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星と月の願いごと  作者: 菜乃ひめ可
【学園編】第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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68 文化交流会2日目~癒しの木~


「良かったですねッ、月さん」


「先生……ハイ! 素敵なお友達が、増えました♪」


「えぇえぇ、いいですねぇ~青春ですねぇ~」


「あ、はははぁ~……ハィ」

(ラフィール先生、何だか嬉しそう)


 そんな三日月も、嬉しくて心がポッカポカだ。表情は今までにないくらい“ゆるゆる”である。



(あれ? そういえば)


「ラフィール先生?」


「はい? なんでしょう」


「どうして……先生が、此処に?」


――これは、本日、最後の“謎”……である(たぶん)。


「さぁ、どうしてでしょうねぇ?」


 すると先生は、不思議、不思議~! うふふふ~♪ と笑いながら三日月から目を逸らす。


(わたしは真面目に聞いているのに!!)


 ぷくーっと頬を膨らました。


「はいはい、よしよ~し♪ ご機嫌直してねー。可愛いお顔が台無しですよん!」


「もぉ! せんせぇー!?」


 もっと膨らんだ三日月の顔に満足したのか。ラフィールは笑いながら質問に答え始める。


「ふふ、はぁい! 分かりました。ではお話しましょう。まず、学園内の数ヶ所に設置されたこの小さな公園。なぜあるのかはご存知ですか?」


「えっと、過酷な授業や自主訓練の際に、人によっては力が続かず枯渇することがある。なので、そんな時に能力や魔力回復をすぐに出来るよう『癒しの木』を設置して……その場所があることで、生徒が安心して勉学に励めるように。そして、疲れた心身をゆっくりと休めるよう学園内数ヶ所に公園を造った……そう、聞いていますが」


「正解です、月さんは素晴らしい! なんとも分かりやすい、百点満点な回答ですネェ~」


「いや、そんなことは、まったく……」

(すみません、完全コピーです)


 学園入学時の書類に書かれた説明文、そのままの答えになってしまっていた三日月の心は痛い。そしてちょっぴり……いや、だいぶ恥ずかしい。そんな彼女、実際には『癒しの木』を利用する機会がなく、まだその恩恵を受けれていない。そのため、自分が体感したことを言葉にすることが、出来なかったというのが一番の理由であった。


「でも、そのことと、先生がいたことに、どのような関係が……」


「それはですねぇ、この癒しの木。実は、私が皆の健康と幸せのために創り置いた――“創造樹”、なのですよ♪」


「そうぞう……――え、えぇ」

(なんですとぉーッ?!)


「うっふふふ! これはこれは、月さんの反応が素敵すぎて、お話のし甲斐がありますねぇ」


 嬉し楽しそうに笑むラフィールは、次の言葉を続ける。


「ですので、此処にある癒しの木、そして公園全体には、私の【力】が宿り、また監視下にあります。万が一、何か問題が起これば遠隔での修正も行いますし、癒しの木だけで追いつかないほどに体力を消耗した方を感じれば、すぐに私がかけつけられるようにとの、魔法を施しています」


「す、すごい……です」

――さすが『癒しの神』と呼ばれる、ラフィール先生!


「簡単にご説明すると、このような感じでしょうか。月さん、他ご質問はございますか?」


「いえ、ないのであります! ありがとうございました」


 そうですか? と、にっこり笑い、先生の驚きな話は終わる。


「と、いうことは……」

(今、ここで起こった出来事に問題があるとみなして、助けに来た?)



――『ラウルド家とは、関わらない方が』



(あの時に約束した警告……状況を避けられなかったとはいえ、先生に謝らないと)



「あの……ラフィール先生」

「はぁい、どうしたのかなぁ?」


(う゛っ)


 三日月が真面目なことを言おうとすると、なぜかいつも先生はゆるふわお茶目キャラになってしまう。しかしここはきちんと言葉にして伝えなければと、彼女は声を出す。


「警告して下さっていたのに、いくら偶然とはいえ、アイリ様と……」

「あらあら! そんな事を気にされていたのですか?」

「えっ、でも」

「大丈夫です、心配いりません」


(先生……)

 たった一言。

 ラフィールが発する言葉だけで、三日月の心はいつも軽くなり、そして穏やかになる。


「さっ、行きましょう♪」


 すっかりいつもの、明るく優しいラフィールに戻っている。


(さっきまで、アイリ様と言い合いしている時の先生とは、まるで別人みたいだぁ)


 そんなことを考えていると、突然! 先生は立ち止まると三日月を見て、一言。


「ところで……月さんこそ。どうして、このような暗い裏道に?」


「あっ」

「ん?」


(しまったぁぁぁー、そうですよねぇ)


「じ、実は……」


 三日月がこの裏道を通った、最大の理由。それを話す羽目になった彼女は、正直に説明。話を聞いたラフィールは、少し驚きながらも「月さんらしいですね」と笑い、流した。




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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました。アイリとラフィール先生の接点と関係、そういうことだったのですね。ラフィール先生はつかめない部分があるというか、謎がありますね。「月様」と呼ぶ場面にも、何か意味がありそう…
たしかに三日月ちゃんらしいです(*^-^*)
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