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#4 告白

春人が桜に対して持っている気持ちは日々強くなっていった。桜と過ごす時間が増える中で、春人の心の中では、もはや彼女への想いを隠すことができなくなっていた。しかし、それと同時に、秋悟という存在が重くのしかかっていた。


放課後の屋上


その日の放課後、春人は桜と屋上で再び勉強をしていた。今日も彼女が頼んでいた数学の問題を解いているところだった。


「春人くん、これ、ちょっとわからなくて…。」桜は問題を指差して悩んでいた。


「うん、これね。まず、こうやって考えればいいんだよ。」春人は優しく説明しながら、桜の横に座り込んだ。


その時、遠くから足音が聞こえてきた。春人は振り返ると、秋悟がやって来たことに気づく。


「おお、春人、桜。ここにいたんだな。」秋悟は、にやりと笑いながら二人に声をかけた。


桜は少し驚いた表情を浮かべた。「秋悟くん、どうしたの?」


「いや、ちょっと話があってな。」秋悟は軽い調子で言いながら、春人と桜の間に歩み寄ってきた。


春人は内心で不安を感じた。秋悟が桜に近づくたびに、どこか冷たい感情が湧いてくる。しかし、桜は優しく微笑んで秋悟に答えた。


「何かあったの?」


「いや、特に大したことじゃないんだけどさ。」秋悟は一瞬、春人の方を見てから、桜に向き直った。「明日、みんなで遊びに行かないか?」


桜は少し考えた後、答えた。「うーん、明日は春人くんと約束してるから、今回は遠慮しとくね。」


春人はその言葉に少しホッとしたが、秋悟の反応が気になった。秋悟は少しだけ目を細め、にやりとした笑みを浮かべると、桜に向かって言った。


「そっか、でも次は絶対来いよな。楽しみにしてるからさ。」


桜は微笑みながら頷いた。「うん、ありがとう。でも、今日は春人くんと過ごしたいから。」


その言葉を聞いて、春人は一瞬だけ胸が温かくなるのを感じた。桜が自分を優先してくれていることに、心から嬉しく思った。


「じゃあ、またな。」秋悟は軽く手を振って、その場を後にした。


その後、桜は春人に向き直り、少し恥ずかしそうに言った。「春人くん、秋悟くんって、ちょっとフレンドリーすぎるよね。」


春人は少し笑って答えた。「確かに、あいつはすごく社交的だし、誰とでもすぐ仲良くなれるんだよ。でも、桜がそう言ってくれると、なんだか嬉しい。」


桜は顔を赤らめながら、「でも、春人くんとの約束を大事にしたいからね。」と言った。


その言葉に春人は胸が高鳴り、桜の手をそっと取った。「ありがとう、桜。」


桜はびっくりしたように春人を見つめたが、すぐに恥ずかしそうに顔を伏せた。「うん、私も春人くんと過ごす時間がすごく好きだよ。」


その瞬間、春人は心の中で確信した。この気持ちを、きっと伝えよう。桜への想いを、ちゃんと伝えよう。


翌日


次の日、春人は桜に伝えたいことがあると決意し、放課後に待ち合わせの場所として屋上を指定した。


放課後、桜が屋上に到着すると、春人は少し緊張しながら待っていた。桜がやって来ると、春人は深呼吸をして、言葉を口にした。


「桜、実は…ずっと伝えたかったことがあるんだ。」


桜は少し驚いた表情で春人を見つめた。「どうしたの、急に?」


春人は勇気を振り絞って続けた。「桜、俺、桜のことが好きだ。」


その言葉を聞いて、桜は一瞬、目を見開いて驚き、その後すぐに顔を赤らめた。「えっ…?」


「俺、桜が好きだって気づいたんだ。ずっと一緒にいるうちに、もっともっと桜のことが好きになった。」春人は顔を赤くしながらも、真剣な目で桜を見つめた。


桜は一瞬沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。「春人くん、私も…私も春人くんのことが好きだよ。」


その言葉に、春人は驚き、そして心の中で歓喜の声を上げた。「本当に…?」


桜は恥ずかしそうにうなずいた。「うん。ずっとそう思ってたけど、どう伝えたらいいのか分からなくて…。でも、今、春人くんが言ってくれて嬉しい。」


二人はしばらくお互いに見つめ合っていた。突然、春人は桜の手を握りしめた。「桜、これからもずっと一緒にいたい。」


桜もその手を優しく握り返し、静かに微笑んだ。「うん、私も…。」


その瞬間、春人は自分の中で何かが解けるような感覚を覚えた。桜と一緒に過ごす未来が、確かに自分の手の中にあると感じた。

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