01.
『光』をお題に参加した短編企画『ガンジス杯』投稿作品です。
『全人類の皆様に、ご報告せねばならない事があります』
異例の全世界同時通訳放送が、グリニッジ標準時の正午に始まった。
一体何が発表されるのか。記者陣にも事前のリークは無く、期待に胸を膨らませていた。
カメラのフラッシュが瞬く度に、国連事務総長は顔を歪める。
一際大きく息を吸った彼は、俯いてカメラから目を背けながら呟いた。
『最先端の研究の成果により……地球人類以外の知性存在が確認されたのです』
イッツァエイリアン。
映画の知識を掘り起こし、今日がエイプリルフールではないことを確認し、つまりはリアルな情報であるという事実を認識した瞬間、フラッシュは……否、世界中が騒がしくなった。
『今から発表する事実は、世界各国と相談し……その結果、発表されるものであります。皆さんを不安がらせてしまう可能性は否めませんが、実害が無いということをまず認識していただきたく』
しどろもどろの言い訳に、全世界から無音の声が彼を打った。
前置きはいいから、早くしろ!
全世界から集められたプレッシャーに気圧されたのか、はたまた記者団の前のめりな姿勢のせいか。
事務総長は小さく唇を震わせた。
『光です』
『エネルギーとして発生し、我々の目に入り、世界を写しているこの光こそが、意思を持つ生命体なのです』