日はトキ君が怪我をしてね。治癒はしたのだけど泣いて無いし怪我したのなんて気にせずにハイハイをしようとしていたのよ」
ニアさんの口から今日、俺が怪我したことが伝えられる。
あんな小さな怪我は転生前から日常茶飯事だったので一々泣いていてはキリがない。
「トキは男の子だからな、本能的に泣いてはいけないってわかっているだろう、何せニアと俺の子だからな。気にすることはないさ」
グレンさんは別に気にする事はないと言っている。
この人は多分能天気+男は強くあれと言う思考なんだろう。
「アーちゃんもクーちゃんも怪我してよく泣いていたし夜泣きも酷かったわでもトキ君は違う、怪我しても泣かないし夜泣きも殆ど無い、この子には感情が無いんじゃないかって時折不安になることがあるの」
ニアさんの心配事はまだあったようだ、夜泣きが無いことを心配されいたようだ、確かに俺は夜泣きの類をした記憶は無いそれが心配の種になっているとは思わなかった。
「アリアもクレイも女の子だしな、トキも大丈夫だろう。俺たちの子だからな」
アーちゃんとクーちゃんと呼ばれていた双子はアリアとクレイと言うのか。
それよりも双子ちゃんは女の子だから泣くけど俺は男の子だから夜泣きしないって理論がおかしいだろ。
「そうね、明日も早いからもう寝ましょう?」
ニアさんは息を軽く抜いてそういった。
「そうだな、明日も朝から仕込みがあるしな。寝るか、おやすみ、ニア、トキ」
そう言うとグレンさんは肘解いて枕に頭を沈めた。
「おやすみなさい、トキ君、あなた」
ニアさんもそう言って眠りに入った。
二人が話していて寝るまでの間の俺はと言うと今日見た治癒魔法を思い出しながら魔法を使えないかと試行錯誤を繰り返していた。
そして分かったのは魔力は体内を回っている事と魔力を魔法に変えるには魔力を操ってそれを自己のイメージで変えると言う事だった。
自分の体内にある魔力を感じたのでその魔力を魔法に変えようと何度イメージしたが魔力が一向に魔法に変わる気配はしなかった。
そして仮定したのは魔力を魔法に変えるのは魔力を操って自己のイメージを乗せてそれを魔法に変換させると言う事だった。
まだ1歳未満の俺は喋ることができないから聞くに聞けないから自己流でやるしない。
途中で眠気が襲ってきたのでそれに逆らうこと無く眠りに落ちたのだった。
トキにとっての両親はまだ転生前の両親なのでしょう。まだニアさんとグレンさんと考えてしまうようです。