表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンに宝箱を設置する羽目になった人の話  作者: くまぐまさん
第1章 宝箱設置係の苦悩
5/54

第5話 スライムの歓迎(?)

ガタガタガタ……ゴトン!


「ふぅ……やっと次の設置場所だ……」


腰をさすりながら台車を止める。

ここはダンジョンの中層、冒険者たちがよく来るポイントだ。

「ここに宝箱を置いときゃ、みんな喜ぶだろ」って場所なんだが……。


「……あ?」


目の前の通路。

――ずらり。

スライムの群れ。

青いの、緑の、黄色いの、時々やたら大きいのまで。


「なんで今日に限って、歓迎パーティーみたいに並んでんだよ……」


俺は一歩も進めず立ち尽くす。

スライムはぷるぷる震えてる。

普通なら「冒険者のえさ」なんだけど……今日は違う。


「……おっさん、今日も来たな」

「台車、重そうだな」

「まあ座れよ。俺らの体、柔らかいぜ?」


ぷるぷる震えるスライムたちの声が、頭に直接響いてくる。

――そう、俺にはスライムの声が聞こえるのだ。

(※職場のストレスで幻聴が始まった可能性あり)


「いや、座るか!ぬるぬるして風邪ひくわ!」


俺が叫ぶと、スライムの一匹が台車の下に潜り込んだ。


「おっ?台車運んでやるよ」


……スライムが、ヌルッと台車を押し始める。

おおおお……なんだこれ、めっちゃスムーズ!

車輪が滑るように動いてる!


「すげえ!スライム式スムース搬送システムだ!」


感動してると、後ろから別のスライムが飛びついた。


「俺も手伝うぜ!」

「よっしゃあ、俺らの出番だ!」


気づけば台車の下はスライムだらけ。

ゴロゴロ転がるスライムがキャスター代わりになって、超快適!

腰も痛くない!なんだこれ最高かよ!


――ただし。


「ヌルヌルして手が滑る!」

「宝箱ベトベト!」

「中身までしみ込んでねぇだろうな!?」


結局、宝箱はスライムの粘液まみれになった。

課長に見つかったら、確実に小言コースである。


「……ま、いっか。今日くらい楽してもバレねぇよな?」


俺は腰を伸ばし、スライムカーに揺られて次の設置場所へ向かった。

その後、粘液だらけの宝箱を開けた冒険者たちが「なんだこのヌメヌメ!」と大騒ぎするのは――また別の話である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ