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ダンジョンに宝箱を設置する羽目になった人の話  作者: くまぐまさん
第1章 宝箱設置係の苦悩
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第2話 朝礼と指示は理不尽の極み

朝。

俺はいつものようにダンジョン管理局の詰所に出勤した。

といっても、普通のオフィスビルじゃない。崖に穴を開けて作った洞窟オフィスだ。

湿気で書類はすぐふやけるし、カビ臭い。コピー機も湿気で紙詰まりする。最悪だ。


「おはようございます……」

「おう、今日も元気ないな、宝箱係」


上司のガーランド課長がニヤニヤと俺を見ている。

こっちは毎日命がけで働いてんのに、課長は一度も現場に行ったことがない。

ダンジョンの中じゃなくて、椅子にしか座らないのに、腰痛ベルトだけは俺と同じものを巻いている。なんなんだそのアピール。


そして始まる朝礼。

今日の配置指示が読み上げられる。


「えー、まず第二層。スライムの部屋に銅貨10枚入りを3つ」

……あそこか。床がネバネバで台車が動かないんだよなぁ。


「次、第三層。炎の回廊に耐火仕様の宝箱をひとつ。中身はポーション」

ポーション!? 炎の回廊に!? 誰が置きに行くんだよ!!


「さらに第五層、崖の端っこ。そこに『伝説の剣』を収納した大型宝箱を」

崖の端っこ!? 俺に落ちろってか!?


課長は涼しい顔で書類を閉じると、こう言った。

「以上だ。よろしく頼んだぞ。我々の仕事は、冒険者たちの夢を支える大切な任務だ」


夢ねぇ……。

俺にとっては悪夢なんだけど。


同僚たちがぞろぞろと出ていく。ポーション補充係、松明点検係、罠メンテナンス係。

みんな命がけだけど、俺の仕事は荷物の重さ+設置の理不尽さという二重苦だ。


俺は今日の台車を引きずりながら、ため息をついた。

「はぁ……なんで俺、商人じゃなくてこの仕事に応募しちゃったんだろ……」

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