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星と月の願いごと  作者: 菜乃ひめ可
【学園編】第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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59 文化交流会2日目~王子様とお姫様~


(それにしても、王妃様のウキウキした感じが誰かに似ているような……)


 そして王妃は楽しそうに、太陽の身分について話す。


「そう、太陽様は! イレクトルム王国の第一王子様ですのよ♪ オホホ~」



――えっ。


(太陽君が……)


「「「王子様ぁーッ?!」」」


 三日月とメルルとティルはびっくり仰天! あんぐり口を開けて硬直している。



「いやいや、そこまでお褒め頂けるとは、身に余るお言葉でございます。しかし王妃様、仮にも今はこの学園の生徒であります。そして私などに、“様”などをお付けにならなくとも」


 真面目な顔で話す太陽は、普段とは別人のように見えた。


「まぁ、本当に真面目ですのね。では【太陽さん】と、お呼びしても?」


「ありがとうございます」



――太陽君の、“本当の姿”。

(わたしたちの知らない……タイヨウくん)



「あなたは本当に謙虚で、礼節を重んじる。あの頃と同じように……身体は大きくなっても、中身は変わっておりませんのね。(わたくし)、とても嬉しく思いますわ」


「お褒めの言葉、大変光栄に存じます」



(なんだか、知らない世界にいるみたいで)


“ぎゅーっ”


「んあ? メル、ティル?」


『ちゅっきぃー、大丈夫にゃのら』

『たいよんは、たいよぉーだにゅ』


「あ……ふふ、うん」


(そうだよね。一緒に過ごしてきた学生の太陽君も、本当の太陽君……だよネ)



「そうだわ、ユキトナ。あなた助けて頂いたお礼、きちんとお伝えしてなかったでしょう?」

 

「ハッ、ひゃい!」


「きちんとなさい」


「ハイっ!! あ、あの、太陽様……」


 ユキトナは顔や耳までも真っ赤っか。それでも一生懸命に、勇気を振り絞るように両手を胸のあたりでギュッと握ると、鈴の音のような可愛らしい声で、感謝を言葉を伝え始めた。


「あ、あの時は、本当に……助けていただきありがとうございました!」


 深いお辞儀と彼女としては大きめの声でお礼の言葉を言う。今のユキトナにとってはそれが心からの、精一杯の頑張りだった。


 顔を上げた後の彼女の頬は、変わらず紅潮している。向き合う太陽を見つめる瞳は潤み、表情は(あで)やかに微笑んでいた。その笑みに反応し、二人の周りには、たくさんの精霊が舞い始め、キラキラと輝きを放つ。


「うわぁー!」

「きれーい……」


 その場にいた皆が、ユキトナの纏う美しさと力に魅了されている。


 しかしさすがは王子様。太陽はその姿を前にしても表情一つ変えることはなく、ユキトナの感謝の気持ちに笑って応えた。


 それから、はっきりとした穏やかな低めの声の落ち着いた口調で、優しく言葉をかける。


「いえ、本当にご無事で何よりでした」


「あ、の、(わたくし)の不注意で皆様へご迷惑を……」


 昔のことを思い出し、自分の行いへの後悔がまるでうさぎの耳が垂れたように、彼女はシュンとしてしまう。


 その様子に、太陽はふっと柔らかく微笑み、言葉を続ける。


「花のように美しく、純真無垢なまま成長されたユキトナ様に、こうしてお目にかかれて心から嬉しく思っております。我が国において、ルナガディア王国の大切な王女様を無事にお守りできた事、そしてお役に立てた事、大変光栄に存じます」



「きゃーーん!!」


――はっ!


(いけない、いけない……でも、キャハッ! なになにぃ!? なんだかそれ、聞いてるわたしがくすぐったぁぁーい♪)


 三日月は思わず黄色い声を出してしまい、慌てて顔を隠す。


 これはまるで、おとぎ話のような……『王子様とお姫様』なのね?! と、なぜか彼女のほうがドキドキでときめいていた。


――二人の、運命的な再会なんだ!


「な、なんて! 素敵なのぉ♪」


 この時の私は、舞い上がり過ぎていた。



 気付けば三日月は、同じようにトキめいていた(らしい)ユイリアといつの間にか手を取り合い、「「キャーん♡ 恥ずかちぃー」」と、なぜか抱き合ってしまっていた。




ꕤ ♡ ꕤ


 後に、太陽君から聞いたお話♫


 雪兎名ユキトナ様が、太陽君に助けたられた日のこと。可愛いウサギちゃんのぬいぐるみをギュッと抱っこし、ウサギの髪留めをピョンと付けて、リボンいっぱいふわふわ真っ白なのワンピースを着た女の子が街の隅っこで座り込んでいたらしい。知らない異国の地で迷子になったユキトナ様は、名前も言えないくらい泣いており、その女の子を元気づけようと見た目の特徴から太陽君が『うさぎちゃん』と、呼んだが由来なのだそう。


『うっふふ、きゃわわぁ~♡やっぱ童話みたい!』




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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました。王妃の圧倒的な存在感と美しさが伝わってくると同時に、ユキトナと太陽の意外なつながりにも驚きです…!雪兎名、印象的な名前だと思っていたら、そういうことだったのですね。 …
とても素敵な『王子様とお姫様』のお話ですね(*^-^*) ありがとうございます<m(__)m>
太陽くんがなんと王子様!!! 驚きを隠せないメルルandティルand三日月ちゃん。 可愛いーーーーーーーーーーーーーっ!! なのなのもめちゃくちゃ可愛いーーーーーーーーーっ"( ´,,•ω•,,`)♡…
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