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#8 執拗なアプローチ

春人と桜の絆は強くなりつつあったが、秋悟の執拗なアプローチが二人の間にさらなる緊張をもたらしていた。秋悟は次第に卑怯な手段に出るようになり、春人はそれに対抗するためにますます自分の心に力を入れていく。しかし、思わぬ形で桜がその場に巻き込まれる事態が起きる。


放課後の襲撃


その日の放課後、春人はいつものように桜と一緒に帰ろうとしていた。だが、教室を出たところで秋悟が待ち構えていた。


「おい、春人。」秋悟はいつになく真剣な表情で声をかけてきた。「桜に本気で向き合いたいんだ。」


春人は少し驚きながらも、毅然とした態度で返答した。「だから、何度も言ってるだろ。桜は俺が守る。」


秋悟は春人を無視するかのように、桜に向かって近づき、少しドキッとさせるような表情で話しかけた。「桜、ちょっと聞いてくれ。春人がどれだけ頑張っても、俺の気持ちは本物だ。お前にはもっと幸せになれる可能性がある。」


桜は一瞬、戸惑ったような顔をしたが、すぐに振り返って言った。「秋悟くん、私は春人くんが好きなんです。だから、秋悟くんの気持ちはありがたいけど…やっぱり、もう答えは出ているんです。」


秋悟はその言葉に一瞬だけ沈黙したが、やがて冷笑を浮かべた。「ふーん、そうか。なら、せめて俺の気持ちを受け止めてほしいな。桜、お前が選んだ道がどれほど辛いか、きっと分かる時が来る。」


春人はその言葉に胸が痛くなり、思わず桜を守るように前に出た。「秋悟、もうやめろ。桜が決めたことを、これ以上邪魔しないでくれ。」


秋悟は春人をじっと見つめた後、何も言わずに背を向けて歩き出した。「分かったよ、でもな、まだ俺の気持ちは変わらないからな。」


春人はその後ろ姿に一抹の不安を感じたが、桜の手を強く握りしめて言った。「桜、あいつの言葉に惑わされないでくれ。俺たちの気持ちを信じて、一緒に歩いていこう。」


桜は春人の手を握り返し、心から微笑んだ。「私、春人くんを信じてるよ。」


秋悟の陰謀


その晩、春人は不安な気持ちを抱えながら、寝る前に桜に送ったメッセージを見返していた。桜からはすぐに返事が返ってきたが、春人の心は不安でいっぱいだった。


「桜がどれだけ俺を信じてくれても、秋悟のやり方がどんどん卑怯になっていく。どうすれば、桜を守れるんだろう。」春人は悩んでいた。


その時、春人のスマホに着信が入る。番号を確認すると、それは秋悟のものであった。


「…もしもし?」春人は恐る恐る電話を取った。


「おい、春人。お前、桜に本気で気持ちを伝えたんだろうな?」秋悟の声はどこか挑戦的だった。


春人は警戒しながら答えた。「ああ、そうだ。」


「それなら、俺も本気でお前に伝えるべきことがある。」秋悟は静かな声で続けた。「明日、桜にあるプレゼントを渡してみるんだ。そして、もし俺が桜にどうしても選ばれることになったら、覚悟しとけよ。」


その言葉に、春人の胸は高鳴った。秋悟の言う「プレゼント」とは、何を意味しているのか。春人はその意味をよく理解できずにいたが、確実に何かを仕掛けてきていることを感じた。


桜との約束


翌日、春人は桜と昼休みに会う約束をしていた。桜が教室に入ると、春人はすぐに彼女に駆け寄り、少し緊張した面持ちで言った。


「桜、明日、秋悟が何かを仕掛けてくるかもしれない。でも、俺たちの気持ちは絶対に変わらないからね。」


桜は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに微笑んで言った。「大丈夫だよ、春人くん。私は、春人くんだけを信じてる。」


その言葉に、春人は胸がいっぱいになった。桜の気持ちがしっかりと伝わってきたからだ。


「ありがとう、桜。」春人は手を握り、しっかりと桜を見つめた。「何があっても、俺が桜を守る。」


桜はその言葉に頷き、少し照れたように笑った。「私も、春人くんを守るよ。」

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