#9 プレゼントの中身
秋悟が桜に贈る「プレゼント」を聞いた春人は、ますます不安を募らせていた。桜を守るためには、どんな手段を使ってでも秋悟に立ち向かわなければならない。しかし、桜は春人を信じてくれると言ってくれた。それでも秋悟が仕掛けてきたことが、桜の心を揺さぶるのではないかと心配だった。
秋悟のプレゼント
翌日、昼休み。桜は教室でいつも通り友達と過ごしていたが、突然、秋悟が現れ、手に持っていた箱を差し出してきた。
「桜、これ、受け取ってくれ。」秋悟はいつになく真剣な顔で言った。
桜は驚きながらも、箱を受け取った。「え、これは…?」
箱を開けると、中には豪華なペンダントが輝いていた。それは、とても高価そうで、美しいデザインのものだった。
「これ、すごく…」桜は驚き、言葉を失った。
秋悟は少し照れくさそうに続けた。「君に似合いそうだと思ってな。俺の気持ちだ、受け取ってくれるか?」
桜はそのペンダントを手に取ったまま、少し黙った。春人と秋悟、二人の間で揺れる自分の心を整理しきれないようだった。秋悟はその表情を見逃さず、さらに言葉を重ねた。
「桜、これが君にとって大事なものになるように、俺は願っている。春人と違って、俺は本気だから。」
桜はその言葉に心が揺れたのを感じた。もちろん、春人のことを深く信じていたが、秋悟の言葉にはどこか真剣さがあり、心に響くものがあった。だが、彼女は自分の心の中で決めたことがあった。
「秋悟くん、ありがとう。でも…私は春人くんと決めているの。」
その言葉を聞いた秋悟は、少し驚きつつも冷静な顔を保ちながら、「そうか」とだけ答えると、何も言わずに去って行った。
桜はその後、ペンダントを持ったまましばらく考え込んでいた。確かに、秋悟が心から自分を思ってくれていることは分かる。しかし、春人との絆を裏切ることはできない。だからこそ、桜はそのペンダントを自分の中でどう扱うべきかを悩んでいた。
春人の反応
放課後、桜は春人と一緒に帰る途中、昨日の出来事について話すことにした。
「春人くん、実は秋悟くんからペンダントをもらったの。」桜は少し躊躇いながらも、春人に伝えた。
春人はその言葉に、少し動揺した表情を見せた。「ペンダント…?」
桜は続けて説明した。「はい。すごく素敵なもので、秋悟くんが本気で私に気持ちを伝えようとしたみたい。でも、私は春人くんと決めているから。」
春人はその言葉を聞いて、安堵の表情を浮かべたが、心の中には小さな不安も残っていた。「桜、ありがとう。でも、そのペンダントはどうしたんだ?」
桜は少し悩んだ後、ペンダントを取り出し、春人に見せた。「実は、まだどうすべきか決めかねているんだけど…。でも、私は春人くんに伝えたい気持ちが強いから。」
春人はそのペンダントを見つめ、静かに言った。「俺は、桜がどんな決断をしても応援するよ。でも、絶対にお前を守る。」
桜はその言葉に胸がいっぱいになり、春人の手を握った。「春人くん、私もあなたを守りたい。」
決断の時
その夜、春人は再び悩んでいた。秋悟からの挑戦はますます本気になり、桜を守るためには自分も本気にならなければならないと感じていた。桜の気持ちが揺れることはないと信じたいが、それでも秋悟の存在が重くのしかかってきている。
春人は自分を奮い立たせ、桜に何度も気持ちを伝えることを決意した。今こそ、桜に本当に自分の想いを伝える時だと、心に誓った。
次の日、放課後。桜がいつものように屋上に来ると、春人が待っていた。彼は緊張しながらも、しっかりと桜を見つめて言った。
「桜、改めて伝えたいことがある。」
桜は少し驚いたように彼を見つめた。「春人くん、何?」
春人は深呼吸をしてから、真剣な顔で言った。「俺、桜を絶対に守りたい。どんなことがあっても、お前と一緒にいたい。だから、もしお前が不安なら、何度でも俺が支える。俺にできることなら何でもするから。」
桜はその言葉に胸が熱くなり、涙が少しこぼれた。「春人くん、私も同じ気持ちだよ。」