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視線

作者: ハル

非常に短い掌編となっております。五分とかからず読み終えるものですので、ちょっと電車を待つ、等といった時にでもお伴にして頂けると幸いです。

俺は獲物を求め、ここへ来た。

俺は眼下を見下ろす。

へっ。わんさとありやがる。俺に喰われるのを心待ちにしてやがるみてぇだぜ。

俺はソレの一つに狙いを定めると一気に接近した。そのスピードは隼も真っ青さ。

ぐんぐん迫るソレとの距離。イケる。天にまします我らの神よ、今日も美味しく頂きますよっと。

だが、その時だ。

俺は感じたのだ。

奴の、視線を。

咄嗟に視界を広く見て探す。いた。奴が見てやがる!

まるで生気を感じないような、虚ろな黒い目でこちらを見つめている。

ユラユラと左右に揺れながら、ただただこちらを見つめている。

俺は本能的な恐怖を感じ、即座に身を翻した。

ソイツは追ってくる気配を見せなかった。

どうやら助かったようだな。

俺はその場を後にすると、次の狩場を求めた。腹は減っているが仕方ねぇ。何事も命あってこそ、だ。






その老人は稲刈りの手を止めて腰を伸ばすと、トントンと腰を叩きながら空を見上げた。

チチチ、チュン、と雀が踊っている。

「ふふふ、鳥共め。近づけまい」

そう言って老人は傍らを誇らしげに見つめる。

「なんせコッチには心強い用心棒がおるからのう」

老人の傍らでは、鳥避けの黄色いバルーンが風に吹かれてフワフワと揺れていた。

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