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#6 ゆずれない

春人は桜との関係を深めるために、秋悟の存在をしっかりと受け止める必要があると感じていた。秋悟のしつこさに心の中で鬱屈していたものの、桜への思いがそれを打破しようとしていた。ついに、春人は秋悟に対して立ち向かう決心をした。


放課後の決意


その日の放課後、春人は桜と一緒に歩きながら、どこか不安げな表情を浮かべていた。桜はそれに気づき、心配そうに声をかける。


「春人くん、どうしたの?なんだか元気がないみたい…。」


春人は一瞬黙っていたが、桜にしっかりと目を合わせて言った。「桜、実はさ、今日は秋悟にしっかりと向き合おうと思うんだ。」


桜は目を見開き、驚いた表情を浮かべた。「えっ…?秋悟くんに、どうして?」


「うん、あいつがいろいろと桜に近づこうとしてるの、もう我慢できないんだ。桜を守りたいし、俺の気持ちをちゃんと伝えないと。」春人は少し強い口調で答えた。


桜はその言葉を聞いてしばらく黙っていたが、少し顔を赤らめながらも、春人に微笑みかけた。「ありがとう、春人くん。でも、無理しないでね。私も、春人くんを応援するから。」


春人は桜の言葉に勇気づけられ、改めて決意を固めた。「大丈夫だよ。桜がいるから、俺も頑張れる。」


二人はその後、しばらく無言で歩き続けたが、春人は心の中で何度も自分を鼓舞していた。今こそ、桜への思いを守るために行動しなければならない。


秋悟との対峙


翌日、春人は放課後、秋悟がよくいる場所を見計らって足を運んだ。予想通り、秋悟は教室の隅で友達と話していた。春人は深呼吸をし、勇気を出して秋悟に近づいていく。


「秋悟。」春人は声をかけた。


秋悟は春人の声に振り返り、少し驚いたような表情を浮かべる。「お、春人か。どうした?」


春人はそのまま正面から、冷静に言った。「桜のこと、やめろ。」


秋悟は一瞬、表情を硬直させたが、すぐに不敵な笑みを浮かべて答えた。「やめろって、どういうことだ?」


「桜は俺の大切な人だ。お前がああやって近づくのは、もう我慢できない。」春人は一歩前に踏み出して、強い口調で続けた。「俺の気持ちを邪魔するな。」


秋悟は一瞬、目を細めた後、挑戦的に言った。「ふーん、そう来るか。でも、俺だって桜のことが好きだし、あんたがどう思おうと関係ないんだよな。」


春人はその言葉に拳を握りしめた。だが、冷静さを保ちながら言った。「分かってる。でも、俺は桜を守るためなら、何でもする。」


秋悟は少し考え込んだ後、にやりと笑いながら言った。「なるほど、俺も本気だからな。でもさ、桜が選ぶのは最終的には俺かもしれないし、あんたがどう努力しても無駄かもな。」


その言葉に、春人は心の中で焦りを感じたが、決してそれを表に出すことはなかった。「それでも、俺は諦めない。桜の気持ちが大切だから。」


秋悟は春人をしばらく見つめた後、肩をすくめた。「分かったよ。でも、何かあったら責任取れるのか?俺だって負けるつもりはないしな。」


「それなら、俺も負けない。」春人は言い返し、秋悟と目を合わせた。


二人の間には、静かな緊張感が流れていた。しかし、春人はここで退くことなく、強く立ち続けた。


桜の反応


その後、春人は桜と再び屋上で会った。桜は心配そうな顔で春人を見つめていた。


「春人くん、大丈夫だった?」桜は恐る恐る聞いた。


春人は微笑みながら答えた。「うん、大丈夫。秋悟には言いたいことを言ったし、今後はお前を守るためにもっと頑張る。」


桜は安堵の表情を浮かべながら、春人の手をそっと握った。「ありがとう、春人くん。私、春人くんの気持ちがよく分かるよ。でも、無理しないでね。」


春人は桜の手を握り返し、優しく言った。「俺は桜を守りたい。それだけなんだ。」


桜は微笑みながら頷いた。その微笑みに、春人はますます決意を固めた。


翌日の放課後


次の日、春人は再び秋悟を見かけたが、今日は秋悟から何も言われなかった。何かが変わったのか、秋悟は無理に桜に近づこうとはしていない様子だった。


その後、春人は桜に言った。「桜、これからもずっと一緒にいよう。」


桜は笑顔で答えた。「うん、私も一緒にいたい。」


春人と桜は手を繋ぎながら、これからも二人で歩んでいく未来を思い描いた。

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