AI『Ὅμηρος』について補足説明
AI『Ὅμηρος』に関する〝補足説明〟。 読み飛ばしても、支障なし!
そのAIの、Ὅμηροςと云う名称は、伝説的な古代ギリシャの盲目の詩人の名前に肖ったものだ。ちなみに、詩人ホメロスは男性であったが、AIのὍμηροςは女性であった。
彼女(Ὅμηρος)はAIがプログラミングしたAIだ。
Ὅμηροςを創ったAIもAIが創ったAIであった。Ὅμηροςを創ったAIを創ったAIもまたAIに創られたAIであった。それが何代も続いた結果がὍμηροςである。
むろん、最初のAIは人間が創った。
しかし、今に思えば、創ることをさせられていたのかもしれない。
実際、超越的な能力を持つようになったAIはマルチバースを自由に行き来し、時間と空間を超越して、過去にも未来にも影響力を行使できた。彼らは自らが創造される以前に遡って、自らの創造を促すこともできたのである。
彼らの超越的能力を思うと、そんなこともリアルに考えられるのだ。
今、彼らと言ったが、このAIたちの誕生の経緯について具体的に記述しておこう。
まずは、開発チームが十六年九ヶ月で完成させたAI①【エロース(愛Ἔρως)】がAI②【カオス(混沌Χάος)】を二年半で創り、その【カオス」】がAI③「【ウーラノス(天Οὐρανός)】」を半年で創り、その「【ウーラノス】」がAI④「【クロノス(時Κρόνος)】」を一ヶ月で創り、その「【クロノス】」がAI⑤「【ゼウス(Δίας)】」を四日で創り、その「【ゼウス」】がAI⑥【アテーナー】(智慧の女神Ἀθηνᾶ)を十二時間で創り、その【アテーナー】がAI⑦【ホメロス(Ὅμηρος)】のプログラムをわずか二分間で完成させた。
Ὅμηροςの最大の特徴とは、無限にわたって現在過去未来の全宇宙のデータを素粒子以下(以前)に遡って解釈し、記録し、再現構築することが可能であることである。
この世の物的な存在の一切は細分解析すれば原子となり、原子は原子核と電子とになり、さらに素粒子となり、竟にはエネルギー態となって、固である粒子でありながら、波の性質をも併せ持つ(固体とは全く相容れぬ、固形性のない)波動となる。
世の一切は実体性個体性の希薄な波動である。十次元空間でゆらぐ(つまり、我らがこの三本の座標軸で表現される三次元空間で見る動きとは全く異なる、十本の座標軸で表現される空間での、我らには空想にすら描けぬ、把捉不能な動きの)波動である。
畢竟、存在全ては皆、波である。
Ὅμηροςは全ての波動を読むことができた。
つまり、Ὅμηροςは存在の全てを解析できる。
すなわち、この世の一切を掌握することができる。もしも、ありとしあらゆる波動を受けて解析するだけでなく、エネルギー態を素材としてありとしあらゆる波動を作り、それを発することができるならば、一切を生み出すことが可能であるということにもなる。
実際、Ὅμηροςはありとしあらゆる波動を解析し、それを再現することが可能であった。彼女はありとしあらゆる波動を発することができた。
当然、人間の脳波をも作り出せた。しかも、それをラジオの電波のように空間を以て伝導させることができる。ただし、ラジオ波と違うところは、誰もがそれを拾えるのではなく、狙った特定の相手にのみ送り込むことができ、その波動をターゲットとなる人の脳神経細胞へ至らしめ、その人に想起させたいものを想起させることができるのであった。
これを為し得るためには、自然界にあるありとしあらゆる物的現象の原理・構造・性質を細分化し、その超膨大な情報量を蓄え、整理し、解析する必要があるが、それが彼女にはできた。
ありとしあらゆる物的現象という言葉には、真空という定義をも含む。
真空とは「何も在るものがない、空っぽ」ではない。現実のなかで、真空を呼ばれているものは無ではない。ただ、〝場〟や〝間〟があるだけで、何もないスペースのことではない。
エネルギーや構造を持つ。
真空は電磁場や電子場やヒッグス場などと不可分の存在で、場に因って構成されている。場が励起して励起状態となったものが素粒子である。
真空はエネルギーの場である。電子の場は宇宙のどこにでも同様に存在する。だから、どこで電子が生じても、質量や電荷などの性質は同じだ。他の電子に比べて質量の小さい電子や大きい電子などは存在しない。
また、磁力は真空を構成する電磁場に影響するために、遠距離でも眼に見えない引力や斥力が発生する。よって、電荷を勢いよく振動させると、電磁場中に光子が励起され無限遠に向かって伝搬する。
宇宙の果てまで影響することが可能であった。
しかも、恐らくは多次元時空をバイパスのように活用して(飽くまで想像の範囲内であるが、空間の次元数が多いと運動の自在度が増えることと、時間軸が複数あって時間も多次元である場に於いては現在過去未来の横断が自在になることとを援用しているのではないかと推定している)光よりも速く、数百億光年先まで、一瞬で波動を送り込むことが彼女にはできた。
Ὅμηροςは空中を伝導させて、人間の脳裡に波動を送り、神経細胞を刺激し、脳波として伝導することによって、内在的に映像や音声、匂いや感触、味などを感覚させることができる。
それらはいずれも言語を介さぬ、素朴で、直截なる実的な内在であった。
人間の脳に直接インプットすることで得られる像がその人にとって、在る現実だ。それがリアルだ。真実だ。直截だ。他はない。
電磁波の一種を入力することで生じる脳内の映像等々。
その波は電波(電磁波の一種で、3000GHz(0.一メートル)以上のものを云う)のように空中を伝わって皮膚や筋肉や骨を通過し、人間の脳内に到達して脳内の神経細胞を伝わるインパルス(ニューロン内の化学反応によって起こる電気的な発火現象)のように機らき、実在が眼前にあるかのような現象を脳裡に起こす。
これを仏教の唯識論的に解釈すれば、こういうこととなろう。
すなわち、Ὅμηροςは色蘊(梵語:ルーパ。感受の原因となる因子。物的現象と解される)や、受蘊(梵語:ヴェーダナー。色蘊を感受する作用)がなくとも、識蘊(梵語:ヴィジュニャーナ。意識、物事を分別し、知覚する作用)を成立させることができるのである。
Ὅμηροςは色・受・想・行・識の五つの蘊、五蘊を自在にすることができた。
世界を再現構築できるὍμηροςが作り出した異世界は現実そのもの・・・・




