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一話 名は体を表す

縮毛 笑です

この年(16)で人生終わりや


医者にもサジを投げられた

専門医にも掛かり、皮膚科にも掛かった

意味がなかった

植毛は頭皮に残る傷跡を考えると受ける気にはなれなかったし

残る選択肢はカツラしかない

虚しすぎる………………


今の俺の頭はまるで俳優の温水洋二のよう

彼ほど温和じゃないが


「悲しすぎるよ………」







彼女も出来ない、人生オワタ\(^o^)/


ハゲでーーーーーーす!!!!!!!111


俺に近づくとハゲるぞ


貴様を殺す…


モノマネします、横山ノック!






「はぁ…」


俺はまだどんなハゲキャラで生きていけば良いのか今でも定まっていない

分からないのだ

いっそ語尾にハゲでもつけてやろうかハゲ、ハゲ!


陽気でひょうきんな面白い奴ならハゲても救いがあっただろう

周囲に居場所を確立できやすい

”面白いハゲ”というキャラクターで

そんなヤツでもその内心はとてもキツいんだろうがな

だがネガティブな奴はどうすればいい?

陰気なハゲで終わるだけだ


結局ハゲはどんなキャラクターで生きるにしても辛い道程が待ち受けている

若いなら尚更だ

非関税障壁の様に見えない壁がドフサとの間に横たわる事になるのだ

見た目・スタイル・顔や性格が良いイケメンですら熱気渦巻く婚活市場ではハゲならば即効ブサメン扱いされる不条理さよ……

髪型を形成できない時点でこれである

※ただしイケメンに限る、もハゲにだけは通用しないのだ


「現実なんてマジ糞ったれですわ…」


いっそ現実など捨ててこの若さからキモオタ道に邁進………逃避しようと何度思った事か

かろうじて踏みとどまれているだけの理性がある自分が恨めしい

今の俺は肥大したコンプレックスの塊だ

髪がないだけで10歳以上は老けて見える

人生においてこんなに頭髪が大事だとは思いすらしなかったっつーの!

中学時代は常々馬鹿にされ続けた

議論や正論を男女問わず相手に投げ掛けようものなら


           「うるさいハゲ!」


この言葉で全てが無かった事になるのだ

ぶっちゃけ人は見た目だ

俺はそれを身を持って思い知った

人は初見である他者を判断する際に視覚からの情報に90%以上頼る

初見の他人と深く関わっていこうにも入り口から蹴り出されるのだ

日本は同調圧力も強いし

建前はどうあれ和を乱しそうな外見、中身をもった奴には容赦がない

少しでも現代日本の普遍性に当てはまらない”普通ではないヤツ”には容赦がないのだ

悪夢の様な現実に俺の頭皮も悲鳴もあげる


だが誰かが助けてくれる訳でもない

都合の良い現実など無いし、若ハゲを受け入れたフリをして今日も俺は卑屈な感情を極力表に吐き出さない様に努めていくしかない

ダメ高校で慎ましやかなハゲとして今日も生きていくZE…









「にしても随分長いモノローグだったな、M」

「コラ!メタ発言はやめたまえ! 」


------------------------------------------------

【となりのせきの すずきみのる がはなしかけてきた!】

------------------------------------------------

みのるとはなす

ストレスでハゲる← ピッ

リアップする

あたまにふりかけをふりかける

------------------------------------------------


「って何でだよ!」


俺よ!そこはどう考えても「話す」だろ!

これ以上後退する生え際もないんだぞ!!


「Mってたまに訳分からんなー発作か?」


こいつは隣の席の鈴木実

ザビエル風の河童ハゲ

ハゲに抗うでもなく飄々として常に泰然自若としている

だが、ブサメンなのが実に哀愁を誘う

俺の名前の笑<えむ>をもじりMと呼ぶのはこいつぐらいだ


「で、授業中にまた考え事か?」

「そんなとこ」


本当に人の所作を地味によく見ている野郎だ


「どうせ俺らがハゲてる事についてだろ?丸分かり」

「丸分かりって」

「だってお前表情に出てて分かりやすいしさ」


複雑である


「受け入れろよ楽になれるぜ」

「お前は悟りすぎだろ!」

「ハハッ、エリート若ハゲらしく将来は絶滅危惧種のバーコードハゲに挑戦したいわぁ」


こ、こいつ……

ハゲ人生を謳歌する気満々じゃねーか!


「なんと言う凄メンタル」

「はぁ?バーコードハゲなんてただのファッションじゃん?」


何言ってんだ?こいつ

実はそんな目で俺を見てくる

お前スゲーよ

どんな発想してやがんだよ…


「俺にはとても真似できんわ…」

「おいおい、お前は真似できる頭髪量がないだろ」


何言ってんだ?こいつ

実はそんな目で俺を見てくる

おい、俺がおかしいのか

何なんだよ


「まぁ、考え事も良いが授業ぐらい聞いとけって」

「もう、俺には、意味ねーだろ。AGAについての、授業なんて、もう、聞く気が、しねーんだよ。俺には、もう、関係ない」


そう、もう関係ないのだ

必死に学んでもそれを役立てる頭髪がない

初期若ハゲのクラスメイトはむさぼり食うように必死に授業に向き合っている

彼らにはまだ守るべき頭髪がある

知識を頑張って役立ててくれたまえ

俺にはもう無理だ


「……確かに髪の毛無いしな」


おい、可哀想なモノを見る目で俺を見るな

お前もハゲてるだろうが!! ハゲ!!!


「でもノートぐらいは板書しとかないと単位マズいぜ?」

「テストの前に一夜漬けで教科書丸覚えすりゃ問題ねーよ」


昔とった杵柄は伊達じゃない

勉強だけは得意だったからな


「お前記憶力スゲーもんな、髪の毛はないのに」

「髪の毛は関係ないだろ」

「おっ悪い、悪い」


まったく………


「Mが本当にスゴいのは”名は体を表す”を地でいってる事だしな。ちぢりげでハゲてるし」


おい…………







おいっ!!!



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